研究課題/領域番号 |
21H04745
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分41:社会経済農学、農業工学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
秋津 元輝 京都大学, 農学研究科, 教授 (00202531)
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研究分担者 |
久野 秀二 京都大学, 経済学研究科, 教授 (10271628)
Steven McGreevy 総合地球環境学研究所, 研究部, 客員准教授 (10700172)
田村 典江 事業構想大学院大学, 事業構想研究科, 講師 (20642705)
大石 尚子 龍谷大学, 政策学部, 教授 (20725361)
高村 竜平 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (30425128)
大野 智彦 金沢大学, 地域創造学系, 教授 (30531884)
芦田 裕介 神奈川大学, 人間科学部, 准教授 (30771951)
立川 雅司 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (40356324)
辻村 英之 京都大学, 農学研究科, 教授 (50303251)
原山 浩介 日本大学, 法学部, 教授 (50413894)
友澤 悠季 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 准教授 (50723681)
中村 麻理 名古屋文理大学, 健康生活学部, 教授 (60434635)
西山 未真 宇都宮大学, 農学部, 教授 (70323392)
中田 英樹 特定非営利活動法人社会理論・動態研究所, 研究部, 研究員 (70551935)
岩橋 涼 名古屋文理大学, 健康生活学部, 助教 (90721077)
坂梨 健太 京都大学, 農学研究科, 准教授 (90749128)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,600千円 (直接経費: 32,000千円、間接経費: 9,600千円)
2024年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2023年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
2022年度: 9,490千円 (直接経費: 7,300千円、間接経費: 2,190千円)
2021年度: 10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
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キーワード | ローカルフードポリシー / 食農システム / 社会実装研究 / 有機農業振興 / 比較社会・地域史 / ポストコロナ / フードポリシー / ローカル・フードポリシー / 参加型アクションリサーチ / 食農システム再編 / 有機農業 / 欧州都市食農システム / 食と農の未来会議 |
研究開始時の研究の概要 |
日本における食と農は、地球環境問題をはじめとしたグローバル課題と国内農業生産の一貫した後退という内的課題に挟まれ、今般の新型コロナウイルス禍によって、その未来像はさらに不透明となっている。本研究は、コロナ禍を食農システム再生の転機とみなし、食を中心点に据えて、食の生産と消費をつなぐ今後の社会のあり方を、地域社会史的、比較社会文化的、社会実践的研究手法を総合的に動員しつつ、ローカルな政策に新しい政策思想と枠組みを社会制度として埋め込むことをめざす社会実装的な挑戦である。
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研究実績の概要 |
新型コロナウイルスの影響により海外および国内調査が予定どおり進まなかったため、当初は文献による理論的トレンド研究、Web上の海外資料に基づく比較調査研究を進め、雑誌の連載のかたちで現在も成果公表が継続中である。新型コロナの状況を配慮しつつも、近隣での調査研究および社会実装にむけた活動を徐々に実施し、本研究前より開始していた京都市や京都府亀岡市での社会実装型研究を進めるとともに、都市型のフードポリシー創設において活発な活動をしている東京都墨田区などでの資料収集をおこなった。とくに、亀岡市では、参加型アクションリサーチとして実施してきたローカル・フードポリシーを担う団体が有機農業推進の国家政策のなかに組み込まれ、さしあたりオーガニックビレッジづくりとして、具体的政策の中で役割を獲得するにいたった。 亀岡市で蓄積してきた研究成果については、2022年度の世界農村社会学会議で報告するとともに、同年度の日本村落研究学会のテーマセッションでも報告し、広く社会に公表した。また、ローカル・フードポリシーの発想から日本の食農システムの転換をめざすという基本課題を基礎として、日本農業経済学会の大会シンポジウムも企画し、研究代表者が座長を務めるとともに、研究分担者も報告者として、研究成果の中間報告をおこなった。本研究課題の特徴は社会実装を重点とすることにあるため、大規模な学会で研究フレームや成果を公表し、関心を共有することがきわめて重要であるため、中間段階として有意義な実績となった。実装地域の拡大のために、数カ所の地域自治体で、フードポリシーの内容を説明し、創設を促すための自主的な講演会を開催した。 オンライン及び対面での全体研究会を実施し、新型コロナ後の研究の本格化について議論した。とくに、新型コロナ後の食農システム再編研究の成果については、次年度以降になることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地調査や現地への社会実装を中心とする研究であることから、新型コロナ禍における外出・面会制限は初年度の研究において大きく影響した。しかし、補助金の繰越が可能になり、2年目からはしだいに活動の自由も確保されてきたため、1年遅れの感はあるが、おおむね予定どおりに研究は進捗している。中断されていた国際学会の開催も徐々に正常に戻りつつある。海外調査は、新型コロナによる減便やロシアによるウクライナ侵攻によって、いまだ航空運賃の高止まり状況のため、これまで控えざるをえなかったが、少なくとも新型コロナによる減便についてはしだいに解消しつつあり、ほぼ計画どおりに資料収集が進んでいる。 各地域にローカル・フードポリシーを設立していく課題については、すでに京都市においてそれを進める母体となる「食と農の未来会議・京都」を立ち上げて活動を続けており、亀岡市では有機農業の推進に特化した団体を結成して国の有機農業推進事業を担うかたちで、社会実装化を進めてきた。亀岡市では、総合的食政策を担う「食と農の未来会議」という名称は採用されていないが、各自治体毎の独自事情を考慮しつつ、社会実装を進めるという観点から、予想された逸脱である。また、ローカル・フードポリシーのアイデアを学びたいという自治体や地域活動団体も徐々に増加している印象を得ており、研究期間内において、ローカル・フードポリシーの全国大会開催の夢も現実に近づきつつある。 新型コロナ禍からの再生と食農システムの再編を重ね合わせるというテーマについては、いまだ方向性を模索中であり、この点はやや計画に遅れが認められるが、その理由は対面での研究会の開催が新型コロナの影響により遅れたことが原因である。3年度目は、この研究グループに重点をおいて、焦点を明瞭にしていく。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き京都市および亀岡市においては、「食と農の未来会議」の設立や活動範囲の拡大、およびローカル・フードポリシーの自治体への実装化にむけて、参加型アクションリサーチを実施する。2年度目に開始された愛知県安城市での活動と研究も自治体と協力して進める。また、それ以外の自治体にも要請があれば出向いて、この新しい発想の地域政策について考え方を広める活動をおこなう。研究としては、こうした活動がどのように広がり見せるのかを、やはりアクションリサーチの研究枠組みを利用しながら追究する。 3年度目には、研究代表者が会長を務める国際学会(アジア農村社会学会)の大会が中国で開催される計画である。この大会のテーマは本研究と同じではないが、ローカル・フードポリシーという政策発想を広くアジアに広げるよい機会として捉えるとともに、すでに先駆的に進んでいるソウル市などの事例報告を通じて情報収集もおこなう。さらに、共同研究者の1人がオランダの大学勤務となったことを利用して、欧州を対象としたメンバーの共同による調査も企画する。 復興に関連した食農システム再編についての調査活動を進めるために、国内での調査合宿も視野に入れて、具体的な対象と方法を絞っていく。それも含めて、2から3回ほどの全体研究会を開催し、進捗状況の確認と今後の進め方について議論する。
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