研究課題/領域番号 |
21H04722
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分39:生産環境農学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山次 康幸 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (40345187)
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研究分担者 |
前島 健作 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (20726062)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,730千円 (直接経費: 32,100千円、間接経費: 9,630千円)
2024年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
2023年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
2022年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
2021年度: 11,700千円 (直接経費: 9,000千円、間接経費: 2,700千円)
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キーワード | 植物ウイルス / ファイトプラズマ / 宿主特異性 / ファイロジェン |
研究開始時の研究の概要 |
ウイルス学最重要テーマの一つである宿主特異性に対して研究者だけでなく、一般からも広く興味が持たれているが、ウイルス宿主特異性の詳細なメカニズムは動植物を問わず未解明である。一方、植物病原細菌は様々な生理活性をもつエフェクターを持つが、それらの機能は完全に解明されておらず、その機能を利用する試みも乏しい。そこで、本研究では植物病原細菌ファイトプラズマのエフェクター機能や近年蓄積される植物ゲノム情報などを駆使して、植物ウイルスの宿主特異性メカニズムの全容解明を目指す。
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研究実績の概要 |
令和5年度は以下の研究を実施した。 1.ファイロジェンを介したin vitroタンパク質分解システムの解析:令和4年度に構築したファイロジェンを介したin vitroタンパク質分解システムをさらに最適化するため、ファイロジェンの機能領域の解析を行った。まず葉化誘導能の弱いRYDファイロジェンの解析により、RYDファイロジェンが結合するMADS転写因子の種類に応じてシャトル因子との結合性が変化し、一部のMADS転写因子は分解装置へと輸送されず、分解を受けないことを明らかにした。さらにファイロジェンの機能領域をランダムミューテーションにより解析し、ファイロジェンにおけるMADS転写因子との結合に働く相互作用面を特定し、ファイロジェンとMADS転写因子の結合モデルを構築した。 2.植物ウイルス感受性機構に関する研究:令和4年度にEXA1がeIF4Eファミリー遺伝子(eIF4e、eIFiso4E、nCBP)の全てと結合することを明らかにしたが、それらの結合がポテックスウイルスの感染に必要かどうかを検証した結果、EXA1はeIF4Eファミリーと協調して働いていることが示唆された。 3.アブラナ科植物におけるウイルス抵抗性の検証:令和4年度にポテックスウイルス抵抗性を示すアブラナ科植物を複数同定したが、それらの中でポテックスウイルス抵抗性遺伝子JAX1をもつものを対象にゲノム編集によりJAX1遺伝子の破壊を試みた結果、少なくとも1種のアブラナ科植物についてJAX1 遺伝子の破壊株を獲得した。 4.宿主特異性機構の分子解体:本研究で解明・解析したウイルス感受性遺伝子、抵抗性遺伝子、RNAi関連遺伝子について、アブラナ科植物ゲノムデータベース検索を行い、植物種ごとのウイルス宿主特異性プロファイル作成を行った。一部についてプロファイリングを完了し、植物により遺伝子保存状況が異なることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究ではファイロジェンを介したin vitroタンパク質分解システムを構築したが、本系は植物細胞由来の安定したin vitroタンパク質分解系としては初めてのシステムであるため関連分野への波及効果が期待される。また、令和5年度は成果公表についても着実に成果を挙げ、6報の学術論文として公表した。植物ウイルス感受性機構の研究において感受性遺伝子同士が強調して機能していることを突き止めたが、この成果は新聞報道等にも採りあげられた。またファイロジェンによるタンパク質分解システムについても複数の学術論文を発表し、報道等で採りあげられた。以上より今年度は当初の想定以上に進捗したと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる令和6年度はファイロジェンを介したin vitroタンパク質分解システムの異分野での応用を想定して拡張性を持たせるための種々の解析を行う。また、ウイルスの感受性遺伝子、抵抗性遺伝子に関する研究も順調に進捗しているため、それらの成果とアブラナ科植物ゲノムデータのプロファイリングを統合してこれまで未解明であったウイルス宿主特異性に迫りたいと考えている。
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