研究課題/領域番号 |
21H04766
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分43:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
廣田 毅 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 特任准教授 (50372412)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
42,510千円 (直接経費: 32,700千円、間接経費: 9,810千円)
2023年度: 12,350千円 (直接経費: 9,500千円、間接経費: 2,850千円)
2022年度: 12,740千円 (直接経費: 9,800千円、間接経費: 2,940千円)
2021年度: 17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
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キーワード | 概日時計 / ケミカルバイオロジー / 時計タンパク質 / 化合物 / 構造解析 |
研究開始時の研究の概要 |
睡眠・覚醒など様々な生理機能の日内リズムを支配する概日時計について、私たちが世界に先駆けて発見した独自の時計調節化合物を用い、新たな時計タンパク質の発見や概日リズムの自在な制御を可能にする新技術を開発する。これらの革新的な技術を用いて、分子メカニズム解析から組織・個体における機能制御を統合的に行い、従来の分子遺伝学研究を超えて概日時計システムの作動原理を徹底解剖する。
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研究実績の概要 |
概日時計は多様な生理機能の日内リズムを支配し、その攪乱は睡眠障害などの現代疾患に関連する。本研究は概日時計の分子解析から、生物がどのように時間を計るのかという本質的な謎を解明し、概日リズムの変調と諸疾患を時間の観点から理解することを目指す。この重要課題に対して、時計機能の操作技術の開発が突破口を開くと考え、ケミカルバイオロジーを応用した研究を行う。申請者が世界に先駆けて発見した独自の時計調節化合物を用い、新たな時計タンパク質の発見や、概日リズムの時空間制御を可能にする新技術を開発する。これらの革新的な技術を用いて、結晶構造解析による分子メカニズム解析から組織・個体における機能制御を統合的に行い、従来の分子遺伝学研究を超えて概日時計システムの作動原理を徹底解剖する。本年度はCRY1とCRY2の両方に作用する化合物KL001の誘導体として開発されたSHP656の機能解析を行い、予想外にもこの化合物がCRY2に選択性を示すことを見出した。CRY2とSHP656の複合体の構造と機能の解析から、ゲートキーパーと名付けたトリプトファンの向きがSHP656のアイソフォーム選択性にも重要な役割を果たすことが判明した。さらに、概日リズムの周期を変化させる化合物の解析から新規化合物TH401を発見し、CRY1とCRY2の両者に作用することを明らかにした。CRY1とTH401の複合体においては、ゲートキーパーがCRY1-PER2複合体の場合と同様の向きに変化することを見出した。以上の研究からCRYの機能制御の理解を深めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
下記のように研究3において当初の計画以上に研究が進展した。 KL001の誘導体であるSHP656は糖尿病マウスの血糖値を低下させるだけでなく、致死性の脳腫瘍を引き起こすグリオブラストーマ幹細胞の増殖を抑制することが示されている。しかし、これらの作用がCRY1とCRY2のどのアイソフォームを介しているのかは不明であった。本研究においてSHP656の作用メカニズムを解明するためにCRY1とCRY2のそれぞれに対する影響を解析したところ、意外にもSHP656はCRY2に選択性を示すことを見出した。さらに、結晶構造解析からSHP656がCRY2の内向きのゲートキーパーとの間に相互作用を形成していることを明らかにした。ゲートキーパーの向きを変化させるCRY2変異体ではSHP656の作用が大幅に低下し、この部位が選択性に重要な役割を果たすことが判明した。その上、CRY2-SHP656の結晶構造に基づいて、より活性の高い誘導体であるSHP1703を見出すことに成功し、当初の計画以上の成果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
研究1-3において、計画通りに研究を推進する。研究1では新規の概日時計調節化合物について作用機序の解析を進める。アフィニティープローブの開発と解析を進めると共に、時計タンパク質と化合物の相互作用を熱安定性の変化によって検出する系を用いた解析を進める。研究2では光スイッチ化合物と一細胞レベルのイメージングシステムを用いた概日リズムの空間的な制御に向けた検討を進める。研究3ではCRY1とCRY2のアイソフォーム選択性に注目した機能解析を進める。In vivo実験に用いるCRY1とCRY2のそれぞれに選択的な誘導体の開発を進め、マウス個体に投与して睡眠・覚醒の行動リズムに与える影響を解析する。アイソフォーム選択性を明らかにするために、Cry1ノックアウトマウスおよびCry2ノックアウトマウスを用いた解析も行う。さらに、これらの化合物を肥満モデルマウスに投与し、血糖値や各組織の形態・遺伝子発現などに与える影響を解析する。
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