研究課題/領域番号 |
21H04785
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分46:神経科学およびその関連分野
|
研究機関 | 帝京大学 (2023) 東京大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
狩野 方伸 帝京大学, 先端総合研究機構, 教授 (40185963)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
42,510千円 (直接経費: 32,700千円、間接経費: 9,810千円)
2023年度: 12,220千円 (直接経費: 9,400千円、間接経費: 2,820千円)
2022年度: 12,220千円 (直接経費: 9,400千円、間接経費: 2,820千円)
2021年度: 18,070千円 (直接経費: 13,900千円、間接経費: 4,170千円)
|
キーワード | シナプス刈り込み / 発達期 / 小脳 / マウス / 自閉スペクトラム症 / 統合失調症 |
研究開始時の研究の概要 |
小脳の障害が自閉スペクトラム症や統合失調症の発症に関わるという多くの報告があるが、発達期小脳のシナプス刈り込みの異常とこれらの精神神経疾患との関連は不明である。本研究では、これらの精神疾患の関連遺伝子をプルキンエ細胞特異的に欠損させたマウスを対象に、発達期小脳の登上線維シナプス刈り込み、前頭前野のシナプス伝達、精神疾患関連行動を精査し、さらに、プルキンエ細胞の活動を変調してシナプス刈り込みを正常化した場合の効果を解析する。これらにより、発達期小脳の登上線維シナプス刈り込みの異常な亢進や障害が、如何にして前頭前野のシナプス機能に永続的な影響を及ぼし、精神疾患類似の行動異常を起こすのかを追及する。
|
研究成果の概要 |
小脳の障害が自閉スペクトラム症(ASD)や統合失調症(SZ)の発症に関わると考えられているが、発達期小脳のシナプス刈り込みとの関連は不明である。本研究では、ASDまたはSZの関連遺伝子を小脳プルキンエ細胞特異的に欠損させたマウスを用いて、この課題に取り組んだ。ASDの関連遺伝子である細胞接着分子の欠損マウスでは、シナプス刈り込みの亢進と一部ASD類似の行動異常がみられたが、両者を因果的に関係づけるまでには至らなかった。一方、SZのリスク遺伝子の欠損マウスでは、シナプス刈り込みの異常と行動の柔軟性の低下がみられた。設定した課題に対して一定の成果を得たが、結論を得るために更なる研究が必要である。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
自閉スペクトラム症(ASD)や統合失調症(SZ)は、頻度が高く、患者の社会生活に影響する重要な精神神経疾患である。近年、これらの発症に小脳の異常が関わると広く考えられるようになった。一方、ASDやSZでは、発達期の大脳皮質のシナプス刈り込みに異常があることが知られているが、発達期の小脳におけるシナプス刈り込みの異常が関わるかは明らかでなかった。マウスを用いた本研究において、ASDやSZの関連遺伝子の小脳プルキンエ細胞特異的欠損がシナプス刈り込みの異常を起こすとともに、これらの精神疾患類似の行動異常を生じる可能性を示した。ASDやSZの病態生理の理解の進展に貢献する研究成果と考えられる。
|