研究課題/領域番号 |
21H04786
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分46:神経科学およびその関連分野
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
小泉 修一 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (10280752)
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研究分担者 |
繁冨 英治 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (00631061)
大野 伸彦 自治医科大学, 医学部, 教授 (10432155)
篠崎 陽一 公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, 副参事研究員 (10443772)
柏木 賢治 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (30194723)
原田 高幸 公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, 参事研究員 (90345306)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
42,380千円 (直接経費: 32,600千円、間接経費: 9,780千円)
2023年度: 12,220千円 (直接経費: 9,400千円、間接経費: 2,820千円)
2022年度: 13,000千円 (直接経費: 10,000千円、間接経費: 3,000千円)
2021年度: 17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
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キーワード | 緑内障 / アストロサイト / ミクログリア / グリア細胞 / 眼圧 / 網膜アストロサイト / ABCA1 / 眼疾患 / 正常眼圧緑内障 / 正常眼圧 / ミューラー細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
緑内障は、眼圧(IOP)亢進により網膜神経節細胞(RGC)が傷害される疾患と考えられてきたが、本邦の緑内障患者の多くはIOPが正常であることが判明し、現在真の病因解明が急務となっている。最近、緑内障コホート研究により病因候補分子としてABCA1が報告された。予備研究では(1)ABCA1全身欠損マウスはIOPが正常にもかかわらず緑内障様症状を認め、(2)ABCA1の発現は網膜アストログリア特異的であった。そこでアストログリア特異的ABCA1欠損マウスのIOP、RGC傷害、眼微細構造、視覚機能、scRNAseq解析等により、アストログリア病としての緑内障の全容を解明する。
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研究実績の概要 |
緑内障危険因子として見いだされた分子ABCA1に注目し、緑内障の分子病態に関する研究を行った。前年までに、ABCA1が網膜アストロサイトに局在すること、ABCA1のアストロサイト特異的欠損マウス(ABCA1-cKO)を作成し、ABCA1-cKOマウスは眼圧が正常にもかかわらず緑内障様の症状を呈することを見いだした。本年は、本マウスを用いたバルクRNAシークエンス及び一細胞RNAシークエンスを行い、 網膜アストロサイトABCA1の欠損から疾患に至るメカニズムの解析を行った。ABCA1-cKO網膜では、炎症系の応答が亢進していることが明らかとなった。また末梢からマクロファージの網膜内への浸潤が起こっており、これらが網膜内の炎症に大きく関与していることが明らかとなった。アストロサイトABCA1の欠損は、このような末梢からの免疫細胞の浸潤を引き起こし、網膜の炎症を亢進させることで、眼圧に関係無く緑内障様の症状を引き起こすことが強く示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
バルクRNAシークエンスに加え、一細胞RNAシークエンスによる解析が進んだため。
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今後の研究の推進方策 |
今回の研究により、アストロサイトABCA1欠損が、眼圧に関係する事無く緑内障様の症状を起こすメカニズムとして、末梢からのマクロファージ侵入により炎症応答が亢進することを見いだした。この炎症応答がどのようにして網膜神経節細胞(RGC)を障害するのかの、分子メカニズムを明らかとする。RNAシークエンスデータからRGCの障害に関係する分子の探索、どのようなRGCが障害を起こしやすいのかの探索を行う。これら見いだした候補分子を、薬理学的及び分子生物学的に制御し、責任分子を見いだす。RGCの障害は、RGCの免疫染色、視覚機能検査及び網膜断層撮影により評価する。
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