研究課題/領域番号 |
21H04739
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高野 俊幸 京都大学, 農学研究科, 教授 (50335303)
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研究分担者 |
和田 昌久 京都大学, 農学研究科, 教授 (40270897)
寺本 好邦 京都大学, 農学研究科, 准教授 (40415716)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
42,120千円 (直接経費: 32,400千円、間接経費: 9,720千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 13,910千円 (直接経費: 10,700千円、間接経費: 3,210千円)
2021年度: 15,730千円 (直接経費: 12,100千円、間接経費: 3,630千円)
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キーワード | D-セルロース / L-セルロース / D,L-セルロース / L-多糖 / セルロース / 鏡像異性体 / D/L-セルロース / セロビオース / L型セロビオース / ステレオコンプレックス / キラリティ |
研究開始時の研究の概要 |
天然型セルロース(D-セルロース)と非天然型セルロース(L-セルロース、D,L-セルロース)を化学合成し、それらの構造や基本的性質を比較検討する。さらに、D-セルロースのキラル性を利用した高機能性材料(光学分割材料、不斉合成触媒など)について、非天然型セルロースを用いて、その機能性発現メカニズムの解明を行い、D-セルロース由来の既存の高機能性材料の改良や新規な不斉合成触媒の開発を図る。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、天然セルロース(D体)の立体異性体であるL-セルロースとD/L-セルロースの化学合成とその基本的性質の解明、および、その知見を基にしたD-セルロースのキラル性を利用した高付加価値利用の検討などを研究目的としている。昨年度、D/L-セルロースのモデル化合物として、キラル性の異なる4種類のセロビオース(DD-, LL-, DL-, LD-セロビオース)の合成に成功したことから、(1)4種類のセロビオースを計算科学的手法で構造解析を行ったところ、ホモ型(DD-,LL-)とヘテロ型(DL-,LD-)セロビオースの間で、グリコシド結合の結合角に大きな違いがあることが明らかとなった。また、(2)セロビオース誘導体の液晶性(D体とL体)について調べたところ、円二色性(CD)スペクトルやX線回折では明確な差は認められなかったものの、セロビオース誘導体のラセミ体の熱的性質は変化することがわかった。昨年度に着手した(3)位置選択的置換酢酸セルロース位置選択的置換酢酸セルロース(D体とL体)の合成については、目的化合物の溶媒への溶解性の問題があるものの、両者の合成の目途をつけることができた、なお、これらの研究成果については、セルロースの国際会議(ICC2022+1)や第30回セルロース学会年次大会で発表を行った。また、(4)キトサンに鉄ポルフィリン構造を導入した誘導体については、特定の染料の分解に効率的に作用することを見出した。また、新たに、蛍光性官能基を導入したキトサン誘導体を合成した。なお、これらの研究成果は、第37回日本キチン・キトサン学会で発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度のセロビオースの立体異性体の合成結果を受け、D/L-セルロースの立体構造に関する知見を得るとともに、新たに、セロビオース誘導体における液晶性とキラル性の関係を調べることができた。セルロースの立体異性体の光学分割能の検討についても、遅れ気味ながら、合成が進んだ。また、鉄ポルフィリン担持型キトサン誘導体についても、独自の機能性を見つけることができた。
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今後の研究の推進方策 |
現在のところ、研究自体は順調に展開しており、研究四年度では、(1)位置選択的置換酢酸セルロース(D体とL体)のキラル性と吸着特性の解明を実施する。また、新たに、(2)セルロースの立体異性体の酵素分解特性の検討も行いたいと考えている。また、鉄ポルフィリン担持型キトサン誘導体などの不斉合成触媒への適用も検討する。また、論文投稿が遅れ気味なので、論文投稿にも注力したいと考えている。
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