研究課題/領域番号 |
21H04572
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分22:土木工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石田 哲也 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (60312972)
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研究分担者 |
高橋 佑弥 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (10726805)
市村 強 東京大学, 地震研究所, 教授 (20333833)
高木 周 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (30272371)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
42,380千円 (直接経費: 32,600千円、間接経費: 9,780千円)
2023年度: 11,180千円 (直接経費: 8,600千円、間接経費: 2,580千円)
2022年度: 13,130千円 (直接経費: 10,100千円、間接経費: 3,030千円)
2021年度: 18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
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キーワード | マルチスケールモデル / セメント・コンクリート / ナノ構造 / セメント水和物 |
研究開始時の研究の概要 |
セメント硬化体の空隙を再現したデジタル微細構造を創り出し、分子レベルの挙動に立脚した数値解析モデルと大規模数値解析を組み合わせることによって、これまでのマルチスケールモデル研究においてミッシングリンクとなっている、ナノ~マイクロメートルオーダーの空間スケールで展開される現象を直結して評価することを目指す。セメント・コンクリート内部の物質移動の機構解明や既存モデルの精度向上を達成するとともに、物質浸透を一切許さない革新的な建設材料の開発に資する情報を得る。
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研究実績の概要 |
(1)デジタル微細構造場におけるラティスボルツマン法による物質輸送解析 微小な粒子(ラティスボルツマン粒子)が、規則的な格子状に配置された領域内での流体挙動をモデル化する、ラティスボルツマン法を用いた物質の大規模輸送解析法の構築を行った。物質輸送の場を表現するにあたっては、HYMOSTRUC(デルフト大で開発され多くの研究実績を有する微細構造解析法)およびCEMHYD3D(米国・NISTによる微細構造解析法)の二種類の方法を用いて算定し、ラティスボルツマン法と組み合わせた検討を行った。解析値と実験値を丁寧に検証した結果、既往の手法により得られる仮想微細構造は、物質移動の重要な指標である連結性を十分に表現できていないことが明らかになった。
(2)大規模数値解析を前提とした解析コスト低減手法の開発 時間発展問題について、空間を有限要素法,時間を陰的時間積分で離散化して解くことを考える場合、離散化された方程式をimplicit solverにより解くことが必要となるが、方程式の性質によってはその求解のための反復数が多くなり、結果的に解析コストが課題となる。この課題を解決するために、シミュレーション実施中に過去時間ステップで得られた解析結果を逐次学習し、implicit solverの初期解の近似性能を高める手法の基礎検討を行った。数値実験を通して、本手法により方程式求解時の反復数が軽減され、解析コスト軽減が実現されることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
セメント硬化体の微細構造とラティスボルツマン法を組み合わせた解析手法の構築に成功し、過去の実験結果との比較検証から、既往の手法では空隙構造の特徴を十分に捉えられていないことが明らかとなった。次年度では、二次元画像から三次元画像を生成する新しい手法に挑戦したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究成果に基づき、以下の項目について研究を行っていく。 (1)敵対的生成ネットワークを用いたセメント硬化体3次元微細構造生成法の開発 畳み込みニューラルネットワークと敵対的生成ネットワークを組み合わせたDCNN-GANによって、2次元SEM画像を3次元微細構造へと変換する手法の開発と検証を行う。検証にあたっては、未水和セメント、セメント水和物、空隙などから構成される相体積比、前年度に開発した物質輸送解析法に基づくパーコレーション比、2点相関関数、および有効拡散係数などの指標を用いてその妥当性を議論する。この手法が確立されれば、限定的な二次元SEM画像などから生成さえれる3次元擬似微細構造によって、様々な物性をミクロなレベルから直接評価可能となり、大きな研究上のブレイクスルーが期待される。 (2)マルチスケールボトムアップモデリングによる物質輸送解析と実験データとの比較検証 セメント硬化体のゲル空隙の一部および毛細管空隙スケール(10~300nm)を出発点としたマルチスケールボトムアップモデリングを行い、実験データとの比較検証を行う。ここで、セメント硬化体の構造が大きく異なる普通ポルトランドセメント(OPC)の系と、フライアッシュ(FA)を混入した系の二パターンについて検討を行う。FIB-SEMや、前述のSliceGANにより得られる微細構造の空隙量や連結性に着目し、OPCとFAの構造の相違の本質に迫る。なお、10nm以下のゲル空隙も物質移動(塩化物イオンの移動)に寄与すると考えられるが、ここの物質移動特性については、過去の文献から得られる値を当面仮定して与え、もし連結性のみでは説明できない傾向が得られた場合には、水和物の壁面近傍の電気二重層(EDL)によるイオン拡散の遅延を考慮したシミュレーションを行う。
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