研究課題/領域番号 |
21H04781
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分45:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
佐竹 暁子 九州大学, 理学研究院, 教授 (70506237)
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研究分担者 |
金岡 雅浩 県立広島大学, 生物資源科学部, 教授 (10467277)
三輪 京子 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (50570587)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,730千円 (直接経費: 32,100千円、間接経費: 9,630千円)
2024年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
2023年度: 10,660千円 (直接経費: 8,200千円、間接経費: 2,460千円)
2022年度: 10,530千円 (直接経費: 8,100千円、間接経費: 2,430千円)
2021年度: 11,440千円 (直接経費: 8,800千円、間接経費: 2,640千円)
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キーワード | フェノロジー / ゲノム / 花粉管ガイダンス / 遺伝子発現 / 環境応答 / 植物フェノロジー / 受精遅延 / ブナ科 / 花粉管 / 送粉 / 適応 |
研究開始時の研究の概要 |
有性生殖を行う生物では、受精は新しい生命個体の始まりである。受粉・交尾後に速やかに受精がなされる種がいる一方で、受精まで長い時間をかける種が多岐にわたる分類群で報告されている。森林生態系の中核をなすブナ科樹木はその典型であり、受粉から受精まで1年も遅延する。この長い受精遅延が生じるメカニズムと適応的意義は未解明のままであったが、近年申請者らはアジアに生息する200種を超えるブナ科樹木の開花と結実時期を分析することで、長い受精遅延は開花時期の多様化と種多様性の創出に寄与する可能性を見出した。本研究では、この開花時期と受精遅延の協調的進化を駆動する分子メカニズムを解明する。
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研究実績の概要 |
引き続き福岡県に分布するマテバシイ属マテバシイ(2年成)とアラカシ(1年成)を対象に同一環境に生息し、開花時期と受精遅延期間が異なるブナ科樹木近縁種ペアを対象に、野外トランスクリプトーム解析を実施した。前年度に解読されたアラカシとマテバシイゲノムの遺伝子予測において、複数の重要な遺伝子が予測されていないという問題があったため、より精度の高い遺伝子予測を行った結果、それぞれゲノムサイズは800から900Mbであり遺伝子数は39,750個と34,059個であると予測された。OrthoFinderを用いてオルソログを推定した結果、アラカシとマテバシイの遺伝子のうち半数以上が1:1ペアのオルロログであることが明らかとなった。この1:1ペアの遺伝子を対象に、野外における遺伝子発現ダイナミクスの種間比較を実施することにした。日本には1年成のマテバシイ属は分布していないが、台湾南部には1年成マテバシイの小規模な集団が存在する。今年度は台湾との共同研究として調査を開始し、台湾に生息する1年成マテバシイを対象とした貴重なサンプルの採取を実施した。さらに、マテバシイとアラカシの雌花を解剖し切片の作成・観察を進めることで、花粉管のイメージングを実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・国内のフィールド調査と遺伝子発現解析は引き続き順調に進んでいる。 ・台湾に生息する1年成マテバシイを対象としたフィールド調査を順調に推進している。 ・極めて硬い雌花を対象とした切片の作成は困難であったが、実験プロセスを工夫することで花粉管のイメージングが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
マテバシイとアラカシの花粉管のイメージングの準備が整ったため、本成果をもとに異なる季節に採取されたより多くのサンプルを用いた分析を実施する。シリブカガシやスダジイへも対象を広げた種間比較を行うことで、花粉管が伸長を停止するタイミングと場所を特定する。
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