研究課題/領域番号 |
21H04556
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分21:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
藤本 康孝 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (60313475)
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研究分担者 |
下野 誠通 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (90513292)
小原 秀嶺 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (50772787)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
41,730千円 (直接経費: 32,100千円、間接経費: 9,630千円)
2023年度: 16,510千円 (直接経費: 12,700千円、間接経費: 3,810千円)
2022年度: 11,700千円 (直接経費: 9,000千円、間接経費: 2,700千円)
2021年度: 13,520千円 (直接経費: 10,400千円、間接経費: 3,120千円)
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キーワード | アクチュエータ / 減速機 / 回生効率 |
研究開始時の研究の概要 |
小型で大きなトルクが必要となるロボットや搬送装置などで用いられる減速比1/100程度の減速機のエネルギー効率は力行動作時で約70%、回生動作時で約55%であるため、運動エネルギーを十分回収できない。本研究では、力行・回生効率ともに98%の減速機を備えた超高効率アクチュエータを提案する。減速機の力行・回生効率の理論限界の解明、および、減速機、モータ、電力変換回路からなるアクチュエータ全体の力行効率・回生効率の理論限界の解明を行う。また、超高効率アクチュエータで駆動されるロボットを備えた工場を想定し、力行動作のタイミングを適切に制御することで瞬時電力を低減する電力ネットワークのモデルを構築する。
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研究実績の概要 |
初年度に得られた知見に基づき、様々な減速比、体格、定格トルク、定格出力における力行効率と回生効率を算出可能な一般化された数理モデルを構築した。初年度に製作した減速機の構成では偏心を十分に補償できていない可能性があることから、より安定な偏心補償を行うためにキャリアの機能を等配置した複数のクランク軸により実現する新しい構造を提案した。これにより、1段目と2段目の遊星減速機の位相差を180度とし、安定的に偏心補償が可能となった。このモデルでは複数のクランク軸には別途歯車を配置し、入力軸の歯車とのかみ合いにより駆動する。効率算出の一般化モデルを拡張することで、この複雑な構造の減速機構の効率式を導出し、歯面摩擦係数0.1と仮定した場合で理論効率97.9%となるパラメータを算出した。求めたパラメータに基づき、減速機の設計と試作を行った。テストベンチを用いた測定では、力行動作については減速機を減速動作させ、様々な負荷における入出力トルクおよび入出力角速度を測定し、力行効率を算出したところ、初年度モデルと比較して高い効率を得たものの、理論値よりもやや低い値となった。歯形創成時の加工誤差による干渉の発生の可能性があるため、次年度にこれを解消する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、減速機の改良、試作、測定まで実施することができたため、進捗は概ね順調に進展している。改良減速機のパラメータ最適化では、減速比1/74で97.8%の理論効率が得られており、当初の研究目的であるエネルギー的に透明なアクチュエータの実現可能性を示すことができている。ただし、測定で得られた結果については、未だに理論予想との乖離があり、その原因を特定し更なる改善を検討することが課題である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、引き続き理論効率と実測効率の差の原因特定を進める。 特に現在まだモデルに組み込むことができていないと予想される干渉条件について精緻なモデル構築を行う。これらの条件を考慮した減速機を再設計・製作し、力行効率・回生効率の測定実験を通してモデルの妥当性評価を行う。併せて、モータおよび電力変換回路の力行効率・回生効率のモデルを構築を進める。
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