研究課題/領域番号 |
21H04655
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分29:応用物理物性およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 (2023) 神戸大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
石田 謙司 九州大学, 工学研究院, 教授 (20303860)
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研究分担者 |
北村 雅季 神戸大学, 工学研究科, 教授 (10345142)
高嶋 一登 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 准教授 (30435656)
堀家 匠平 神戸大学, 工学研究科, 助教 (00809486)
小柴 康子 神戸大学, 工学研究科, 助手 (70243326)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
41,990千円 (直接経費: 32,300千円、間接経費: 9,690千円)
2023年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
2022年度: 17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2021年度: 15,470千円 (直接経費: 11,900千円、間接経費: 3,570千円)
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キーワード | 有機圧電膜 / 超フレキシブル / 拍動センシング / 心臓発電 / インプランタブル / 有機圧電薄膜 / 心臓拍動 / フレキシブル圧電薄膜 / 心筋力 / インプランタブルデバイス / センシング / 有機強誘電体 / 拍動検知 |
研究開始時の研究の概要 |
生体内で常時、変形/変位が発生する臓器として「心臓」に注目し、心臓拍動による生体内発電を目指す。その実現に必要なポテンシャル素材として有機強誘電体を選択し、そのナノ構造制御により、超柔軟性と圧電特性を両立させていく。また微細加工技術を用いて心臓モデルの複数箇所における発電/拍動パターン検出を行い、生体内での高効率発電と発電電力を使った病理・拍動情報の無線送信の可能性を検証する。
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研究実績の概要 |
本年度は、フレキシブル有機強誘電体フィルムの作製、強誘電/圧電特性の基礎評価に加え、心臓拍動のように臓器変形が伝搬していく複雑な臓器変形を検知するため、多素子センサを作製し、多点測定を試みた。PENフィルム上に、下部電極としてAl100 nmを真空蒸着した後、強誘電性高分子P(VDF/TrFE)をスピンコート成膜した。上部電極としてAl薄膜を真空蒸着し、キャパシタ型圧電センサーとした。上下電極はパターニングすることで、9つの圧電センサからなる拍動検出用センサー素子とした。デバイス保護、生体適合性のため、素子全面には気相重合法によりparylene Cを堆積してデバイス封止した。全センサー部をポーリング処理し、分極方向を一方向に揃え、かつ残留分極量Prを60mC/m2に揃えた。成人男性3D-X線CT画像から復元した心臓拍動モデルに、試作した多素子センサを貼り付け、正常拍動(60bpm)におけるセンサー出力を詳細解析した。すべての素子で、心臓モデル収縮時に負、膨張時に正の出力電圧が得られたが、センサ貼り付け位置によって出力電圧のピーク時間と電圧値には違いを観察した。「ピーク時間」の違いは拍動挙動(動き方)が場所によって異なることを、「電圧値の違い」は変位速度が異なること示差しており、心臓モデルの変形が右心室から左心室側へ伝搬していく複雑な心拍挙動の観測に成功した。また出力電圧の時間変化を圧電方程式に基づき応力変換することで、心臓モデル表面にかかる応力を計算した。心臓の電気的活動を体表電極で読み取る心電図と異なり、試作したフレキシブル圧電フィルムは心臓変形そのものをリアルタイム検出しており、かつ心臓表面にかかる応力(心筋力)が検出可能であることから、心膜炎等の心臓組織表面の疾患の早期発見が可能であると考えられる。また新規導入したマスクレス露光機の立ち上げ、及び条件出しも行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は生体内の筋肉や臓器の弱くて小さな力(変形)を電気変換して変位センシング/発電できる、超柔軟で生体適合性ある圧電型発電素子を開発することにある。本年度は、有機圧電センサーの多素子化により心臓拍動の複雑な変位挙動を観測できた。複数の圧電出力波形の時間変化データを詳細解析することで、右心室から左心室に伝播する変位挙動をリアルタム解析できることを示すと共に、心臓の活動量を示差する心臓表面の応力算出にも成功するなど、心臓拍動検知を対象としたインプランタブルデバイス開発としての本研究は概ね順調に成功していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は生体内の筋肉や臓器の弱くて小さな力(変形)を電気変換して変位センシング/発電できる、超柔軟で生体適合性ある圧電型発電素子の開発に向けて、より柔軟な生体適合性ある素材を用いたデバイス開発に取り組む。具体的には、生体適合素材である気相重合パリレンC薄膜を基板材として用いた超フレキシブル有機圧電センサーの作製に取り組む。また実際の生体挙動の観測のため、医学部研究者との共同研究議論を行っており、マウス等を用いた動物実験への展開を計画検討している。
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