研究課題/領域番号 |
21H04698
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分36:無機材料化学、エネルギー関連化学およびその関連分野
|
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
藪内 直明 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (80529488)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
41,600千円 (直接経費: 32,000千円、間接経費: 9,600千円)
2024年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
2023年度: 8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
2022年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2021年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
|
キーワード | 蓄電池 / 固体化学 / アニオンレドックス |
研究開始時の研究の概要 |
低炭素社会実現へと向けて、高効率でエネルギーの貯蔵が可能となる蓄電池の高性能化・低コスト化が求められている。本研究課題では、蓄電池材料の設計開発指針の革新と次世代新材料の創製の実現を目的として研究を実施する。従来材料で利用されている材料設計指針から脱却し、カチオン種ではなくアニオン種 (酸化物イオン) による電荷補償を利用し、さらに、電極材料の骨格としても層状構造ではなく、三次元の安定な構造と界面濃度の高い準安定相に立脚した新しい次世代蓄電池材料の設計指針の確立を実現する。高性能蓄電池材料の実現を通して、将来的な再生可能エネルギーに立脚した低炭素エネルギー社会構築への足がかりとする。
|
研究実績の概要 |
低炭素社会実現へと向けて、高効率でエネルギーの貯蔵が可能となる蓄電池の高性能化・低コスト化が求められている。本研究課題では、蓄電池材料の設計開発指針の革新と新材料の創製を実現するため、従来材料で利用されているカチオン種による電荷補償ではなく、その代わりとしてアニオン種による電荷補償を利用し、さらに、電極ホスト構造の骨格としても従来の高結晶性層状構造から脱却し、三次元の安定な骨格構造と界面濃度の高い準安定相に立脚した材料設計指針の革新を実現することを目指して研究を行ってきた。昨年度は岩塩型のMn系材料に着目し、さらに、その欠陥構造を制御することで、室温でも高容量材料となることを明らかにしている。これらの欠陥構造については放射光X線回折法と歪み解析、ラマン分光、走査透過型電子顕微鏡による解析に加え、物性評価により明らかにした。また、寿命に課題のあったアニオンレドックスの安定化向上の鍵となる技術として、Li(NSO2F)2系濃厚電解液を発見し、高エネルギー密度化と寿命特性の両立に成功している。また、ナトリウム系でもアニオンレドックスが安定な層状材料も発見した。これらの研究成果はアニオンレドックスに立脚した新規材料設計指針の構築により、リチウム・ナトリウムイオンといった各種電荷キャリアの高密度電荷蓄積と固体中の高速移動を実現する学術的な方法論の確立にもつながることが期待できるものであるといえる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アニオンレドックスに関する学理構築は順調に進んでおり、課題であった寿命特性も濃厚電解液というキーアイテムの発見により実用性の観点からも進展があったといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに、材料の化学組成、結晶構造、さらに、欠陥構造を制御することで、室温でも高容量を示すアニオンレドックス系材料の開発に成功している。これまで、寿命に課題のあったアニオンレドックス材料であるが、Li(NSO2F)2系濃厚電解液を発見し、高エネルギー密度化と寿命特性の両立にも成功している。今後はこれらの材料設計指針をさらに進化させ、アニオンレドックスの可逆性を支配する因子解明と学理構築を実現するための方法論を開発する。また、これらの材料設計技術をナトリウムイオン電池用正極材料への展開もすすめる。イオン結合性の高い Nb や Ti を含有する材料、Co や Ni といった軌道相互作用が強く共有結合性の高いイオンから構成された材料のアニオンレドックスが活性化する因子、その安定性に影響する因子の解析を進める。また、アニオンレドックスを安定するための電解液開発も引き続き進める。このような新たなアニオンレドックスの知見を元に、さらなる高エネルギー密度化と界面構造を安定化させるための手法の確立を実現する。これらの研究成果はリチウム・ナトリウムイオンの固体中の高速輸送と高密度電荷蓄積の両立の実現に繋がることも期待できる。これらの新しい学理と知見に立脚して、40 年間に渡り使われていた従来材料設計指針から脱却し、同時に、次世代の蓄電池材料の設計指針の確立、及び、次世代高エネルギー密度材料の創製に繋げる。
|