研究課題/領域番号 |
21H04735
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊藤 進一 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (00371790)
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研究分担者 |
筧 茂穂 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(塩釜), 主任研究員 (20371792)
冨士 泰期 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(横浜), 主任研究員 (50792660)
巣山 哲 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(塩釜), 主幹研究員 (70344322)
白井 厚太朗 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (70463908)
石村 豊穂 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (80422012)
吉川 知里 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(生物地球化学センター), 副主任研究員 (40435839)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,340千円 (直接経費: 31,800千円、間接経費: 9,540千円)
2024年度: 11,180千円 (直接経費: 8,600千円、間接経費: 2,580千円)
2023年度: 11,440千円 (直接経費: 8,800千円、間接経費: 2,640千円)
2022年度: 11,310千円 (直接経費: 8,700千円、間接経費: 2,610千円)
2021年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | サンマ / 成長 / 回遊 / 耳石 / 酸素安定同位体比 |
研究開始時の研究の概要 |
2010年から継続するサンマの不漁は、一層深刻な問題となっている。サンマの資源変動を考える上で、最大のボトルネックは、回遊経路が特定できていない点にある。なぜ、2010年以降サンマの分布が沖合化し、その状態が維持されているのかという疑問に答えるためには個々のサンマの回遊経路を分析し、回遊特性を解明することが必要不可欠である。近年の観測によって明らかになった定在的な暖流Isoguchi Jetがサンマの回遊経路に非連続性を作り、サンマの分布沖合化が維持されているという作業仮説のもと、耳石の酸素安定同位体比を分析し、成長-回遊モデルと結合することで、サンマの回遊特性を精査し、仮説検証を実施する。
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研究実績の概要 |
サンマ当歳魚のサンプルの全長、肉体長、体高、体幅、湿重量を測定し追加した。当歳魚と判断される23㎝以下の個体からサンプルをランダムに47個体(前年とあわせると52個体)抽出し、耳石日周輪解析を実施した。その結果94日齢から227日齢の範囲にあり、当歳魚であることを確認できた。マイクロミルを用いて耳石の日周輪30日ごと(縁辺部は30~50日)に耳石を切削し、耳石粉を回収し、微小領域安定同位体比分析システム(MICAL3c)にて酸素安定同位体比を分析した。前年の4個体に加えて13個体を分析し、全17個体のデータを得ることができた。 17個体の耳石酸素安定同位体比をクラスター分析した結果、5つのクラスターに分類された。2つのクラスターは日齢とともに増加する傾向を示し、成長とともにサンマが低水温域に回遊していることが推測された。これらのクラスターに含まれる個体はいずれも日付変更線よりも西側で採集されており、他のクラスターと比較して高い成長率を示していた。1つのクラスターは、耳石酸素安定同位体比が緩やかな増加のみを示し、日付変更線の東西両方の個体を含んでいた。残りの2つのクラスターの耳石酸素安定同位体比は横ばいもしくは減少を示し、すべて日付変更線の東側で採集されており、低い成長率を示した。 以上の結果から、日付変更線の東西で南北回遊が異なっており、より広い範囲を回遊している西側の個体の方が、仔稚魚期の高温環境と未成魚期の高餌料環境を経験することができ、成長が促進されていることが推測された。 また、Isoguchi jet流軸付近の等密度面混合と非地衡流成分による鉛直循環を調べた結果、Isoguchi jetと亜寒帯海流が合流する海域で湧昇流が生じ、栄養塩豊富な中層水が表層付近に供給されていることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度の計画としたa) 過去に分析を行った耳石酸素安定同位体比のデータを用いて回遊経路の推定を行ない、b) 未成魚の採集を行い耳石の日周輪解析から成長履歴を推定し、c) 耳石の日周輪30日程度ずつの耳石粉をマイクロミルで切削し酸素安定同位体比を分析した。2021年度は4個体のみ耳石酸素安定同位体比を測定できたにとどまったが、技術が向上し、2022年度は13個体の分析を追加することができた。この結果、日付変更線を跨る個体の比較を進めることができ、東西で異なる回遊形式と成長履歴を持つことを示した点は重要な知見となる。また、本研究のIsoguchi jetがサンマ初期生活史の回遊履歴の非連続性を作るという仮説を考察するために、Isoguchi jetが生物生産を高めるメカニズムについても解釈が進んだ。これらの実績から、順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
サンマの初期回遊特性を明らかにするために、継続して、 a) 過去に分析を行った耳石酸素安定同位体比のデータを用いて回遊経路の推定を行う。 b) 未成魚の採集を行い耳石の日周輪解析から成長履歴を推定する。 c) 耳石の日周輪30日程度ずつの耳石粉をマイクロミルで切削し、酸素安定同位体比を分析する。 d) サンマ成長-回遊モデルと酸素安定同位体比の情報を組み合わせて、サンマ初期生活史における回遊ルートを推定するためのモデル開発を進める。
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