研究課題/領域番号 |
21H04637
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分28:ナノマイクロ科学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
桑原 真人 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 教授 (50377933)
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研究分担者 |
桑原 彰太 東邦大学, 理学部, 准教授 (10612658)
石田 高史 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 助教 (60766525)
飯田 敦夫 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (90437278)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,860千円 (直接経費: 32,200千円、間接経費: 9,660千円)
2024年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
2022年度: 13,130千円 (直接経費: 10,100千円、間接経費: 3,030千円)
2021年度: 13,390千円 (直接経費: 10,300千円、間接経費: 3,090千円)
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キーワード | オペランド計測 / ナノ材料 / 生体高分子 / 電子顕微鏡 / 時間分解 |
研究開始時の研究の概要 |
ナノ電子プローブのパルス特性を発展させ、試料環境と同期した高輝度パルス電子線を応用した高速オペランドイメージング法の研究を進める。これにより、マイクロ秒を超えるナノ構造解析へと高度化することで、高速オペランド計測を介した実動作デバイスの逐次計測を実現し、時間的に変調する外部刺激に対するナノ物質の過渡現象の解明が可能となる。 また、動的なナノ構造解析を通してナノレベルで発現する構造変化を可視化し、局所的な電荷分布やエネルギー緩和過程、相転移などの学理的解明を目指す。さらに、非固定物質の計測を可能にし、生体高分子材料の非破壊、非固定計測を実現し、生体物質の構造機能解明を加速する。
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研究実績の概要 |
高輝度パルス電子線発生に有望なNEA-PC(負の電子親和性(NEA)表面を有する半導体フォトカソード)を用いた電子顕微鏡により、ミリ秒を超える高速オペランドイメージング計測の実現を目指す。 前年度に終えた電子光学設計および連結用差動排気システム設計を元に、装置製作を実施した。さらに、30keV NEA-PC電子銃を高分解能電子顕微鏡本体へ搭載に必要となる本体改造および搭載治具の製作を実施した。 PN接合を有する半導体試料への金属電極の取り付けを実現し、旧オペランド計測用ホルダーにて電圧印加しながら電子顕微鏡観察を実現した。また、新型のパルス電子顕微鏡用オペランド計測ホルダーの本格設計を終え、電流導入可能なTEM用ホルダーの改良を追加した状態で、100keV時間分解TEMへの導入が可能となった。さらに、構築した同期システムを用いて、電子線強度変調、電子線イメージング機器を同期し、シングルショットイメージングを実現した。これにより、撮像がナノ秒以下の時間精度で同期計測、またそれを用いたオペランド計測が可能であることを実証した。 一方、電子線損傷を受けやすい生体組織試料の魚類卵細胞、高分子結晶材料のニッケルジメチルグリオキシムの2サンプルを用いて、パルス電子線による電子線損傷の低減効果、入射電子のエネルギー依存性を確認することに成功した。また、化学合成により生成した金ナノプレート粒子を用いて、時間分解EELS手法により表面プラズモン強度の緩和過程の測定に成功した。この成果は査読付き論文にまとめられ、プレスリリースによる成果発表を行った。また、新たな試みとしてテラヘルツデバイス用材料のレーザー加工過程を電子顕微鏡による構造解析による解明に取り組み、ZnOのフェムトレーザ加工における構造変化を明らかにすることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画である(1)高輝度パルス電子源の高分解能電子顕微鏡への搭載に向けた連結用差動排気室製作、(2)高速オペランド計測のための試料ホルダー作製、(3)ダメージレス計測にむけた電子線損傷効果の計測、(4)オペランド計測用試料の作製の4項目は、いずれも当初予定の通り進行している。特に時間分解EELSの実現と光励起状態の緩和過程の測定、電子線損傷効果の低減の確認、生体組織試料の作製手法の確立を実現できたことは、当初予定以上の成果である。また、NEA-PC電子銃を高分解能電子顕微鏡へ搭載が可能な段階となり、次年度の計画が滞りなく開始できる状態となった。これら全体の進捗状況を鑑み、順調に進行していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に製作および改造を終えた装置群およびNEA-PC電子銃を、加速電圧1 kV~30 kVで動作する高分解能電子顕微鏡本体への搭載を実施する。また、オペランド計測用ホルダーの製作を完成させ、100keV時間分解TEMにて実動作環境における半導体素子観察を可能にする。これにより、マイクロ秒以下のナノ計測およびオペランド計測が可能であることを実証する。 一方、時間分解EELS測定に成功した金ナノプレート粒子を用いて、そのモアレ縞による熱膨張過程の時間分解計測へ展開をはかる。また、半導体内部電場と光電場による電荷移動が観察できるか、時間分解ローレンツTEM、時間分解ホログラム手法を構築し、その物性評価を進める。他方、二次電子像および透過電子像におけるチャージアップ効果、損傷効果の入射電子エネルギー依存性を引き続き評価し、膜たんぱく質よりも複雑な構造への適応を図る。また、高分子材料、膜タンパク質材料の電子損傷計測結果をもとに、損傷に至る時間を算出し、電子線パルス幅を損傷時間以下に保った計測を実施することでダメージレス観察が実現されることを実証する。
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