研究課題/領域番号 |
21H04621
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分26:材料工学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 功 京都大学, 工学研究科, 教授 (70183861)
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研究分担者 |
村田 秀信 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30726287)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,600千円 (直接経費: 32,000千円、間接経費: 9,600千円)
2024年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
2023年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
2022年度: 11,310千円 (直接経費: 8,700千円、間接経費: 2,610千円)
2021年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
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キーワード | 高イオン伝導体 / 第一原理MD計算 / 機械学習 / 髙イオン伝導体 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、新しい高イオン伝導体を5元系までの100億組成という広大な化学組成空間で探索・創出し、汎用的な高イオン伝導発現の指導原理を獲得することを目的としている。
本研究の独自性と創造性は、本研究代表者らが培ってきた第一原理計算技術とデータ科学手法をフル活用し、広い化学組成空間において物質探索を行う点にある。候補として提案された物質についての高イオン伝導度を実験によって検証し、イオン伝導度を記述するモデルを逐次的に改良する。この過程を通して、包括的な高イオン伝導発現の指導原理を獲得し、この分野の研究の新展開に挑戦する。
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研究実績の概要 |
今年度は,昨年度に引き続き,広大な探索空間での第一原理MD計算と機械学習モデル構築・スクリーニングおよびイオン伝導度の実証実験を実施した. 広大な探索空間での第一原理MD計算と機械学習モデル構築・スクリーニング 今年度は,探索空間をICSD収録の既知物質(~10^{4}通り)に加えて,未知組成まで拡張し,スクリーニングを実施した.収集したイオン伝導度の第一原理MD計算データベースに,構造情報だけでなく,化学組成情報を特徴量として採り入れたスクリーニングモデルを構築した.参照物質については,結晶構造が同じで構成化学種が異なるものについても第一原理MD計算の対象に含めた. イオン伝導度の実証実験 昨年度に引き続き,現有の合成装置の温度・圧力や合成雰囲気で対応可能な合成物を対象にイオン伝導度の検証実験を行った.ICSD収録の既知物質について,合成方法は元文献での掲載に基づき,数種の合成手法や合成条件を並列試行した.合成成功の後ペレットを作成し,イオン伝導度の温度依存性を測定した.その結果,既知物質であるものの,これまでイオン伝導度の観点から研究されていなかった新規の高イオン伝導体の候補がリストアップされた.また,それと同時に,研究成果としてのイオン伝導度の計算値・実験値をデータベース化した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
申請時に想定していたよりも多くの新規高イオン伝導体の候補がリストアップされるなど,当初の想定以上に進捗している.
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今後の研究の推進方策 |
候補化学組成についての構造探索,イオン伝導度の検証を実施し,高イオン伝導発現の指導原理の獲得を目指す.具体的には,これまでの広大な探索空間でのスクリーニングの結果,高いイオン伝導度が期待できる化学組成情報と構造情報が予測できたが,その物質が熱力学的に安定なのか,またどういう結晶構造を持つかは不明である.まず自家製の安定化学組成データベースを参照して,当該化学組成が熱力学的に安定な化合物である可能性を把握する.予測されたイオン伝導度と安定性が共に高い化学組成について,結晶構造探索を行う.現有の並列合成実験装置を活用し,当該組成の周辺組成について合成実験を行い,生成相の結晶構造をX線回折実験により求める.高イオン伝導相が高温相である可能性も想定し,X線回折実験を高温までの範囲で行う. また第一原理計算での構造探索も進める.結晶構造データベースに収録されているプロトタイプ構造を利用し,当該化学組成に応じて陽イオン,陰イオンの各サイトに元素を配置させることで第一原理計算の初期構造を作成し,第一原理計算で構造最適化して生成エネルギーを評価する.これを擬2元,擬3元といった探索空間を網羅することにより,生成エネルギーの凸包上に出現する熱力学的安定相を求める. また,絞り込まれた高イオン伝導体候補に対しイオン伝導度を第一原理MD計算で検証し,ペレットを作成して実験的にイオン伝導度を測定する.高イオン伝導体が発見できなかった場合でも,イオン伝導度の計算値・実験値をデータベースとして収集し,機械学習モデルの逐次的改善に供する. さらに,機械学習により構造情報と化学組成情報を特徴量としたイオン伝導度のモデル構築を行い,検証結果をもとにモデルの精度を逐次更新する.それがイオン伝導のモデルとなるが,材料研究者に受け入れられやすい指導原理に焼き直すために,単純化した少数の特徴量を用いたデータ分析を行う.
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