研究課題/領域番号 |
21H04751
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分42:獣医学、畜産学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
市居 修 北海道大学, 獣医学研究院, 教授 (60547769)
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研究分担者 |
岡村 匡史 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 実験動物管理室長 (00333790)
西邑 隆徳 北海道大学, 農学研究院, 教授 (10237729)
矢吹 映 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 教授 (10315400)
山崎 淳平 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (20732902)
中村 鉄平 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (80786773)
堀野 太郎 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 准教授 (90448382)
昆 泰寛 北海道大学, 獣医学研究院, 教授 (10178402)
齋藤 実里奈 (細谷実里奈 / 細谷 実里奈) 酪農学園大学, 獣医学群, 助教 (80848797)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,730千円 (直接経費: 32,100千円、間接経費: 9,630千円)
2024年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
2023年度: 11,440千円 (直接経費: 8,800千円、間接経費: 2,640千円)
2022年度: 13,000千円 (直接経費: 10,000千円、間接経費: 3,000千円)
2021年度: 10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
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キーワード | 腎臓 / 腎盤 / 尿路関連リンパ組織(UTALS/UTALT) / 尿 / 慢性腎臓病(CKD) / 尿路関連リンパ組織 / UTALS/UTALT / ケモカイン / 腎盤/腎盂 / 尿路上皮バリア / MRL/lpr / 獣医学 / 腎盤・腎盂 / リンパ組織 |
研究開始時の研究の概要 |
腎臓内の誘導性リンパ組織は、慢性炎症の増悪と遷延を引き起こす。これまで我々は、腎盤に尿路関連リンパ組織(UTALT)を発見し、その発達が慢性腎臓病(CKD)の進行と強く相関することを見出した。本研究では、疾患モデル動物や伴侶動物/ヒト症例の精査を基軸に、CKDにおけるUTALT発達の意義、特に腎臓の慢性炎症との病態連関を解明する。また、UTALTが発達する理由として“CKD時の尿が導く腎盤上皮バリアの脆弱化とそれに続く尿の腎盤侵入”を証明し、尿の新たな存在意義“リンパ組織の発達誘導”を提唱する。本研究では、UTALTを中心とした腎盤-腎臓病態軸の解明から、CKDの治療戦略に新たな道を切り拓く。
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研究実績の概要 |
ヒトと伴侶動物では、個体の高齢化に伴い慢性腎臓病(CKD)症例が増えている。CKDは糸球体や尿細管間質の慢性炎症を主体とし、難治性である。近年、腎臓内に形成された誘導性 リンパ組織による慢性炎症の増悪と遷延が問題視されている。我々は腎盤(腎盂)に尿路関連リンパ組織(UTALT/UTALS)を発見し、その発達がCKD進行と強く相関することを見出した。本研究では、疾患モデル動物や伴侶動物・ヒト症例の精査を基軸に、CKDにおけるUTALS発達の意義、特に腎臓の慢性炎症との病態連関を解明する。さらに、UTALSが発達する理由として“CKD時の尿が導く腎盤上皮バリアの脆弱化とそれに続く尿の腎盤侵入”を証明し、尿の新たな存在意義“リンパ組織の発達誘導”を提唱する。 これまでUTALSの構成細胞と発現分子を同定した。特にCKDや種々の泌尿器疾患で腎盤に発現する非線維性コラーゲン分子は、尿路上皮バリア維持とUTALS形成に重要な役割を担っていた。また、前年度は加齢性変化や免疫異常を示すモデル動物を解析したが、2022年度は直接的・間接的な尿路上皮障害モデルマウス(尿管結紮、TRECKによる尿路上皮破壊)を解析した。抗体アレイを駆使し、腎実質障害時に尿中に増える尿路上皮バリア破壊因子候補としてMMP分子群を同定した。どのモデルにおいても、障害された尿路上皮直下の腎盤組織に尿が漏出し、ケモカインを発現する炎症細胞が浸潤する一方、明瞭なUTALS形成はみられなかった。以上より、種々の疾患で尿路上皮バリアは破壊され、尿は腎盤実質に侵入して局所免疫を変化させるが、UTALSの実質的形成には個体の素因(加齢、免疫異常)が必要であると考察した。 腎盤を巻き込む腎臓病の重篤化は深刻であり、死亡率も高い。本研究では、UTALSを中心とした腎盤-腎臓病態軸の解明から、難治性疾患CKDの治療戦略に新たな道を切り拓く。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
種々の病態モデル動物の作出が順調に進んでいる。これらの解析結果より、UTALSを実質的に形成するためには、尿の組織漏出のみでは不十分であり、個体の素因(加齢、免疫異常等)も重要であることが示唆された。これらはUTALS形成メカニズムを明らかにするための大きな進展と考えられる。また、研究遂行過程で同定・検証した非線維性コラーゲンは尿路上皮バリア維持とUTALS形成に寄与する新規分子であり、この発見を基に当初よりも発展した研究計画を組み立てることができた。
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今後の研究の推進方策 |
【計画A】UTALSは腎臓内の誘導性リンパ組織と協働して、あるいは独立して慢性炎症に関連するのか、マウスの下記解析結果から考察する。これまで、UTALSの発達が腎臓の病理組織スコアと相関することを示した。また、予定していたマウス腎盤の3D組織構築を完了した。下記の残りの解析を継続する。 ・解析1. 各病変を結ぶ構造の観察:慢性炎症部位、誘導性リンパ組織、UTALSを結ぶ脈管や結合組織の有無を形態学的に明らかにする。 【計画B】 “腎障害時の尿の変化による腎盤上皮の脆弱化やUTALSの発達”、またその逆、“UTALSの発達による腎盤上皮の脆弱化” を検証する。当初はCKDに絞っていたが、種々の腎障害に着目する。 ・解析2. 尿中分子の選抜:マウスの腎障害群が慢性炎症、UTALS発達、腎盤上皮バリア脆弱化を明瞭に示す病期を絞り、次の基準を全て満たす分子を選抜する。①ヒト腎臓で増加する炎症関連の液性因子、②モデルマウスの尿と腎臓内で有意に増加する分子、これらを複数選抜し、腎臓内の発現動態を明らかにする。2022年度は虚血再灌流モデルを中心とした解析が進み、候補分子を同定した。 ・解析3. 尿中分子・尿性状の変化による尿路上皮バリア脆弱化の検証:①解析2で選抜した尿中分子、②健常者・腎疾患患者の尿で培養ヒト尿路上皮細胞を刺激する。その後、上皮細胞間接着分子の局在や発現の変化を細胞染色や定量的PCRで評価する。上記の候補分子に着目する。また、尿管結紮法やTRECK法による尿路上皮障害モデルの泌尿器表現型を精査する。2022年度に後者の作出を完了した。 【計画C】動物とヒトの腎疾患進行とUTALS発達に関する知見を収集する。2022年度にヒトと伴侶動物(イヌ、ネコ)に加え、産業動物(ブタ、ヤギ)の泌尿器組織解析を開始した。
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