研究課題/領域番号 |
21H04547
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分21:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉田 真人 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (10333890)
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研究分担者 |
廣岡 俊彦 東北大学, 電気通信研究所, 教授 (40344733)
葛西 恵介 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (80534495)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,600千円 (直接経費: 32,000千円、間接経費: 9,600千円)
2024年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
2023年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
2022年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
2021年度: 13,390千円 (直接経費: 10,300千円、間接経費: 3,090千円)
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キーワード | 光秘匿通信 / デジタルコヒーレントQAM伝送 / 多値変調 / 時間領域変調 / 物理暗号 |
研究開始時の研究の概要 |
今日の光ネットワークでは、個人情報を含む多くの秘密情報が行き交っている。このため、秘匿性の高い光通信システムを構築することは極めて重要な課題である。本研究では、既存の商用光ネットワークに応用できる汎用性の高い光秘匿通信技術を確立することを目的とする。具体的には、我々らが提案してきた光信号の振幅と位相情報を用いた2次元物理暗号へ、新たに時間軸への秘匿(情報拡散)動作を組み合わせた3次元光秘匿通信方式を研究開発する。そして、波長分割多重方式を用いてテラビット級の光秘匿通信容量を実現するとともに、主要都市間(東京~大阪)を結ぶ光ネットワークへの応用を見据え500 km以上の伝送距離を達成することを目指す。
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研究実績の概要 |
令和4年度は、3次元光秘匿通信のリアルタイム動作の実現に向け、受信部における光注入同期回路の改良を図った。具体的には、様々な構造の半導体レーザ(LD)を局発光源として用いた場合の光位相同期動作の安定性を詳細に評価し、λ/4シフト構造を持たないグレーティング構造を有する分布帰還型LDが最適であることを明らかにした。光注入同期を利用したアナログ回路による高安定な光位相同期動作を実現したことにより、受信部のデジタル信号処理部(DSP)の負荷を大幅に軽減することが期待される。 また次年度に実施する波長分割多重(WDM)伝送実験に向け、光周波数コム生成器を利用した多波長光源を構築した。信号のシンボルレートが5 Gbaudであることから、光周波数コムのコム間隔は10 GHzに設定し、10チャネル分以上の光キャリア信号の安定供給を実現した。 本年度はさらに、昨年度の設計をもとにFPGA(Field Programmable Gate Array)回路を作製した。具体的には8ビットの乱数列生成器を追加し、それを用いて申請書で提案した2種類の時間拡散回路(方式1:ダミー信号を利用する方式、方式2:ダミー信号は用いず、暗号化データの順序を時間軸上で入れ替える)を既存のFPGA回路へインストールした。方式1は回路内で生成したメイン信号とダミー信号を加算するだけであるため、この信号処理に伴う時間遅延の増加はなかった。一方、方式2は生成した暗号信号を一度FPGA内のメモリに蓄え、時間軸上で入れ替え作業を行った後に出力する手順となるため、その処理時間に約5 μsの遅延が生じた。しかし、数μsの遅延は暗号通信においては大きな影響はなく、実用上問題ないと判断した。いずれの方式においても、送信部における暗号化と受信部における復号化の正常動作を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次年度から取り組むオンラインWDM伝送に必要な光位相同期回路、WDM用光源、FPGA暗号化・復号化回路の作製を計画通り推進した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に作製した各部品を組み合わせ、3次元光秘匿通信信号のリアルタイム伝送実験に着手する。また、波長分割多重方式により伝送容量を1 Tbit/s以上に拡大し、さらに周回ループを用いた光ファイバ伝送系を構築して500 km以上の長距離伝送を実現する。
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