研究課題/領域番号 |
21H04665
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分31:原子力工学、地球資源工学、エネルギー学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
伊藤 衡平 九州大学, 工学研究院, 教授 (10283491)
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研究分担者 |
森 昌司 九州大学, 工学研究院, 教授 (10377088)
林 灯 九州大学, 水素エネルギー国際研究センター, 教授 (60443214)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
42,380千円 (直接経費: 32,600千円、間接経費: 9,780千円)
2023年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2022年度: 15,340千円 (直接経費: 11,800千円、間接経費: 3,540千円)
2021年度: 19,110千円 (直接経費: 14,700千円、間接経費: 4,410千円)
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キーワード | 沸騰重畳 / ぬれ性制御 / 水電解 / 実セル / 酸素発生反応 / 水素発生反応 / 過電圧分離 / 高速・高解像気泡観察 / 三極セル / 沸騰 / 非平衡効果 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者は水電解に沸騰を重畳させ、水電解水素製造効率を10%向上する。種々条件を調整すれば、水電解装置を100℃付近で運転でき、この時、沸騰が電極上で起きる。沸騰気泡内の水蒸気圧力は周囲の水に比べて高く、高圧水蒸気によって電極上への水分子の吸着、すなわち電極反応の最初の素過程が加速的に進み、電解電圧が低減し、水電解効率が向上すると考えられる。そこで本申請では、水電解に沸騰を重畳できる水電解電極を構築し、電極微細構造や運転条件等が沸騰重畳効果に及ぼす影響を定量化し、電圧低減メカニズムを明らかにし、理論モデルをツールにして沸騰重畳効果を最大化する水電解装置を開発して水電解効率10%向上を達成する。
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研究実績の概要 |
申請者は水電解に沸騰を重畳させ、水電解水素製造効率を10%向上する。種々条件を調整すれば、水電解装置を100℃付近で運転でき、この時、沸騰が電極上で起きる。沸騰気泡内の水蒸気圧力は周囲の水に比べて高く、高圧水蒸気によって電極上への水分子の吸着、すなわち電極反応の最初の素過程が加速的に進み、電解電圧が低減し、水電解効率が向上すると考えられる。そこで本申請では、水電解に沸騰を重畳できる水電解電極を構築し、電極微細構造や運転条件等が沸騰重畳効果に及ぼす影響を定量化し、電圧低減メカニズムを明らかにし、理論モデルをツールにして沸騰重畳効果を最大化する水電解装置を開発して水電解効率10%向上を達成する。 2022年度は、昨年度三極セルで得た、沸騰重畳メカにニズムを実セルの数学モデルに落とし込み、実セルレベルでの沸騰重畳メカニズム探求に挑戦した。アノードの酸素、水の輸送促進、またカソードの水素の物質輸送促進を数学モデルに組み込んだ。数学モデルに基づいたシミュレーション結果は実験結果(電流一定条件下の温度掃引において沸点付近で電解電圧が極小を示す)をよく再現した。また数値解析を紐解いて、実セルレベルでは、沸騰水蒸気がPTL(多孔質輸送層)における物質輸送を促進し、流路/PTL界面における気泡離脱を促進し、触媒層における酸素、水素の活量を低減することがわかった。 2022年度は、更に、実セルレベルでの、気泡可視化に挑戦し、特に、実セルにおける沸騰のエビデンス(沸騰気泡)を捉えることに挑戦した。実セルに石英ガラスを組み込み、高速度カメラと光源の適正化により、アノード流路内の気泡、とくに、PTL表面からの気泡離脱を捉えた。過熱度を上げるほど沸騰気泡は指数関数上に増加し、電解電圧一定条件下の実験では、電解電流が沸騰気泡数と連動して増加することが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実セルに対する数学モデルを開発し、このモデルに基づいたシミュレーション結果は、実験で得られた沸騰重畳効果をよく再現した。また、関わる数値解析から、実セルにおける沸騰重畳メカニズムを明らかにすることができた。また、その一部を、トップ10ジャーナルであるJ. Power Sorcesにアクセプトされた。
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今後の研究の推進方策 |
実セルレベルでの可視化、過電圧分離の同時進行に一部問題が生じた。可視化するためのガラス窓の組込により、セルの温度制御が、特に高温において困難になった。沸点を超える実験はできたが、より高い過熱度、あるいはアノード、カソードの独立した温度制御が困難であった。 そこで、2023年度では、実セルレベルの可視化、過電圧分離は、同時進行ではなく、個別に実施することに計画変更する。実セルに参照電極を組み込む実験、実セルにカラス窓を組み込む実験を独立して実施する。このような個別対応で、実験を簡素化し、精度の高い温度制御のうえ、沸騰重畳メカニズムの更なる解明に挑戦する。
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