研究課題/領域番号 |
21H04782
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分45:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
|
研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
山平 寿智 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (20322589)
|
研究分担者 |
安齋 賢 京都大学, 農学研究科, 特定准教授 (20779467)
北野 潤 国立遺伝学研究所, ゲノム・進化研究系, 教授 (80346105)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
42,120千円 (直接経費: 32,400千円、間接経費: 9,720千円)
2023年度: 13,260千円 (直接経費: 10,200千円、間接経費: 3,060千円)
2022年度: 15,210千円 (直接経費: 11,700千円、間接経費: 3,510千円)
2021年度: 13,650千円 (直接経費: 10,500千円、間接経費: 3,150千円)
|
キーワード | 種分化 / 多様性 / 性淘汰 / 性染色体 / メダカ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,メダカ科魚類をモデル系に,性染色体の置換と分化が,熱帯における二次性徴形質の多様化に果たす役割を検証することを目的とする.そのために,本科魚類全種の性染色体の同定と組換え抑制領域の解析を行い,熱帯の種ほど性染色体の置換が頻繁でかつ非組換え領域の分化が大きいかを検証する.次に,スラウェシ島のマリリ種群4種6集団を対象に,本種群の多様化の歴史推定と性染色体置換の具体的なプロセスの解明,ならびに二次性徴形質の原因遺伝子の同定とそれが性染色体に座乗しているかの検証を行う.さらに,ゲノム編集個体を用いた配偶者選好実験によって,性淘汰がオスの二次性徴形質の進化の推進力であることの検証も行う.
|
研究実績の概要 |
種多様性の緯度勾配を説明する仮説として,熱帯は種分化速度が速いとする”種分化仮説”が近年注目を集めている.熱帯では,強い性淘汰圧がオスの二次性徴形質の多様化を促進する推進力になっているという実証研究が蓄積しつつある.しかし,二次性徴形質を異なる方向に進化させる遺伝機構は不明である.二次性徴形質に関わる遺伝子が性染色体と連鎖することで性特異的発現が達成されているなら,性染色体の置換は二次性徴形質の質的な変化をもたらすと考えられる. 本研究は,メダカ科魚類をモデル系に,性染色体の置換と分化が,熱帯における二次性徴形質の多様化に果たす役割を検証することを目的とする. 本年度は,昨年度に引き続き,性染色体未同定である種を対象に,ゲノムワイド性連鎖解析を行った.具体的には,ティウメダカの室内飼育系統から得られた雌雄をpool-seqに,また野外から採集されたニグリマスメダカとネブローサスメダカの雌雄を全ゲノムシーケンスにかけた.その結果,これらの種では,スラウェシ島固有種で多く見られる性染色体(日本のメダカの連鎖群24番)とは別の染色体が,性染色体に相当していることが判明した.これら3種は中央スラウェシの古代湖群で交雑を繰り返してきたことが知られていることから(Sutra et al. 2019),交雑と性染色体置換との関係が浮かび上がってきた.また,ポソ湖のメダカ(ポソ種群)を対象に,体色や体型などの二次性徴形質の原因遺伝子を特定すべく,種間交配系統を用いてQTLマッピングを行った.その結果,これらの形質の責任遺伝子座は特定できたものの,それらは性染色体以外の染色体に座乗していることが判明した.さらに,ポソ種群について全ゲノム配列を新規決定し,大規模な染色体再配置の有無を確認すべく解析を進めている.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ渦で採集調査が延期になったが,過去に採集したサンプルを使って解析を進めることができた.また,ポソ種群については室内交配実験も予定通り終了し,いくつかの種について二次性徴形質の責任遺伝座を特定することもできた.
|
今後の研究の推進方策 |
ポソ種群についてはほぼ予定通りのデータが得られ,論文を執筆する段階に来ている.来年度は,トウティ種群を対象に,GWASなどの解析を進める予定である.
|