研究課題/領域番号 |
21H04613
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
稲邑 朋也 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (60361771)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
43,030千円 (直接経費: 33,100千円、間接経費: 9,930千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 12,610千円 (直接経費: 9,700千円、間接経費: 2,910千円)
2021年度: 22,750千円 (直接経費: 17,500千円、間接経費: 5,250千円)
|
キーワード | マルテンサイト変態 / 形状記憶号金 / 形状記憶効果 / 長寿命化 / 転位密度 / 形状記憶合金 / 回位 / 加工熱処理 / マルテンサイト / 適合条件 / 3重点 |
研究開始時の研究の概要 |
形状記憶効果は繰り返し駆動による機能劣化が激しくほとんど実用化されていない.本提案ではドメイン組織のねじれに注目し,「ねじれの完全消去条件」とその近傍での残留ねじれ・ドメイン組織・転位累積・特性の関係を明らかにし,ねじれによる転位累積が機能劣化の主因であることを立証し長寿命化原理を確立する.さらに,ねじれは小さければ弾性緩和されることに着目し,残留していても機能劣化が進行しない「許容ねじれ量」が存在し,降伏応力を高めれば許容ねじれ量を拡大できることを検証する.これらにより,材料学的に裏付けされた,合金組成の選択幅が担保された実現性の高い長寿命化設計指導原理を構築する.
|
研究実績の概要 |
加工熱処理法とねじれ制御の相乗効果によって形状記憶合金の長寿命化が可能であることは昨年度までに明らかにしている.そこで今年度は,さらに降伏応力の増加と,ねじれ制御それぞれが長寿命化に与える効果を分離して評価することに重点を置いて研究を行った. 添加元素によりねじれ消去すると,固溶強化の度合いが変化することを加味すると,ねじれ消去による転位抑制効果と,固溶強化による転位抑制効果を分離して評価する必要がある.そこで降伏応力がほぼ等しくねじれの大きさだけがことなる3種の合金を準備して,X線回折による転位密度測定を行った.その結果,ねじれの大きさが小さくなることで,繰り返し変態によって生じる転位の密度は小さくなることが明らかになった.したがって本長寿命化手法は損傷蓄積の抑制に極めて有効であることが示された. 組織形成のその場観察をおこない,ねじれ低減にともなう組織形成過程の変化を解析した.その結果,ねじれの大きさが低減すると,複数のドメインが結合した複雑なドメイン構造のコロニーが同時に発生するというマルテンサイト変態組織としては特異な形成過程を経ることも明らかにした.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画を超えて,組織形成過程におよぼすねじれの効果が明らかになりつつあることから区分(1)とした.
|
今後の研究の推進方策 |
組織形成過程を詳しく解析し,ねじれが組織形成に及ぼす影響を明らかにすることで,本長寿命化法の有効性を示すとともに,マルテンサイト組織形成の学理深化を目指す.
|