研究課題/領域番号 |
21H04699
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分36:無機材料化学、エネルギー関連化学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
若宮 淳志 京都大学, 化学研究所, 教授 (60362224)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
42,510千円 (直接経費: 32,700千円、間接経費: 9,810千円)
2023年度: 12,220千円 (直接経費: 9,400千円、間接経費: 2,820千円)
2022年度: 12,220千円 (直接経費: 9,400千円、間接経費: 2,820千円)
2021年度: 18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
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キーワード | ペロブスカイト半導体 / 有機半導体 / ペロブスカイト太陽電池 / 鉛フリー / 電荷輸送生材料 / Sn系ペロブスカイト半導体 / 太陽電池 / 界面パッシベーション / スズペロブスカイト / 鉛フリー化 / 界面 / 結晶成長制御 / 薄膜 / パッシベーション / 電荷回収層材料 / Sn / 有機π電子系材料 / 界面化学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、これまでに開発してきた Sn ペロブスカイト半導体材料の高純度化技術をもとに、材料化学、界面化学の観点から、1)薄膜の結晶成長速度制御による欠陥構造の抑制技術、2)ペロブスカイト層の表面パッシベーション技術、3)電荷回収層との界面での電子・構造制御技術の開発に取り組み、Snペロブスカイト太陽電池の飛躍的高性能化を実現するために必要な基礎化学研究を追求する。
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研究実績の概要 |
Sn系ペロブスカイト太陽電池の高性能化を目指して、ペロブスカイト層の界面のパッシベーション技術開発に取り組んだ。 Sn-Pb混合系ペロブスカイト層に対して、各電荷の回収効率の向上を志向してダイポールを発現するよう電子回収層側にはEDAI2、正孔回収層側にはGlyを選択的に構造修飾する手法を見出した。これにより、Snを含むペロブスカイト太陽電池として世界最高効率となる23.6%の光電変換効率を得ることに成功した。 EDAI2を用いた表面処理技術はPb系およびSnペロブスカイト太陽電池にも適用でき、本手法がp-i-n構造をもつペロブスカイト太陽電池の高電圧化に高い一般性をもつことを示した。また、電子回収層側の表面処理技術として、ジアミンとフラーレンのカルボン酸誘導体を組み合わせた手法を開発し、その構造形成メカニズムの詳細を明らかにした。 Sn系ペロブスカイト半導体の組成として、XサイトにBrを加えた際の光物性および太陽電池特性の効果について、系統的に調査した。さらに、Snペロブスカイト層の電子回収層材料として用いるICBAの塗布溶媒の種類と加熱条件を制御することにより、ICBA膜の電子状態(DOS)を制御することに成功し、Snペロブスカイト太陽電池において、1.0Vの開放電圧が得られることを見出した。 p-i-n型構造のペロブスカイトに用いられる独自の正孔回収単分子材料として、PATATを開発し、これを用いることで高い光電変換効率と耐久性が得られることを見出した。また、これまでの成果に基づいて、Sn系ペロブスカイト太陽電池の高性能化に向けたアプローチをPerspective論文としてまとめて発表した(Commun. Mater. 2022, 3, 104. 、Precis. Chem. 2023, in press. )。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Sn系ペロブスカイト太陽電池の高性能化には、界面の構造制御が重要であるという仮説に基づいて、これらを解決する独自の材料開発、パッシベーション技術開発を進めることができた。その結果、Snを含むペロブスカイト太陽電池として世界最高効率を達成することができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに見出した材料および界面パッシベーション技術をさらに発展させ、Snペロブスカイトの高性能化研究を進めていく。 特に今年度は、ペロブスカイト層内部の電子構造制御および欠陥構造の抑制にも取り組み、総合的な視点から鉛フリー型ペロブスカイト太陽電池の高性能化の実現に取り組む。
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