研究課題/領域番号 |
21H04743
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分41:社会経済農学、農業工学およびその関連分野
|
研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
生源寺 眞一 福島大学, 食農学類, 客員教授 (40196580)
|
研究分担者 |
小山 良太 福島大学, 食農学類, 教授 (60400587)
申 文浩 福島大学, 食農学類, 教授 (50710216)
原田 茂樹 福島大学, 食農学類, 教授 (30238183)
二瓶 直登 福島大学, 食農学類, 教授 (50504065)
牧 雅康 福島大学, 食農学類, 教授 (50375391)
石井 秀樹 福島大学, 食農学類, 准教授 (70613230)
高田 大輔 福島大学, 食農学類, 准教授 (80456178)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
41,340千円 (直接経費: 31,800千円、間接経費: 9,540千円)
2024年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
2023年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
2022年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
2021年度: 11,960千円 (直接経費: 9,200千円、間接経費: 2,760千円)
|
キーワード | 原子力災害 / 風評被害 / 営農再開 / 新たな産地形成 / 放射能汚染 / 帰還困難区域 |
研究開始時の研究の概要 |
震災後10年を機に復興庁の縮小再編や、福島県産米全量全袋検査からモニタリング検査への移行が検討されているが、新たな産地形成に関する指針は明確ではない。 この間の放射能汚染地域における風評被害状況及び流通構造の変化を踏まえ、震災10年を目途に放射能汚染対策の総括とそれに基づく新たな産地形成の在り方を提示し、福島の産地において、既存の市場取引とは切り離した新しい生産構造と生産・流通システムを構築する。
|
研究実績の概要 |
放射能汚染対策について、技術的側面、ならびに社会経済的側面からの総括に向けた幅広い情報収集を進め、全国47都道府県を対象とした風評被害に関する先行調査、過去の調査データとの比較から風評被害の経年変化を明らかにし、具体的提言を見据えた分析にも着手している。 震災による原発事故によって帰還困難区域に指定された地域を中心に、震災直後から現在に至るまでの土地利用(土地被覆)の変遷を詳細に把握するために、Sentinel-2やDoveなどの高解像度の衛星画像を収集した。農産物(ダイズ等)のセシウム吸収に関する他元素の影響を検討した。また、山菜(コシアブラ)のセシウム移行に関して、経年変化から体内半減期を算出した。福島県内および宮城県と福島県の県境に位置する森林の空間線量率変動を解析した。後者は自身による2013年からの簡易空間線量計による計測値の確度・精度・感度の確認を経て行った。 森林内の複雑な空間線量率決定機構を表すためのモデルについての検討を開始した。原発事故に由来する放射性セシウムの果樹樹体内の移行について、果実の放射性セシウムの濃度を栽培ステージごとに測定し、生育に伴いそのB濃度が低下することを明らかとした。加えて、事故後これまでの調査と比較して、果実内の放射性セシウム濃度は、概ね低下の下限となっており、自然減衰を加味した上での果実の濃度は、この4年程度横ばいとなっている。 福島県内の稲作においては、作付け前のカリウム肥料散布や収穫物の全量全袋検査が必須でなくなったが、地質の違いによるハザードを明らかにし、セシウム以降リスクの高い条件を特定し、限られた労力やコストで実施可能な水稲対策を検討するとともに、担い手が著しく減少した避難指示が解除されたエリアにおいて、耕畜連携や雑穀栽培などの営農再開のモデルを実践的に検討し、長期的・短期的変動の要因を明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
震災後からこれまで農用地に関する放射能汚染対策とその成果の取りまとめることができたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、海外の現地調査研究が一部できなかった。したがって、やや遅れていると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
テーマ①土壌中放射性物質、移行メカニズムの総括:農業生産に関わる環境内での放射性物質の所在や循環に関する学術研究や報告書を収集し、その知見を整理するとともに、福島原発事故後、生産環境の放射能汚染がどのように把握されてきたのか「環境モニタリング」の実態を調べる。 テーマ②試験栽培の総括(水田、果樹、園芸):生産者毎の営農情報の管理、農地汚染度別の作物汚染分布の把握、放射性セシウムが検出された圃場の地理的分布や生産条件の特定、全量全袋検査の結果を用いた高リスク圃場の特定、などについて検証する。 テーマ③放射性物質検査体制の総括:食品中放射性物質検査機関の連携について機能分担関係を整理するとともに、これまでの成果を輸入制限が継続している東アジアで発表し、放射能汚染対策の専門チームと協議する。作物移行率データを基に、食品検査体制と認証制度に関して、国内外の調査を実施する。 テーマ④風評被害問題の総括:福島県産農林水産物の風評被害状況に関して、国内外に分け、各国の消費者意向、小売業、流通業、生産組織、支援制度のどの段階に問題が残存しているのか、風評ではなく市場構造の変化と固定化に課題があるのではないかという仮説に基づき、実態調査を行う。
|