研究課題/領域番号 |
21H04761
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分43:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小林 武彦 東京大学, 定量生命科学研究所, 教授 (40270475)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
41,210千円 (直接経費: 31,700千円、間接経費: 9,510千円)
2024年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
2023年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
2022年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
2021年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
|
キーワード | 環境適応 / ゲノムの安定性 / ヒストン修飾 / 酵母 / rDNA / 環境ストレス / ゲノムの不安定性 / 出芽酵母 / リボソームRNA遺伝子 / ヒストンの脱アセチル化酵素 / 酸性度 / クロマチン構造 / 非コード転写 / ヒストン脱アセチル化酵素 / ゲノム安定性 / クロマチン免疫沈降法 / 非コードプロモーター / 酸性培地 / 寿命 |
研究開始時の研究の概要 |
地球上の生物はそれぞれの生活環境、例えば気温、明るさ、塩濃度、酸性度などに適応して進化した。特に自力での移動が難しい植物や微生物では、環境の変化に適応できないと即「死」を意味する。申請者らは最近、出芽酵母を用いた研究で培地の酸性度によってゲノムの安定性が変化する現象を見出した。これまで、紫外線や変異原物質がゲノムの不安定化を誘導することは知られていたが、環境の酸性度によるゲノムの変化は初めての発見である。本研究提案では、酸性度に応じてゲノムの安定性を変化させる遺伝子を同定し、それらがどのように環境の酸性度を感知し、ゲノムの安定性を制御するのか解析する。
|
研究実績の概要 |
地球上の生物はそれぞれの生活環境、例えば気温、明るさ、塩濃度、酸性度などに適応して進化した。特に自力での移動が難しい植物や微生物では、環境の変化に適応できないと即「死」を意味する。申請者らは、出芽酵母を用いた研究で培地の酸性度によってゲノムの安定性が変化する現象を見出した。本研究提案では、酸性度に応じてゲノムの安定性を変化させる遺伝子を同定し、それらがどのように環境の酸性度を感知し、ゲノムの安定性を制御しているのか解析する。 酵母を使ったこれまでの実験で、酸性培地で酵母を培養するとゲノムの不安定領域であるリボソームRNA遺伝子(rDNA)が、安定化することを見出した 。rDNAの不安定性に影響を与える要因として、1)DNA複製阻害配列での複製の停止、2)その結果生じるDNAの切断、3)非コードプロモー ター(E-pro)の転写による姉妹染色分体の乖離、の3つがあげられる。全ての可能性を検討したところ、酸性条件下ではDNA複製阻害配列での停止頻度およびDNAの切断には変化はなかったが、非コードプロモーター(E-pro)の転写産物量が低下していることが観察された。そこでデータベースから転写調節に関わるヒストン修飾関連の遺伝子(59個)を選び出し、それらをノックアウトして、酸性条件下でのrDNAの安定性に与える影響を調べた。その結果 、複数の酸性条件とrDNAの安定性を結びつける候補遺伝子を得ることに成功した。中でも1番顕著にrDNAの安定化がみられなくなったrpd3欠損株の解析を中心に行なった。Rpd3はヒストンの脱アセチル化酵素(HDAC)で、転写の抑制作用をもつことが知られている。そこで酸性条件下でのRpd3のE-proの転写への関与を調べたところ、その抑制を介してrDNAの安定化に寄与していることを発見した。さらにクロマチン免疫沈降法によりRpd3のrDNAへの結合も確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、酸性条件下でrDNAが安定化する分子メカニズムについて、その大筋が解明できた。
|
今後の研究の推進方策 |
非コードの転写調節がrDNAの安定性維持に重要な働きを担っていることが判明したので、今後は酸性度のならず、さまざまな非コードの転写に関わる因子を同定し、それらとrDNAの安定性との関連を解析していきたい。
|