研究課題/領域番号 |
21H04647
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分29:応用物理物性およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
好田 誠 東北大学, 工学研究科, 教授 (00420000)
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研究分担者 |
石原 淳 東北大学, 工学研究科, 特任助教 (50801156)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,990千円 (直接経費: 32,300千円、間接経費: 9,690千円)
2024年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
2023年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2022年度: 12,090千円 (直接経費: 9,300千円、間接経費: 2,790千円)
2021年度: 12,220千円 (直接経費: 9,400千円、間接経費: 2,820千円)
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キーワード | 電子スピン波 / スピン軌道相互作用 / 永久スピン旋回状態 / 半導体量子構造 / スピントロニクス / 多重性 / 並列性 / 波動性情報担体 / 半導体スピントロニクス / 半導体2次元電子ガス / ポンププローブ法 / III-V族半導体量子構造 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、光の独壇場である波の並列性や多重性を、電子スピン波を用いて半導体に組み込み、光通信と固体情報処理の間で「波」の性質を共有できる初めての情報担体を創出する。波の広帯域・空間並列・波長多重性と微細加工を得意とする半導体素子のスケーラビリティが融合し、膨大な情報量を半導体中で多重伝送・並列処理できる新たな固体情報基盤の学理を生み出す。これにより、情報通信と情報処理がシームレスに繋がるため、IoT・AI全盛期となる超スマート社会(Society5.0)が抱える通信量・電力消費の急増に対応可能な技術革新となる。
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研究実績の概要 |
本研究は、光の独壇場である波の並列性や多重性を、電子スピン波を用いて半導体に組み込み、光通信と固体情報処理の間で「波」の性質を共有できる初めての情報担体を創出する。この目的のもとに本年度は、光の偏光空間構造を任意に制御することで様々な波長の電子スピン波を生成することに成功した。これは、半導体において電子スピン波の波長に情報を載せて演算処理するのに必要不可欠なマイルストーン技術となる。同時に、演算回路実証に向けたデバイスシミュレーションにも取り組み、複数の電子スピン波から特定の波長の電子スピン波のみを取り出す電子スピン波フィルタが実現できることを示した。このようなフィルタ回路は、既存電子デバイスでも極めて重要な機能であり、電子スピン波を用いた演算回路においても同様に重要な意味を持つ。これによって、今後は電子スピン波を用いた情報処理および情報伝送の基盤を確立することができたといえる。また、本年度はこのような電子スピン波が情報担体として活用することが可能であることを示すために電子スピンを用いた並列コンピューティングに関わるパースペクティブ論文(Perspective on spin-based wave-parallel computing)を執筆した。本論文は当該号のカバーにも採用されFeaturedとしても取り上げられ、このような波動性を活用した情報担体の注目度の高さが伺える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では光の有する波の性質を半導体における電子スピンへ組み込むことで、これまでデジタル処理が基本であった電荷による情報処理から、波の広帯域・空間並列・波長多重性を組込んだ新たな原理を生み出すことを目的としている。これまで行ってきた空間偏光を電子スピン波に転写する技術基盤をもとにして、シミュレーションも活用することで、演算に向けてフィルタ回路の原理を示すことができ、電子スピン波が情報担体として活用できる具体的なデバイス提案まで行った。このことから順調に研究が進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、より複雑な論理演算のシミュレーションや複数の電子スピン波を同時に生成・制御できる技術基盤を構築することが重要であると考えられる。また波の多重性や並列性を活用したデバイス提案についても進めることで、電子スピン波の情報担体としての能力を示す予定でいる。
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