研究課題/領域番号 |
21H04565
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分21:電気電子工学およびその関連分野
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
能崎 幸雄 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (30304760)
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研究分担者 |
松尾 衛 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 客員研究員 (80581090)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
43,420千円 (直接経費: 33,400千円、間接経費: 10,020千円)
2023年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
2022年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
2021年度: 26,910千円 (直接経費: 20,700千円、間接経費: 6,210千円)
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キーワード | スピン回転結合 / スピン角運動量 / 表面弾性波 / スピン流 / スピン渦度結合 / スピン波 |
研究開始時の研究の概要 |
物質の磁気に関する根源的な問いから発見された磁気回転効果は、力学的回転と電子の軌道・スピン角運動量が可換であることを示唆しており、ナノメカトロニクス(力学)とスピントロニクス(電気・磁気)を融合する重要な鍵として注目を集めている。申請者らは、格子点がGHz帯で超高速に回転するフォノンの局所角運動量から、磁気を生み出すことに世界で初めて成功し、磁気回転効果の固体デバイス応用を目指している。本研究では、薄膜試料の磁気から音波を生み出す逆変換を実証し、デバイス化に不可欠な磁気と音波の双方向変換を実現する。さらに、磁気回転効果の素過程に関する未解明問題に挑戦し、磁気回転効果を最大化する要件を解明する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、薄膜試料の磁気から音波(SAW)を生み出す逆変換を実証し、デバイス化に不可欠な磁気と音波の双方向変換を実現することである。本年度は、伝導電子スピンと局在電子スピンを介した磁気回転効果の効率の差異を調べるため、絶縁性の強磁性体(フェリ磁性体イットリウム鉄ガーネット(YIG))へのSAW注入実験に着手した。バルクと同等の磁化特性を薄膜YIGで実現するためには、結晶性の向上が不可欠である。一方、レイリー型SAWを優先励起できる圧電体単結晶基板(LN基板)は、原子配置の対称性が低いためエピタキシャル成長を実現することが難しく、実現例がほとんど報告されていない。今回、成膜後の熱処理条件(基板温度、雰囲気)により、YIGをLN基板上にエピタキシャル成長させることに成功した。また、空洞共振器を用いた強磁性共鳴スペクトルの観測にも成功し、良好なダンピング特性を確認した。現在、単結晶YIG薄膜へのSAW注入による磁気回転効果の評価を行っている。 次に、非磁性体金属の伝導電子スピンに作用する磁気回転効果において、その素過程にスピン軌道相互作用が関与しているかどうかを明らかにするため、スピンホール効果の極性が異なる2種類の非磁性金属(PtとMn)と強磁性薄膜(Ni-Fe合金)を組み合わせた3層構造を作製し、音波の振幅変化と位相シフト量を測定した。その結果、いずれの構造においてもSAW由来のスピン波共鳴の励起を観測し、その強度を比較した。その結果、Ni-Fe合金にPt、またはMnを貼り付けた2層膜に比べ、Ni-Fe合金の上下にPtとMnを貼り付けた3層膜のスピン波強度が大きく、PtとMnからのスピントランスファートルクが相乗効果として作用することが分かった。一方、上下にPtを貼り付けた3層膜において、当初予想しなかった極めて非相反性の高いスピン波共鳴が励起された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「伝導電子スピンと局在電子スピンを介した磁気回転効果の効率の差異」と「磁気回転効果におけるスピン軌道相互作用の役割」を明らかにする実験に着手し、それぞれ当初の研究計画通りの成果が上がっている。さらに、当初計画では予想していなかった現象(Pt/Ni-Fe/Ptからなる3層膜における非相反的なスピン波共鳴励起)を発見しており、その起源解明により、磁気回転効果におけるマグノン-フォノン結合の微視的理論の精密化(研究分担者の松尾による理論研究)にフィードバックできると考えられる。このように、実験・理論モデル構築とも計画通り順調に進捗していると評価している。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況に記載の通り、実験・理論構築とも当初計画通り進んでおり、これまでに得られた結果についても研究代表者が当初計画の予想通りのものが得られている。したがって、R5年度も当初計画通りの研究テーマを実施し、最終目標である「スピン流・スピン波による音波の位相シフト最大化と音波生成の実証」に向けた知見を得る。
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