研究課題/領域番号 |
21H04687
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分35:高分子、有機材料およびその関連分野
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
植村 卓史 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (50346079)
|
研究分担者 |
細野 暢彦 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (00612160)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
42,640千円 (直接経費: 32,800千円、間接経費: 9,840千円)
2024年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2023年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2022年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2021年度: 18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
|
キーワード | 多孔性金属錯体 / 高分子 / 分離 / MOF |
研究開始時の研究の概要 |
ほとんどの合成高分子は異なる分子量や構造の分布を有する重合体の混合物である。多種多様な高分子鎖が確率的に存在する高分子混合物の中にも、欲しい構造の鎖が一定割合で存在する。それを認識して、精密に分離することができれば、これまでの常識となっていた精密合成による制御から大きなパラダイムシフトが起こる。 本研究では、規則的なナノ空間構造を有する多孔性金属錯体(MOF)を用いることで、「精密高分子認識」という未踏の科学領域を開拓する。MOF空間と高分子鎖との多点相互作用を駆使することで、巨大高分子におけるわずか原子一個レベルの構造違いでさえ見分ける革新的な分析・分離システムを確立する。
|
研究実績の概要 |
多孔性金属錯体(MOF)は、骨格内に細孔を無数に有しており、構成要素を適切に選択することで、細孔のサイズや形状、表面環境を分子レベルでデザインすることができる。特に、複数種類の有機配位子から合成される固溶体MOFでは、配位子の配合を変化させることで細孔特性を自在に調整できる。本研究では、MOFの高いデザイン性を活かし、固定相として利用した高分子化合物のカラムクロマトグラフィー法の開発を行った。 これまでの研究により、ポリエチレングリコール(PEG)鎖が約0.57 nm径の一次元細孔を有するMOF (1) ([Zn2(ndc)2(ted)]n, ndc = 1,4- naphthalenedicarboxylate, ted = triethylenediamine)の細孔内へ浸入し、吸着されることがわかっている。本研究では1を固定相とするカラムを作成し、一般のHPLC装置を用いてPEGに対する保持を測定した。結果、1へのPEGの吸着に起因する明確なカラム保持が見られた。一方、[Zn2(ndc)2(ted)]nと同一の母骨格構造をとる、MOF (2)([Zn2(bdc)2(ted)]n, bdc = 1,4-benzenedicarboxylate)やMOF (3)([Zn2(adc)2(ted)]n, adc = 9,10-anthracenedicarboxylate)を固定相としたカラムはPEGに対し一切保持を示さないことが明らかになった。 次に、配位子を様々な配合で混合した固溶体を合成し、そのカラム上におけるPEGの保持挙動を調査した。この固溶体MOFをカラムに充填し、PEGを分析したところ、中間の固溶体組成においてそれぞれ単独のMOFを充填したカラムよりも強い保持が観測された。この結果より、固溶体内部の平均細孔サイズがPEGの保持挙動に影響していると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
単独のMOFだけではなく、固溶体MOFでさえカラムクロマトグラフィーで機能することが分かってきたため。
|
今後の研究の推進方策 |
様々なMOFと高分子の組み合わせを試すことで、従来の認識原理とは一線を画した新し い高分子認識・分離法の開発を進める
|