研究課題/領域番号 |
21H04513
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
上野 雄一郎 東京工業大学, 理学院, 教授 (90422542)
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研究分担者 |
中川 麻悠子 東京工業大学, 地球生命研究所, 特任助教 (20647664)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,470千円 (直接経費: 31,900千円、間接経費: 9,570千円)
2024年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
2023年度: 11,570千円 (直接経費: 8,900千円、間接経費: 2,670千円)
2022年度: 11,570千円 (直接経費: 8,900千円、間接経費: 2,670千円)
2021年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
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キーワード | 元素循環 / 酸素 / 硫黄 / 二重置換同位体分子 |
研究開始時の研究の概要 |
大気酸素濃度の上昇は地球大気海洋における元素循環を本質的に変化させ、生物圏の有様を決定づけたと考えられている。しかしながら、それぞれの時代ごとに、酸素の生物地球化学循環を定量的に解読するための地質記録は限られている。本研究では、硫酸(SO4)の酸素・硫黄同位体を同時に計測し、かつ34S-18O二重置換度同位体分子種という全く新しいトレーサーを加えることで、硫酸塩が記録する多様な情報を引き出す。最終的に、大陸の酸化的風化、微生物硫酸還元、および熱水活動の3つの硫酸フラックスが、いつどれだけ変動したかを定量的に推定し、地球酸化史の実態を解明する。
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研究実績の概要 |
硫酸同位体分子計測の精度低下を引き起こす要因を調査した結果、SiF4およびCClF4の二種が妨害分子として計測に影響を与えていることが特定された。これらの妨害分子は真空ライン内部の汚染が原因となってフッ化の際に微量ながら形成されるものであるため、フッ化真空ラインのバルブ等部品交換を順次行った。また、二種の妨害分子が影響を与える場合には、d18OとD34S18O値の間にそれぞれ特有の相関をもつ偏差を与えることから、計測値の補正法を考案すると同時に、多段階GC精製によってそれらの影響を排除できることが明らかになった。これらの分析法についてはTechnical Noteとして公表予定であり、その原稿を投稿した。 一方、これまでに行った予察的硫酸同位体分析の結果、原生代中期の硫酸塩が高い二重置換度を示し、これが報告されている硫酸D17O値の低下と同期することが明らかになった。この経年変化の要因は今後明らかにされるが、高い二重置換度はいくつかの河川水硫酸の特徴と類似するため、大陸の酸化的風化による河川水硫酸フラックスの変動と関係しているとする作業仮説を得た。これら成果の一部については2022年5月末に開催されたInternational Isotopomer Symosiumにおいて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に分析前処理装置の劣化が判明し、そのため研究計画に遅延が生じたが、その要因の特定がなされたため、改善の方向に進んでいる。また、当初計画ではリース契約であった高質量分解能質量分析計を購入することで分析法の改善が柔軟に行うことができるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
硫酸同位体分子計測の精度低下を引き起こす要因については多段階GC精製によって改善が可能だが、その行程には多くの時間を要する。多数の試料を計測してスループットを向上させる目的で、引き続き分析法の改善を行う。また、硫酸二重置換度の変動についてその要因が特定されつつあるため、仮説の実証に特化した実証実験の計画をさらに具体化し、実行する。
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