研究課題/領域番号 |
21H04632
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分27:化学工学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
林 潤一郎 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (60218576)
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研究分担者 |
浅野 周作 九州大学, 先導物質化学研究所, 助教 (30827522)
工藤 真二 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授 (70588889)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,730千円 (直接経費: 32,100千円、間接経費: 9,630千円)
2024年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
2023年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
2022年度: 11,960千円 (直接経費: 9,200千円、間接経費: 2,760千円)
2021年度: 12,870千円 (直接経費: 9,900千円、間接経費: 2,970千円)
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キーワード | バイオマス / コークス / コプロダクション / フェノールモノマー / 無水糖 / 熱間・冷間成型 / トレファクション / コークス強度 / 脱金属 / 無水糖製造 / 酸触媒 / 石炭 / フラン・フェノール類 / 有機酸 / リグニンモノマー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、バイオマスの次世代プラットホーム化学品・素材への新転換スキーム、すなわち、「主要成分の分離を起点とする化学品等の製造」、「ガス化(合成ガス製造)とC1化学の連結による化学品等の製造」に次ぐ、第三のバイオマス転換スキームを提案する。具体的には、①自生有機酸処理によるバイオマスからの脱金属および酸触媒担持、②300℃以下の逐次的半炭化によるヘミセルロース由来無水単糖とフラン類、セルロース由来無水単糖の選択的製造、③半炭化物からの酸触媒回収、④半炭化物の粉砕と熱間成型、⑤成型物炭化によるリグニンモノマーと製鉄用高強度コークスの同時製造、を概念実証する。
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研究実績の概要 |
本研究の初年度(2021年度)では、木質系バイオマスの逐次処理=トレファクション(TF)-粉砕-熱間成型-炭化によって冷間引張強度が最大で32 MPaのコークスを調製できることを実証し(成果1)、硫酸担持バイオマスのTFによって無水単糖を30%の収率(セルロース基準)で得ることにも成功した(成果2)。本年度は、成果1を得た研究をさらに発展させた。すなわち、TF・粉砕したバイオマスを非微粘結炭と配合した後に熱間成型、炭化することによって配合率によらず高強度コークスを得ることができた。従来研究の知見(バイオマス配合率の許容範囲を<5 wt%)を覆し、バイオマスと石炭(しかも非微粘結炭)を任意の配合率で配合し、高強度コークスが得られることを示した。さらに、TFくに靱性)を増大させることを見出した。自生有機酸は脱金属剤として同等のpHを持つ無機酸よりも高性能であり、それは有機酸と共存する水溶性フェノール・フラン類の効果であることも見出し、さらに、自生有機酸処理したバイオマスに上記の逐次処理を施して調製したコークスの強度が処理なしの場合よりも大きく、しかもCO2に対するガス化反応性を1/45に抑制できることを明らかにした。上記(成果2)に関しては、セルロースに対するわずか(0.2から0.3 wt%)の硫酸担持によって無水単糖収率(炭素基準)>50%を達成できる反応条件を見出すとともに、硫酸ではなく硫酸塩(これまで不活性と考えられてきた)にも無水単糖収率を40 wt%以上に増大させる触媒能力があることを発見した。これらの知見に基づき、木質系バイオマスからの無水糖収率を35%(重量基準)まで引き上げた。さらに無水単糖、フェノール類、フラン類とTFバイオマスを生成するTFに必要な熱量を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
昨年度および今年度に実施した研究は、本研究申請段階で計画した研究タスク(Task-1からTask-14)のうち、二つのタスク(Task-12:ペレットが保持する重質油の機構解明、Task-13:全体スキームのシステム解析)を除くすべてのタスクを実施し、「研究概要実績」に述べた成果(期待したのと同等ないしそれ以上の化学品収率、コークスの性能等)、新知見(コークス強度発現機構、自生有機酸による無機酸を超えた脱金属能力等)を得ることができた。実施済みタスクのうち、Task-14:産学連携研究の準備については国内企業との共同研究を開始し、すでに二件の特許を出願した(当該企業と九州大学の共願)こともあり、計画を超えて進捗している。「研究概要実績」に述べた本年度の成果のうち、TFバイオマスと非微粘結炭の配合物からの高強度コークス製造、硫酸だけでなく硫酸塩もセルロースの無水単糖への転換を触媒すること、などは当初計画をお大きく超えた成果である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、まずTask-12に取り組む。トレファクションで生成する有機物のうち重質成分を加熱処理等によって改質したうえでバインダーとして利用し、TFバイオマス成型の低温化(冷間成型)の実現を目指す、一方、軽質成分は、本年度に得た(知見)フェノール・フラン類のバイオマス有機マトリクスへの浸透を根拠として、同類の可塑剤としての能力を調べ、冷間成型あるいは熱間成型のさらなる高度化を目指す。Task-13については次年度中にスキーム全体を概念設計し、物質・熱収支を1年前倒しで検討する。新しいタスクも導入する。すなわち、バイオマス原料をこれまでの木質系(針葉樹)から木質系(広葉樹)、草本系(農産廃棄物、資源植物、タケなど)に拡大し、バイオマスからの高強度コークスのための逐次プロセス科学基盤を構築する。
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