研究課題/領域番号 |
21H04527
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分17:地球惑星科学およびその関連分野
|
研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
北台 紀夫 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究開発プログラム), 副主任研究員 (80625723)
|
研究分担者 |
渋谷 岳造 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究開発プログラム), 主任研究員 (00512906)
山本 正浩 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究開発プログラム), 研究員 (60435849)
高井 研 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門, 部門長 (80359166)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
43,030千円 (直接経費: 33,100千円、間接経費: 9,930千円)
2023年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
2022年度: 11,050千円 (直接経費: 8,500千円、間接経費: 2,550千円)
2021年度: 23,010千円 (直接経費: 17,700千円、間接経費: 5,310千円)
|
キーワード | アストロバイオロジー / 深海熱水噴出孔 / 生命の起源 / 二酸化炭素 / 硫化金属 / メタボリズム |
研究開始時の研究の概要 |
近年,我々は深海熱水噴出孔への電気化学調査を行い,噴出孔の内側から外側へ向かう定常的な電子の流れを発見した.熱水系は宇宙,少なくとも我々の太陽系に幅広く存在する可能性が示されており,その場がもたらす電気化学反応場はCO2を還元し,種々の有機物を生成する原始代謝システムの発生を駆動した(している)可能性がある.本研究はこの仮説を室内実験と熱力学計算から検証し,単純な無機分子から生体分子へ至る一連の化学プロセスに適した環境条件を特定する.本成果から,深海熱水系が地球生命発生に果たした役割を明らかとする共に,地球に限らず,水を纏う惑星において生命が発生する地球化学条件を,化学的根拠を持って提案する.
|
研究成果の概要 |
本研究では,主に室内実験と熱力学計算から,深海熱水噴出孔環境に生じる発電現象が生命の化学進化に果たした役割を調査した.一酸化炭素やアンモニアなどの単純な無機物から,生命構成分子の重要な原料となる尿素が高収率に得られることを示した他,同様の反応条件下でアミノ酸の重合化が進むことを実証した.また,アンモニアが海水に拡散・散逸することなく,熱水噴出孔に選択的に濃集するメカニズムを見出した.加えて,高温高圧条件で使用できる電気化学セルを開発し,熱水噴出孔内部で水素や硫化水素から電子が生じるプロセスの再現も行った.これらの取り組みから得られた成果は,計14報の査読付き論文として,専門誌に掲載した.
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年の宇宙探査技術の進歩に伴い,地球生命の起源,そして宇宙における生命の存在に対する関心は大きく高まっている.深海熱水系は地球惑星科学・生物学等の複数の分野から生命発生をもたらした可能性が指摘されてきたものの,これを裏付ける化学的根拠は不足していた.主因の一つには,熱水噴出孔環境では熱水反応しか起こらないという認識が専門家の間にも広がっていた点が挙げられる.我々は,深海熱水系の調査から熱水発電という現象を見出し,この現象が生命発生に重要な様々な化学反応を駆動できることを実証してきた.この成果は深海熱水系における生命発生過程の理解を深め,今後の宇宙生命探査にも重要な指針を提供しうると考えられる.
|