研究課題/領域番号 |
21H04550
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分21:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
喜多 浩之 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (00343145)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
42,510千円 (直接経費: 32,700千円、間接経費: 9,810千円)
2023年度: 10,660千円 (直接経費: 8,200千円、間接経費: 2,460千円)
2022年度: 13,000千円 (直接経費: 10,000千円、間接経費: 3,000千円)
2021年度: 18,850千円 (直接経費: 14,500千円、間接経費: 4,350千円)
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キーワード | 電子・電気材料 / 表面・界面物性 / 誘電体 / 電子デバイス・機器 / 界面双極子 |
研究開始時の研究の概要 |
電子デバイスにおいて絶縁膜は重要な役割を担っている。界面のバンドアライメントはその機能を決定するパラメータであり,MOSFETの閾値電圧や絶縁膜のリーク電流の抑制能力を左右する。ところが絶縁体同士や絶縁体/半導体のバンドアライメントの決定機構は曖昧であり,特に界面形成に伴うイオンの再配置や添加元素がもたらす界面電荷対によるダイポール効果に大きく影響される。本研究では界面電荷のエンジニアリングによってダイポール効果を意図的に大きく変調することを目指す。界面電荷を決定する因子を分類した上で体系的な理解を進め,さらにこの理解に基づいてバンドアライメント変調によるデバイス特性の制御を実証する。
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研究実績の概要 |
界面バンドアライメントは,電子デバイスにおいて絶縁膜の機能を決定する重要なパラメーターの1つである。本研究では界面で生じるダイポール効果や,界面への修飾元素の挿入によってバンドアライメントが変化する現象についての理解と解析を行っている。 まず4H-SiC/SiO2界面のバンドアライメントは,界面欠陥構造の終端の目的のために最表面のCをN置換された構造をつくると生じるダイポール効果によって影響される。SiCの面方位を(0001),(000-1),(1-100)と変更して比較したところ,面方位によってダイポールの向きが異なり,それに伴ってMOS構造を流れるリーク電流の大きさが強く影響されることを実証した。また,このバンドアライメントの変化に伴うMOSFETの閾値の負方向のシフトを打ち消す目的で,Al2O3の極薄膜をSiO2上に堆積した構造としたところ,Al2O3/SiO2界面で生じる逆向きのダイポールによって閾値を正方向にシフトさせることに成功した。 次にβ-Ga2O3/SiO2界面について,Ga2O3基板上へのSiO2堆積後の熱処理に伴うバンドアライメントの変化を光電子分光の価電子帯スペクトルから解析した。600℃では変化は小さいが1000℃で価電子帯のオフセットが大幅に低減した。しかしこの変化量はSiO2の形成手法に大きく依存しており,例えば原子層堆積を用いた化学蒸着法では抑制されていたため,今後に原因の解明を進める予定である。 さらに,ペロブスカイト酸化物薄膜のエピタキシャル界面に,成長軸方向に正負の電荷の偏りを持つ層が交互に積層する分極材料であるLaAlO3を数nmだけ挿入する構造が示すダイポール効果について,積層順序を一様に揃える成長条件を見出し,ダイポール効果の効果的な発現を実証した。今後は積層順序の面内均一性を定量的に評価し,同系でのダイポール効果の制御を実証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初想定していた複数の材料系のうち,特にワイドギャップ半導体SiCやGa2O3とゲート絶縁膜SiO2の間に生じるダイポール効果の変調現象,さらにはその電気特性への影響についての研究が順調に進んでいる。さらに酸化物の成膜手法を変え,原子層堆積法を利用した試料の準備が開始できたため,次年度以降の研究へ向けて検討範囲を大きく広げた展開が可能となっている。 さらに,本研究において実施した歪み導入アニール実験によって,ナノメートルオーダーの酸化膜の物性,特に強誘電性の発現に大きな影響を与える現象が新たに発見された。これは本研究から派生して新たな研究を開始するきっかけとなったという意味で,意外な進展であった。
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今後の研究の推進方策 |
研究を遂行するうちに,界面ダイポール効果には酸化物薄膜の成膜手法による影響が大きく現れる可能性が示された。そこで当初の研究計画では予定していなかったものの原子層堆積法を用いた高品質SiO2や高品質Al2O3膜に評価対象を広げて成膜手法による界面構造の違いと得られるダイポール効果の相関についての解析を行う計画としている。このような評価を加えることで本研究を推進できると考えられる。 またエピタキシャル薄膜の積層構造の例であるペロブスカイト酸化物系の試料について面内に小さな領域ごとのダイポール効果の不均一性が示唆されたため,これを均一化するための試料形成法を考案している。この効果を実証するとともにエピタキシャル薄膜中のダイポール効果についての議論を進める予定である。
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