研究課題/領域番号 |
21H04703
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分37:生体分子化学およびその関連分野
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
大森 建 東京工業大学, 理学院, 教授 (50282819)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,990千円 (直接経費: 32,300千円、間接経費: 9,690千円)
2024年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2023年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2022年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2021年度: 12,350千円 (直接経費: 9,500千円、間接経費: 2,850千円)
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キーワード | ポリフェノール / フラボノイド / オリゴマー / ケミカルスペース / アヌレーション / カテキン |
研究開始時の研究の概要 |
天然に豊富に存在するポリフェノール類は、多様な生理作用を示すが選択性に乏しく医薬などに用いられた例はほとんどない。本研究は、同化合物群を糖鎖やペプチドあるいは核酸などと並ぶ重要な物質と位置づけ、新たな化合物空間(ケミカルスペース)の構築を通じ、その潜在的有用性を見出そうとするものである。 ポリフェノールは各種生体高分子と非選択的な相互作用を起こすため、特定の生理作用を見出すことが困難であるが、本研究ではこの問題を解決し、特異的相互作用を示す分子の発見を目指す。具体的には、剛直な三次元構造を有するフラボノイドオリゴマーを設計/合成し、新たな生理作用、機能を有する分子の創出を目指す。
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研究実績の概要 |
本年度の研究においては、1)特異な連結様式を有するフラバン二量体の合成研究、2)大環状構造を有するクラウンプロシアニジン類の全合成研究、3)マイクロフロー法を利用した直鎖型フラバンオリゴマーの効率的合成技術の開発の3点に関し、集中的に検討を進めた。まず、1)の検討に関しては、フラバン骨格4位の炭素原子同士で結合した特異な連結様式を有するフラバン2量体、アビイサノールの効率的合成法の開拓を行った。まず、カテキンをモノマー単位として用いた二量化実験を行った。その結果、低原子価チタン種を用いた4-オキシ体の還元的カップリング反応により、目的の位置で炭素ー炭素結合を形成した2量体を合成することに成功した。2)の検討に関しては、一般に形成が難しいフラバン単位の4位と6位間の連結を、昨年度の検討により見出した手法(クロロキャッピング法)を用いて、実際に4-6結合様式を有するエピカテキン2量体の合成に成功した。そして3)の検討に関しては、マイクロミキサを用いたフラバン単位の効率的なオリゴマー化を検討した結果、高次のオリゴマーの合成に利用可能な種々の活性型2量体(自己二量化体)の合成に成功した。また、スルホン酸系酸性樹脂(Amberlyst15E)を充填したカートリッジを用いて4-アルコキシフラバン単位の活性化を試みたところ、予期せぬことに3,4ーエポキシフラバン誘導体が得られた。本生成物は、オリゴマー化に利用可能な重要な合成中間体と期待されるため、今後の研究に積極的に活用する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フラバンオリゴマーの合成に関して、多様な連結様式の誘導体が効率的に合成可能となりつつある。特に特異な連結様式を持つオリゴマーの合成に関しては、確実な進展がみられた。またその研究の途上にて見出した、sulfenate活性種を用いた反応において、硫黄原子上の中心不斉を高立体選択的に誘起することが可能な分子変換法を見出した。さらにマイクロミキサを用いたフラバンオリゴマーの合成においては、予期せぬことにこれまで他の方法では得ることのできなかった3,4-エポキシフラバン誘導体を高収率で調製可能な方法を見出すことができた。本化合物は、これまでのオリゴマー合成をさらに効率化できる可能性を有している。なお、合成した種々のオリゴマーについては、現在、高次構造解析や種々の生物活性評価等を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題にて目標としているポリフェノールの新たなケミカルスペースの開拓については、その合成法の開発が順調に進んでいる。一方で、合成した化合物の生理活性評価や機能評価については、コロナ禍の影響により停滞していたため、今後は他研究機関との連携を強化し、積極的に行ってゆく予定である。 また、より複雑な構造をもつフラバンオリゴマーの合成を可能とする新規連結方法の開発や、合成の効率向上に繋がりうる光反応を用いたカップリング技術の開発や電解反応技術による選択的な分子変換も積極的に検討する予定である。
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