研究課題/領域番号 |
21H04626
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分27:化学工学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
清水 研一 北海道大学, 触媒科学研究所, 教授 (60324000)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,600千円 (直接経費: 32,000千円、間接経費: 9,600千円)
2024年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
2023年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
2022年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2021年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
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キーワード | 固体触媒 / 反応機構 / オペランド分光 / 排ガス浄化 / 赤外分光 / 連続・非定常触媒反応 / 二酸化炭素還元 / 水素製造 / 脱硝 / 触媒劣化 / メタンのドライリフォーミング / 触媒 / 劣化 / 非定常反応 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では非定常条件(Modulation Excitation、過渡応答法)でのOperando分光(赤外、紫外可視、X線吸収)により過渡的に観測される活性種を特定し、その活性種の濃度・反応性を最大化する条件を意図的に設定することで、従来の定常反応研究では未探索の触媒現象を発見する。具体的には、3種のターゲット系(①室温脱硝、②メタンのドライリフォーミング、③劣化触媒の自己再生)を非定常操作の繰り返しにより連続的に達成する固体触媒系を開発する。基礎研究(表面科学)と応用研究(触媒プロセス)の両分野の手法を融合し、反応研究における未踏領域を開拓する。
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研究実績の概要 |
本年度に実施したDirect Air Capture/Utilization (DAC-U) による空気からのCO製造に関する成果を以下に述べる。 CO2除去(Carbon dioxide removal: CDR)は,大気からCO2を除去するための新しいコンセプトである.直接大気回収(Direct air capture: DAC)は,大気中の低濃度CO2を除去する重要なCDR技術である.一方,燃焼排ガス中のCO2をCOまたはCH4に変換するために,CO2回収・還元(CO2 capture and reduction: CCR)が注目されているが,空気中の希薄CO2の連続的CCRの報告例はない.本研究では,CCRシステムと膜式DACを組み合わせて,空気からCH4またはCOを連続的に生産するための直接的空気回収利用(DAC-U)をはじめて実証した.CCR用の触媒スクリーニングより,CO2/O2混合ガスからのCH4生成に最適な触媒(Ni-Ca/Al2O3)とCO生成に最適な触媒(Pt-Na/Al2O3)を決定した.XRD,XPS,STEM/EDS,TPD,XANES/EXAFS,およびオペランドIRの結果に基づいて,活性サイト構造とCCRメカニズムを提案した.メンブレンDACモジュールはダイヤフラムポンプに接続し,ポンプの出口は水トラップを介してCCRシステムに接続した.DACユニットは約2000ppmのCO2をCCRユニットに連続供給する.CCRシステムは並列した2個の固定床流通反応器(AとB)とタイマー制御の4方バルブから構成され,CO2(2000ppm)/空気混合ガスとH2を60秒間交互に供給した.各反応器に0.5gの触媒を入れ350℃で反応を行った.Ni-Ca/Al2O3触媒を用いた場合,長期(6000分)のDAC-U運転で空気中のCO2を連続的に高い変換率(>95%)でCH4に変換した.Pt-Na/ Al2O3触媒を用いた同様のDAC-Uシステムを用いて,空気から約1000ppmのCOを連続的かつ選択的に生産することを実証した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画に記載した非定常・サイクル反応の開拓と連続プロセス化に成功したから。成果を論文化したから。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、非定常条件(Modulation Excitation、過渡応答法)でのOperando分光(赤外、紫外可視、X線吸収)により過渡的に観測される活性種を特定し、その活性種の濃度・反応性を最大化する条件を意図的に設定することで、従来の定常反応研究では未探索の触媒現象を発見することを目的とする。具体的には、3種のターゲット系(①室温脱硝、②メタンのドライリフォーミング、③劣化触媒の自己再生)を非定常操作の繰り返しにより連続的に達成する固体触媒系の開発を目的とする。また、触媒毒や微粒子の凝集等、定常反応では不可避の問題点を過渡的な条件変動により回避し、表面の潜在力を最大化する。基礎研究(表面科学)と応用研究(触媒プロセス)の両分野の手法を融合し、反応研究における未踏領域を開拓する。 具体的には、赤外分光(IR)、紫外可視分光(UV-vis)、X線吸収分光(XAFS)と出口のガスの同時連続分析装置を用いて、低温排ガス浄化に有効な連続・非定常触媒反応系を設計する。非定常条件を広く探索・最適化して、反応特性の向上を目指すとともに、新規な活性種や表面現象を発見する。発見した表面素過程の物理化学的裏付けのために、計算化学(DFT計算)も積極的に利用する。温度・分圧に伴う物質構造のダイナミクスを記述するために、第一原理熱力学計算、メタダイナミクス法を活用して、温度・分圧を考慮した理論計算や反応条件を再現した計算を行う。
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