研究課題/領域番号 |
21H04682
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分33:有機化学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
鳶巣 守 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (60403143)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
42,640千円 (直接経費: 32,800千円、間接経費: 9,840千円)
2024年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2023年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2022年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2021年度: 18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
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キーワード | 触媒反応 / 不活性結合活性化 / カルボニル化合物 / 遷移金属触媒 / 有機合成 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、有機合成化学の中核を占める「カルボニル基の化学」に新機軸をもたらす触媒反応群を開発することである。すなわち、ケトン、エステル、アミドといった多様なカルボニル化合物のカルボニル炭素と置換基との間の結合を遷移金属錯体により活性化する申請者独自の触媒を開発し、小分子の脱離、不飽和化合物の挿入、カルベン種への異性化などの分子変換法へと昇華させる。これらの反応は、1,2-付加やエノラート生成といった古典的なカルボニル化合物の変換とは根本的に異なる反応形式であり、基幹原料から複雑分子を高い原子効率で合成するための新戦略となる。
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研究実績の概要 |
本研究では、遷移金属錯体の結合活性化能をカルボニル化合物へと展開し、古典的な反応とは異なる新触媒反応群の開発を目指した。各種カルボニル化合物について、下記の新反応の開発を達成した。 (1)アミド:アミド化合物のアミド部分のみをイソシアネートとして脱離させ、それ以外のフラグメントをカップリングさせる新触媒反応について、脱離したイソシアネートを補足する求核性部位を基質に持たせることで、アミド部分が分子内で転位する移動型フラグメントカップリング反応の基質展開、機構研究を実施し論文化した。 (2)エステル:エステル基からエーテル酸素原子だけを除去し、ケトンを合成するという新形式のフラグメントカップリングを達成した。パラジウム触媒によるC-O結合活性化と、光触媒によるPPh3のラジカルカチオン生成を経るホスホラニルラジカルのβ開裂反応が鍵となっている。 (3)酸フッ化物:昨年度開発した分子内カーボフルオロ化の展開として分子間カーボフルオロ化が進行する系を見出した。 (4)アシルシラン:炭素ーケイ素結合の活性化がパラジウムにより進行し、その後転位によりシロキシカルベン錯体が生成することを昨年までに発見していたが、その過程とイミンとの反応を組み合わせることにより、触媒的なβラクタムの合成が可能であることを見出した。さらに反応中間体であるシロキシカルベン錯体の単離、X線結晶構造解析に成功した。また、トリフルオロアセチルシランでも対応するシロキシカルベン錯体が生成し、シクロプロパン化やアレンへの付加が進行することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
カルボニル化合物の活性化以外に、研究途上、トリアリールホスフィンのC-P結合活性化や炭素原子挿入反応など、予期せぬ発見にも遭遇し、研究の展開が広がっているから。
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今後の研究の推進方策 |
アシルシランの活性化については特にフィッシャー型カルベン錯体の触媒的発生法としての重要性を示すことができつつあるので、さらに反応形式を多様化させ、一般化を進める。酸フッ化物の活性化については、分子間反応への展開の端緒が見つかっているので、それを発展させる。
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