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非病原力遺伝子喪失過程で辿るいもち病菌菌群分化とムギ類抵抗性遺伝子の起源・消長

研究課題

研究課題/領域番号 21H04726
研究種目

基盤研究(A)

配分区分補助金
応募区分一般
審査区分 中区分39:生産環境農学およびその関連分野
研究機関神戸大学

研究代表者

土佐 幸雄  神戸大学, 農学研究科, 教授 (20172158)

研究期間 (年度) 2021-04-05 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
41,730千円 (直接経費: 32,100千円、間接経費: 9,630千円)
2024年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
2023年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
2022年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
2021年度: 12,090千円 (直接経費: 9,300千円、間接経費: 2,790千円)
キーワードいもち病 / Pyricularia oryzae / Magnaporthe oryzae / wheat / コムギ
研究開始時の研究の概要

イネ科植物いもち病菌は、植物属特異的寄生菌群に分化している。本研究では、この菌群-属間特異性に関わる非病原力(AVR)遺伝子を網羅的にクローニングし、菌群分化の全過程をAVR遺伝子の機能喪失過程として説明できるか否かを検証する。つぎに、それらAVR遺伝子に対するコムギの抵抗性遺伝子を同定するとともに、同定した抵抗性遺伝子の祖先野生種集団における分布を、AVR遺伝子保有テスターを用いた迅速同定法により調べ、起源を探る。さらに、それら抵抗性遺伝子の普通系コムギ集団における分布を調べ、「普通系コムギのアジアへの進出には、菌群特異性に関わる抵抗性遺伝子の獲得が重要な役割を果たした」という仮説を検証する。

研究実績の概要

本研究の目的は、いもち病菌菌群分化に関わる非病原力(AVR)遺伝子ならびにそれに対応する抵抗性遺伝子を網羅的にクローニングし、それらの寄生性分化・進化過程がAVR遺伝子の喪失過程として説明できるか否かを検証することである。昨年度までに、シコクビエ菌のコムギに対する非病原性には、5つの遺伝子(PWT7, A2, PWT3, PWT8, PWT6)が関与することを明らかにした。本年度は、これを基盤に研究を展開し、次のような成果を得た。
(1)PWT3, PWT8, PWT6 に対応する抵抗性遺伝子は同一のものであることが判明した。これをRwt3.6.8 と命名した。この遺伝子は、パンコムギの起源地より東方地域に高頻度で分布していた。東方にはシコクビエが栽培されており、したがってシコクビエ菌が存在する。しかし、シコクビエ菌がRwt3.6.8をもつ品種を侵すためには、PWT3, PWT8, PWT6 のすべてに突然変異を起こす必要があり、その確率は極めて低い。したがって、Rwt3.6.8は、シコクビエ菌に対する持続的な抵抗性をコムギに付与していると考えられる。このことから、Rwt3.6.8の獲得が、Triticum属の東方への進出を可能にした大きな要因であると推論した。
(2)A2 の座乗領域をfine mappingにより絞り込んだ。
(3)PWT7に対応するコムギの抵抗性遺伝子Rwt7は、オオムギのいもち病抵抗性遺伝子Rmo2 のホモログであることが判明した。
(4)コムギのコムギいもち病抵抗性遺伝子Rmg8のクローニングに成功した。本遺伝子はコムギうどんこ病抵抗性遺伝子Pm4の同祖遺伝子であった。この遺伝子は非病原力遺伝子AVR-Rmg8を認識するが、この認識能力は、Triticum 属とAegilops属の分化以前、すなわち500万年前以前に獲得されたことが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

シコクビエ菌とコムギの相互作用に関わる非病原力遺伝子-抵抗性遺伝子対を次々に同定・クローニングすることに成功している。すでに4ペアの実体を明らかにすることができた。さらに、コムギのコムギいもち病抵抗性遺伝子Rmg8のクローニングにも成功し、その進化過程に関するモデルを提示することができた。

今後の研究の推進方策

(1)PWT8のクローニング、ならびRwt3.6.8のクローニングの成果を論文にまとめ、学術雑誌に投稿する。
(2)A2をクローニングするとともに、これに対する抵抗性遺伝子を、二粒系コムギを用いて同定する。
(3)コムギのRwt7は、オオムギのRmo2 のホモログであるが、異なる非病原力遺伝子を認識する。このメカニズムをドメインスワッピングにより解明し、論文化する。

報告書

(4件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 2021 審査結果の所見   実績報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Evolution of wheat blast resistance gene Rmg8 accompanied by differentiation of variants recognizing the powdery mildew fungus2024

    • 著者名/発表者名
      Asuke, S., Morita, K., Shimizu, M., Abe, F., Terauchi, R., Nago, C., Takahashi, Y., Shibata, M., Yoshioka, M., Iwakwa, M., Kishi-Kaboshi, M., Su, Z., Nasuda, S., Handa, H., Fujita, M., Tougou, M., Hatta, K., Mori, N., Matsuoka, Y., Kato, K., and Tosa, Y.
    • 雑誌名

      Nature Plants

      巻: -

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Loss of <i>PWT7</i>, Located on a Supernumerary Chromosome, Is Associated with Parasitic Specialization of <i>Pyricularia oryzae</i> on Wheat2023

    • 著者名/発表者名
      Asuke Soichiro、Horie Akiko、Komatsu Kaori、Mori Ryota、Vy Trinh Thi Phuong、Inoue Yoshihiro、Jiang Yushan、Tatematsu Yuna、Shimizu Motoki、Tosa Yukio
    • 雑誌名

      Molecular Plant-Microbe Interactions

      巻: 36 号: 11 ページ: 716-725

    • DOI

      10.1094/mpmi-06-23-0078-r

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] コムギいもち病抵抗性遺伝子Rmg8の単離2023

    • 著者名/発表者名
      足助 聡一郎, 森田 耕平, 清水 元樹, 安倍 史高, 永合 千佳, 髙橋 美乃, 柴田 茉依, 吉岡 資洋, 寺内 良平, 土佐 幸雄
    • 学会等名
      日本育種学会第144回講演会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] いもち病菌非病原力遺伝子PWT7に対するコムギの抵抗性遺伝子Rwt7の単離2022

    • 著者名/発表者名
      足助聡一郎, 庭本大輔, 堀江晶子, Analiza Grubanzo Tagle, 久野裕, 佐藤和広, 土佐幸雄
    • 学会等名
      令和4年度日本植物病理学会大会 2022年3月28日 オンライン開催
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] いもち病菌非病原力遺伝子PWT7に対するコムギの抵抗性遺伝子Rwt7の単離2022

    • 著者名/発表者名
      足助聡一郎・庭本大輔・堀江晶子・Analiza GrubanzoTagle・久野裕・佐藤和広・土佐幸雄
    • 学会等名
      令和4年度日本植物病理学会大会
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [学会発表] Characterization of Pwt2 locus reveals a virulence factor of the blast fungus for wheat infection2022

    • 著者名/発表者名
      Trinh Vy・井上喜博・中馬いづみ・足助聡一郎・中屋敷均・土佐幸雄
    • 学会等名
      令和4年度日本植物病理学会大会
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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