研究課題/領域番号 |
21H04620
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
野平 俊之 京都大学, エネルギー理工学研究所, 教授 (00303876)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,730千円 (直接経費: 32,100千円、間接経費: 9,630千円)
2024年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
2023年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
2022年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
2021年度: 12,480千円 (直接経費: 9,600千円、間接経費: 2,880千円)
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キーワード | 太陽電池 / 溶融塩 / 電解還元 / シリコン / 液体亜鉛カソード |
研究開始時の研究の概要 |
太陽電池用シリコンを、高純度シリカを原料として、低エネルギー・低コスト・高生産性で製造する方法を開発する。研究代表者らが提案した「溶融CaCl2中における液体亜鉛陰極を用いた電解還元法」の飛躍的な発展を目指し、次の二つの要素研究を行う。 ①液体陰極上でのシリカ電解還元のメカニズム解明と最適化 ②液体Zn-Si合金からのSi析出工程の最適化と太陽電池純度の達成
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研究実績の概要 |
太陽電池用シリコンを、高純度シリカを原料として、低エネルギー・低コスト・高生産性で製造する方法を開発する。従来の炭素熱還元に代わる還元方法として溶融CaCl2中における液体亜鉛陰極を利用した電解還元法を採用し、「電解工程」と「Si析出工程」からなる新製造法の確立を目指して次の二つの要素研究を行う。 ①「電解工程」における液体Zn-Si合金陰極上でのSiO2電解還元の「メカニズム解明」と「実用化に向けた条件最適化(温度、電流密度、セル形状等)」 ②液体Zn-Si合金からの「Si析出工程」の基礎データ取得と、実プロセスを念頭にした条件最適化 本年度は、①に関して、プロセスを低温化する検討として、R4年度に引き続き、融点の低い溶融NaCl-CaCl2中で検討を行った。前年度に明らかになったCaOとSiO2を最適な比率で添加した溶融NaCl-CaCl2中で、液体Zn電極および固体グファイト電極を用いて、種々の電位で定電位電解を行いサンプルを作製した。得られたサンプルは、所定の方法で付着塩を洗浄した後、表面および断面観察を行った。さらに、Znを酸溶解させ、得られたSiの重量から電流効率を算出した。また、形態・組成をSEM/EDXで分析し、不純物量をICP-AESで分析した。 ②に関して、R4年度に新たに購入したブリッジマン炉を用いて、種々の降温パターンでSiを析出させ、形態観察および機器分析を行った。特に、サンプルを上方向に移動させて降温する場合と、サンプルを下方へ移動させて降温する場合について比較した。また、実験温度を従来の850℃より50℃高い900℃に設定し、より多くのSiを溶解させることも試みた。降温後に得られたZn-Si合金からZnを酸溶解させ、残ったSiの形態・組成をSEM/EDXで分析し、不純物量をGD-MSで分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
従来と比較して低温化が可能な溶融NaCl-CaCl2中において、最適な比率でCaOとSiO2のを添加した状態で、液体Zn電極およびグライファイト電極を使用して多くのサンプルを作製・分析することができた。これにより、液体Zn-Si合金陰極上でのSiO2電解還元のメカニズム解明が進むとともに、電流効率や電解速度を向上させる方向性をつかむことが出来た。また、液体Zn-Si合金からのSi析出では、R4年度に導入したブリッジマン炉により種々の降温パターンを精密に制御できるようになり、最適な析出条件がかなり絞り込めてきた。また、純度分析として、精度の高いGD-MSを用いることで、各不純物元素の挙動を詳細に把握できた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、以下のような計画で研究を推進する。 1.溶融NaCl-CaCl2もしくはKF-KCl中における液体Zn陰極上での液体Zn-Si合金形成メカニズムの解明 R5年度は、プロセスを低温化する検討として、融点の低い溶融NaCl-CaCl2中で検討を行った。R6年度も引き続き、低温化検討を行う。具体的には、新たな溶融塩として、KF-KClも検討する。シリコン源としては、SiO2との比較用としてK2SiF6も使用する。650~750℃において、BNるつぼ型液体電極を用いる。また、R5年度に引き続き、顕微レーザーラマン分光法を用いて、溶融塩中のシリケートイオン種やヘキサフルオロシリケート種の同定行う。以上により、電解メカニズムの解明を行う。 2.液体合金からのシリコン析出反応の最適化 R5年度は、R4年度に購入したブリッジマン炉を用い、液体合金からのシリコン析出反応をより詳細に検討した。具体的には、上方もしくは下方に種々の速度で移動させることにより様々な降温パターンでSiを析出させた。R6年度も引き続き、ブリッジマン炉を用いた検討を行う。具体的には、溶融NaCl-CaCl2により液体Zn-Si合金の上部をカバーして亜鉛の蒸発を抑制した状態で、種々の降温パターンで、凝固させる。実験後は、断面観察を行った後、Znを酸溶解させ、得られたSiの形態・組成をSEM/EDXで、不純物量をICP-AESやGD-MSで分析する。これにより、液体Zn-Si合金からのシリコン析出のさらなる条件最適化を行う。
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