研究課題/領域番号 |
21H04618
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松永 克志 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (20334310)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
42,640千円 (直接経費: 32,800千円、間接経費: 9,840千円)
2023年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2022年度: 15,730千円 (直接経費: 12,100千円、間接経費: 3,630千円)
2021年度: 19,240千円 (直接経費: 14,800千円、間接経費: 4,440千円)
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キーワード | 転位 / 光照射 / 電子構造 |
研究開始時の研究の概要 |
半導体やセラミックスに用いられる無機結晶は、強固な化学結合性故に、室温で強度は高いが脆い性質をもつとされてきた。しかし近年の硫化亜鉛(ZnS)結晶に関する研究により、周囲の光環境が結晶の機械的性質に大きな影響を与えていることが判明した。しかし、同現象がどのような結晶で発現するのかについては、未だ明らかになっていない。本研究では、ZnSと同じ閃亜鉛鉱構造を持つ化合物半導体結晶を対象とし、光硬化現象のメカニズムと重要因子を明らかにする。
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研究成果の概要 |
閃亜鉛型結晶構造を有するII-VI族もしくはIII-V族化合物半導体結晶が示す光照射による硬化・軟化現象の起源を解明するため、第一原理計算および実験検証を行った。光照射による電子・ホールが生成されると、転位コアにおける静電場と相互作用し、転位コアの原子配列が変化することが判明した。この微視的メカニズムにより、半導体中の転位の移動度が変化し、結晶の効果・軟化が発現することを指摘した。また半導体単結晶をもちいた圧縮試験による実験検証も行い、同現象を実証した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
硫化亜鉛単結晶は、通常の白色光下では数%の塑性歪みを示したのち急激な破壊を示す(光硬化現象)のに対し、暗室下では10倍以上の塑性歪みを示す。この申請者らの成果により、従来から脆いと考えられてきた無機結晶であっても、光環境を変えることで、機械的性質を大きく制御できる可能性が広がったといえる。本研究は、この現象の起源を電子・原子レベルで解明した。半導体やセラミックスの無機結晶は、その結晶構造および化学結合性により硬くて脆いと考えられてきた。その常識を覆す成果に対する基本原理を提示したという点で、学術的意義は大きいといえる。
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