研究課題/領域番号 |
21H04747
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分41:社会経済農学、農業工学およびその関連分野
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
森 也寸志 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (80252899)
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研究分担者 |
松本 真悟 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 教授 (00346371)
前田 守弘 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (00355546)
金子 信博 福島大学, 食農学類, 教授 (30183271)
宗村 広昭 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 准教授 (90403443)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
41,860千円 (直接経費: 32,200千円、間接経費: 9,660千円)
2023年度: 11,180千円 (直接経費: 8,600千円、間接経費: 2,580千円)
2022年度: 11,830千円 (直接経費: 9,100千円、間接経費: 2,730千円)
2021年度: 11,310千円 (直接経費: 8,700千円、間接経費: 2,610千円)
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キーワード | 土壌有機物 / マクロポア / 温室効果ガス / 植生回復 / ニューラルネットワーク / メタン / 二酸化炭素 / 下方浸透 |
研究開始時の研究の概要 |
土壌は陸域最大の炭素貯蔵庫であるが,複雑な因子が関わる材料特性から炭素蓄積と放出が同時に起こるため,プロセスに基づく貯留対策が示せていない.これまでの成果により,粗大間隙マクロポアが発達した土壌では,バイパス的な溶質の下方移動と植生回復により,効果的に有機質化が進むことがわかってきた.さらに,湛水条件下で土壌構造の条件によっては,メタンの発生が削減される知見を得た.そこでこれまでの研究に放出側の因子を加え,プロセスに基づく土壌の有機質化と炭素放出削減を持って,温暖化軽減に資する土壌環境の保全と修復の手段を提供する.
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研究実績の概要 |
土壌カラムの管理の違いに,肥料,排水,マクロポア(粗大間隙)の有無の違いを設け,8管理3反復,24カラムで温室効果ガスの発生の違い設けると,肥料を投入しメタンが発生しやすい状況でも,排水が有り,マクロポアがあるときにメタンガスが有意に減少する成果を得た.同様に,牛ふん堆肥および3畜種混合堆肥を施用した土壌からのCO2, N2O発生を調べたところ,土壌NH4-N含量が高い場合には発生抑制が生じることがわかった.また,生ゴミ堆肥を施用した土壌からのCO2, N2O, CH4発生は堆肥化期間が長い方が少なくなることがわかった. 一方,自然環境下で耕起と不耕起草生栽培1年目の農地で土壌の比較を行い,不耕起草生栽培では土壌表層の炭素隔離が進行し,可給態の栄養塩,特に有効態リン酸が耕起栽培の3倍程度の濃度に増加することが明らになった.イネは,カリウムとケイ酸が不足した条件下でも,他の作物に比べてカリウムとケイ酸を効率的に吸収した.そして,高活性なアルミニウムは根圏にとどまり,有機物と結合して,難分解性の土壌炭素を生成した.ケイ酸を強力に吸収する植物は,鉱物風化によって活性アルミニウムを増加させる役割を担っており,土壌中の炭素蓄積に寄与していると考えられた. 土壌環境における水利用効率を最大にするため,流域(広域)レベルで水資源量の空間分布およびその季節変動を評価した.その中で土壌内への炭素貯留に大きな影響を持つ畑地,水田,プランテーションにおけるバイオマスの変動を中心に解析を進めた.また人為的な土地利用の変更が広域でのバイオマス量に与える影響について考察を進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初期の知見と研究の方向性がある程度適切であったと考えられ,初年度にあって,温室効果ガス排出削減と有機物蓄積に関わる学会発表を複数回行い,学術論文が掲載されている.また,水田構造の安定性にも関わるデータが得られており,地球環境の保全と農業生産基盤両者に貢献するデータが出せているから.
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今後の研究の推進方策 |
二酸化炭素・メタン両者を同時計測する手段を得たことから,土壌有機物の蓄積だけでなく,消失についても議論し,両面から土壌有機物の安定性に言及していく.
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