研究課題/領域番号 |
21H04588
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分24:航空宇宙工学、船舶海洋工学およびその関連分野
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
松永 三郎 東京工業大学, 工学院, 教授 (00222307)
|
研究分担者 |
古谷 寛 東京工業大学, 工学院, 准教授 (00190166)
宮崎 康行 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (30256812)
森 治 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (30313331)
谷津 陽一 東京工業大学, 理学院, 准教授 (40447545)
松下 将典 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 招聘職員 (40829785)
佐藤 泰貴 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 准教授 (70726760)
中条 俊大 東京工業大学, 工学院, 助教 (80808618)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
採択後辞退 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
43,160千円 (直接経費: 33,200千円、間接経費: 9,960千円)
2023年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2022年度: 12,740千円 (直接経費: 9,800千円、間接経費: 2,940千円)
2021年度: 23,660千円 (直接経費: 18,200千円、間接経費: 5,460千円)
|
キーワード | 可変形状宇宙システム / 姿勢軌道同時制御 / 軌道上実証 / 軽量高剛性収納展開構造機構 / 先端宇宙科学ミッション |
研究開始時の研究の概要 |
従来の宇宙システムに対して、構造的な可変機能を積極的に付与して制御・管理することにより、従来では達成できなかった姿勢と軌道の同時制御ができる可能性が判明してきた。本研究では、早期実証を目指す衛星の開発、打上、軌道上運用を実施し、その過程で得られる知見を継承活用しながら、具体的な科学ミッションを定義した上で、その要求仕様を満たす可変形状制御法の理論・実装研究や可変形状機構システムのフライトモデルを指向した試作研究を総合的に実施して、可変形状制御を体系化する。制御管理された「可変形状機能」を今後の宇宙システムのための姿勢軌道制御の基本標準技術へと昇華させることを目指す。
|
研究実績の概要 |
可変形状姿勢軌道制御の体系化研究に関して、まず可変形状姿勢制御実証衛星ひばりのフライトモデルの開発を完了させ、打ち上げ、軌道投入を行った。軌道上での基本的な機能確認の後、世界で初めてとなる、可変形状機能を積極的に利用した姿勢制御の基本的な実証を成功させた。また形状変化に伴う大気抵抗トルクや重力傾斜トルクの変化による姿勢運動の特性変化に関する解析を行い、将来技術として、可変形状技術を応用した回転駆動が可能なソーラーセイルの軌道・姿勢同時制御のための力学解析を行った。さらに、折り畳まれた膜面を自己伸展ブームにより展開する際の展開運動を安定に解析する手法を定式化し、数値シミュレーションによりその妥当性を示した。 可変形状機構システムの実用化研究に関して、まず収納展開機構のプロトモデルの設計・試作、実験・評価を行い、改良を行った。また、新たなアイデアに基づく高剛性展開構造の収納展開機構の検討・設計・試作を行った。加えて、超小型可変形状ソーラー電力セイル探査機ミッション・システムを検討し、展開構造システムを提案し、収納・保持・解放・展開・展開後ラッチ方法の概念検討を行った。 システム即応設計統合開発と軌道上実証に関して、キューブサット用の市販コンポーネントを積極的に採用し、要所は民生部品を用いた自作回路と組み合わせることで、拡張性の高いシステムを構築し、信頼性と低コストを両立することに成功した。地上での環境試験ののち、ひばりによる軌道上での動作実証を行った。 可変形状宇宙機のミッションと仕様の検討に関して、上述のようにソーラーセイルを用いたミッション設計を行ったこと、ひばりに搭載した超高性能スタートラッカの軌道上実証に加え、高分解能カメラ、紫外線カメラ等を用いた文観測やオーロラ等の観測を実施することで、可変形状宇宙機のミッションとして将来実現可能なテーマを探すべくデータ収集を行なった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
可変形状姿勢制御実証衛星ひばりの運用を開始し、本研究の要である可変形状機能を用いた姿勢制御を軌道上で実証することに成功している。軌道上で大きなトラブルがなく実験ができる状況が整ったことは、本研究をさらに推進する上で非常に重要な進捗である。加えて、搭載したスタートラッカには打ち上げ直後に電源が投入され、初期設定のままで恒星を識別しLost-In-Spaceから姿勢を計測することに成功した。これ以降、ひばりの姿勢センサとして稼働を続けている。高分解カメラでは撮影された恒星画像を解析し宇宙線損傷によるホットピクセルを除去する等のデータ解析を行い、天球座標と比較して衛星の姿勢推定に用いた。これらのデータ解析手法は、軌道上でのCMOSセンサを用いた天文観測にそのまま応用できる技術であり、現在開発中の陸海・天文衛星うみつばめでの天体観測に応用されるものであり、可変形状宇宙機の新たなミッションの創出につながるものである。また可変形状機構システムの実用化研究に関連して、軽量高剛性収納展開機構の当初想定していた以外の新たな展開収納方式を提案・評価することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
可変形状姿勢軌道制御の体系化研究については、ひばりの運用を続け、可変形状機能を用いた姿勢制御の基本的な性能評価を行う。加えて、形状変化に伴う大気抵抗トルクや重力傾斜トルクの変化を考慮したダイナミクスの解析を深めるとともに、その検証のための軌道上実験の準備を行う。さらに可変形状姿勢制御を積極的に利用した地球周回軌道における応用ミッションや、深宇宙ミッションに関する検討を行う。また、可変形状機能を大型柔軟構造で実現する場合を想定し、宇宙機本体の軌道・姿勢運動と柔軟大型構造の変形・振動との連成ダイナミクスを整理する。 可変形状機構システムの実用化研究については、まず収納展開機構プロトモデルと新規アイデアによる収納展開機構モデルの設計・試作・実験. 評価の結果を総合的に検討する。またジンバル付き傘型ソーラーセイルの試作を行い、提案モデルの妥当性および改善すべき点を明らかにする。 システム即応設計統合開発と軌道上実証については、設計した回路システムを改良し量産できる体制構築を目指す。 可変形状宇宙機のミッションと仕様の検討については、軌道上のデータを参考に、可変形状宇宙機を用いたミッションを具体的に検討する。その一つとして、超小型可変形状ソーラー電力セイル探査機のミッション提案を目指す。
|