研究課題/領域番号 |
21H04580
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分23:建築学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大月 敏雄 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (80282953)
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研究分担者 |
飯島 勝矢 東京大学, 未来ビジョン研究センター, 教授 (00334384)
檜山 敦 一橋大学, 大学院ソーシャル・データサイエンス研究科, 教授 (00466773)
菅原 育子 武蔵野大学, ウェルビーイング学部, 教授 (10509821)
二瓶 美里 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (20409668)
孫 輔卿 東京大学, 未来ビジョン研究センター, 特任准教授 (20625256)
田中 敏明 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任研究員 (40248670)
井口 高志 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (40432025)
祐成 保志 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (50382461)
松田 雄二 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (70516210)
三浦 貴大 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (80637075)
李 鎔根 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (90833913)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,730千円 (直接経費: 32,100千円、間接経費: 9,630千円)
2024年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2023年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2022年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2021年度: 12,090千円 (直接経費: 9,300千円、間接経費: 2,790千円)
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キーワード | 老年学 / 100年人生 / 包摂型 / 地域再生 / 地域診断 / 人生100年時代 / 超高齢社会 / 幸福感 / 健康感 / ソーシャル・キャピタル / ソーシャル・ウェルビーイング |
研究開始時の研究の概要 |
90歳以上の超高齢者の健康度を居住する社会環境の中で評価し直し、QOC(Quality of Community)を高める新機軸を、子ども、障害者、様々なライフスタイルをもつ人々をも同時に対象化しつつ、100年人生対応の地域創出のための包括型地域再生手法を導くことを目的とする。具体には、「100年人生を見据えた多様な個人特性の適正評価」「個人特性に適した次元空間を超えた居場所の評価」「地域資源へのアクセシビリティの評価」という仮説的診断軸を導入しつつ、「都市・地方」×「既成市街地、戸建住宅地、集合住宅団地」の属性をもつ6類型地域を対象に統合型地域診断法を確立し、各々の地域再生手法を提案する。
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研究実績の概要 |
人生100年時代の日本における、年齢輪切り(ageism)型ではない地域再生手法の検討を行うために、<個人の評価><居場所の評価><移動可能性の評価>の3つの診断軸を据え、建築学、医学、社会学、福祉工学・情報学の4研究領域における専門的知見の総合化を試みてきたが、当該年度においては、これらの仮説的診断軸の精緻化を行なった。また、この診断軸を適用すべき地域として、予算内で実行可能なエリアとして荒川区西尾久地区・八王子市めじろ台地区・柏市UR豊四季台団地・福岡県大牟田市、福岡県北九州市を仮説的に選定した。 まず地域再生の時期の検討として、団塊の世代が90歳代を迎え、団塊ジュニア世代が前期高齢者となる2040年問題への対応を念頭とすることが確認された。さらに、計測データとして「オープンデータ(国調等)」「行政秘匿データ(医療・介護保険レセプト・住基台帳・固定資産税台帳等)」「独自採集データ(アンケート・聴取・観察等)」の基本形があることが確認された。また、<個人の評価>においては、対象者の包括性の確保の重要性を再確認した上で、後期高齢者をさらに臨床的に「85歳程度まで」とそれ以上に分けることによって、重要視される指標が「生きがい」から「尊厳」へと変わるという仮説を得た。その上で、主観性に基づく幸福感と健康感が、客観性に基づく評価とギャップがあることも確認された。 <居場所の評価><移動可能性の評価>については、個人に関わる評価軸と当該地域社会に関わる評価軸に分けて計測・評価する視点が重要であることが確認され、ソーシャル・キャピタル、ソーシャル・ウェルビーイングという指標が重要である点を踏まえ、地域診断の方向性についても、当該地域社会全体を物理的・社会的に改変していくための処方とは別に、個々の生活者にとって必要な社会的処方(social prescribing)の重要性も確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は、診断軸の精緻化に加え、対象とする地域の仮決定を行うことを目標としていたが、概ね達成できている。特に診断軸において計測されるべきデータについて、各専門分野(特に、建築、医学、社会学)で収集されるべきデータの種類とその相互関係について詳細に検討することができ、「オープンデータ(国調等)」「行政秘匿データ(医療・介護保険レセプト・住基台帳・固定資産税台帳等)」「独自採集データ(アンケート・聴取・観察等)」の基本形が、専門分野を跨いで重要であることの確認ができたことは、大きな進展であった。 さらに、現在国が進めている全世代型社会保障構築会議でも議論になっているような全世代への対応という意味での対象者の包括性において、後期高齢者がさらに「85歳程度まで」と、それ以降に分けることができそうだという仮説とともに、この区別において重視される指標が「生きがい」から「尊厳」へと変わるだろうという仮説を得たことも、重要な発見であった。 上記のような検討項目及び評価手法の精緻化と構造化を踏まえ、具体の計測地域の選定においても、上記したようなデータ群が揃うことを念頭に検討を加えた結果、5地域を対象に絞ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
第3年目である2023年度は、荒川区西尾久地区・八王子市めじろ台地区・柏市UR豊四季台団地・福岡県大牟田市、福岡県北九州市におけいて、「オープンデータ(国調等)」「行政秘匿データ(医療・介護保険レセプト・住基台帳・固定資産税台帳等)」「独自採集データ(アンケート・聴取・観察等)」といった観点からの基礎的情報収集と分析を行う。 第2年目はデータ収集・分析とその評価手法の構造化のために、特に、建築、医学、社会学における検討を中心におこなってきたが、福祉工学・情報学からの知見をこれに加えて、地域を統合的に分析・診断するためのプロトコルの創出に着手する。この際、GISを用いた主として都市計画等でおなわれている空間分析と属性ごとの社会サービスの地理的統合を主眼とした地域のソーシャル・キャピタル、ソーシャル・ウェルビーングといった観点を重視する総合地域診断と、個人の属性によって異なるサービス・ニーズの偏在性の特性といった、従来になかった、地域評価の手法にチャレンジし、さらに、個々の生活者にとって必要な社会的処方(social prescribing)の重要性しながら、地域ごとの再生手法の方策の提案を試みることを計画している。
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