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睡眠と覚醒状態における匂いの脳内表現の差異とそのメカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 21H04789
研究種目

基盤研究(A)

配分区分補助金
応募区分一般
審査区分 中区分46:神経科学およびその関連分野
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

風間 北斗  国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, チームリーダー (90546574)

研究期間 (年度) 2021-04-05 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
41,600千円 (直接経費: 32,000千円、間接経費: 9,600千円)
2025年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2024年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2023年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2022年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2021年度: 10,920千円 (直接経費: 8,400千円、間接経費: 2,520千円)
キーワード嗅覚情報処理 / 睡眠 / 行動状態 / イメージング / ショウジョウバエ
研究開始時の研究の概要

ヒトは睡眠中に知覚を失う。動物も同じく睡眠状態において感覚刺激に対する応答性を著しく低下させる。しかしながら、入眠によって感覚刺激に対する神経応答がどのように変化するためにこれらの現象が起こるのかは未知である。そこで本研究では、ヒトや動物を覚醒させる性質が弱い匂い刺激の特徴を生かし、睡眠と覚醒状態における匂いの脳内表現の差異とそのメカニズムの解明を目指す。

研究実績の概要

これまでに、二光子顕微鏡下でショウジョウバエ成虫の嗅覚回路の活動と個体の行動を同時に計測するシステムを用いて、嗅覚二次中枢であるキノコ体に属する約2000個全ての主要神経細胞(ケニオン細胞)の神経活動を、運動と安静、そして睡眠と覚醒状態において計測してきた。本年度はより脳の深部においてより顕著な睡眠状態依存的活動変化が見られるかどうかを検証した。具体的には、ケニオン細胞の下流に位置するドーパミン細胞を標的とした。ドーパミン細胞は、解剖学的な側面で興味深いだけでなく、先行研究で睡眠に関わることが報告されているため、その匂い刺激に対する活動変化を調べることは妥当だと考えられたためである。
キノコ体は15個のコンパートメントと呼ばれる区画化された構造から成り、異なるコンパートメントには異なるタイプのドーパミン細胞が投射している。そこで、キノコ体に投射する全てのドーパミン細胞に蛍光カルシウム指示薬GCaMP6sを発現させ、コンパートメントごとに蛍光強度の変化を解析した。キノコ体全体の輪郭はMB246-DsRedを使うことで可視化し、各個体で観察したキノコ体をテンプレートにレジストレーションした。その結果、運動から安静状態に移行する際に全体として大きな活動の変化が見られた一方、さらに安静から睡眠状態に移行する際にはコンパートメント特異的にベースライン及び匂い応答が変化することを見出した。デーコーディングの手法を用いて定量したところ、ドーパミン細胞の活動に符号化される匂い情報が変化することが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

運動と安静、睡眠と覚醒状態において、キノコ体ドーパミン細胞の匂いの脳内表現にどのような違いがあるかという、年度当初の目標に迫るためのデータを取得できたため。また、安静と睡眠状態間で嗅覚情報処理が異なるという仮説を支持する結果が得られたため。

今後の研究の推進方策

本年度は嗅覚二次中枢であるキノコ体のドーパミン細胞の活動を計測したが、今後はキノコ体の主要細胞であるケニオン細胞から直接匂い情報を受け取ると同時に、ドーパミンと相互作用するキノコ体出力細胞において、睡眠状態依存的活動変化が見られるかどうかを検証する。キノコ体出力細胞もドーパミン細胞同様、先行研究で睡眠に関わることが報告されているため、その匂い刺激に対する活動変化を調べることは重要なステップであると考えられる。数理解析を通して、これらの細胞が表現する匂いの種類や価値の情報が、睡眠状態においても保持されているかどうかを調べる。

報告書

(4件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 2021 審査結果の所見   実績報告書
  • 研究成果

    (17件)

すべて 2024 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 3件、 招待講演 11件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Dopaminergic neurons dynamically update sensory values during olfactory maneuver2023

    • 著者名/発表者名
      Kato Ayaka、Ohta Kazumi、Okanoya Kazuo、Kazama Hokto
    • 雑誌名

      Cell Reports

      巻: 42 号: 10 ページ: 113122-113122

    • DOI

      10.1016/j.celrep.2023.113122

    • URL

      https://localhost/en/publications/afa88d8d-80f8-4f9a-b860-80522d33dc1b

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Central organization of a high-dimensional odor space2022

    • 著者名/発表者名
      Endo K and Kazama H
    • 雑誌名

      Current Opinion in Neurobiology

      巻: 73 ページ: 10252-10252

    • DOI

      10.1016/j.conb.2022.102528

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] An electrically coupled pioneer circuit enables motor development via proprioceptive feedback in Drosophila embryos2021

    • 著者名/発表者名
      Zeng Xiangsunze、Komanome Yuko、Kawasaki Tappei、Inada Kengo、Jonaitis Julius、Pulver Stefan R.、Kazama Hokto、Nose Akinao
    • 雑誌名

      Current Biology

      巻: 31 号: 23 ページ: 5327-5340

    • DOI

      10.1016/j.cub.2021.10.005

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Circuits for innate value computation in a higher olfactory area2024

    • 著者名/発表者名
      Hokto Kazama
    • 学会等名
      3rd Asia Pacific Drosophila Neurobiology Conference
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 匂いの価値の脳内情報処理と回路メカニズム2024

    • 著者名/発表者名
      風間北斗
    • 学会等名
      感覚コンソーシアムシンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Representations and circuits for opposing odor values in the brain2023

    • 著者名/発表者名
      Hokto Kazama
    • 学会等名
      The University of British Columbia
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Representations and circuits for opposing odor values in the brain2023

    • 著者名/発表者名
      Hokto Kazama
    • 学会等名
      OIST-RIKEN Brain Symposium
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 匂いの価値の脳内情報処理と回路メカニズム2023

    • 著者名/発表者名
      風間北斗
    • 学会等名
      東京大学
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 味覚受容細胞における味と匂いの化学感覚統合2022

    • 著者名/発表者名
      風間北斗
    • 学会等名
      JST MultiSensing Symposium
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Representations and circuits for opposing odor values in the brain2022

    • 著者名/発表者名
      Hokto Kazama
    • 学会等名
      Annual meeting of the biophysical society of Japan
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 脳は如何に匂いの価値を認識するのか?―情報処理と神経回路メカニズム―2022

    • 著者名/発表者名
      風間北斗
    • 学会等名
      東北大学
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 匂いの価値の脳内情報処理と神経回路機構2022

    • 著者名/発表者名
      風間北斗
    • 学会等名
      Sensor and IoT Consortium Seminar
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Constructing conserved representations of odor objects2021

    • 著者名/発表者名
      Hokto Kazama
    • 学会等名
      Mushroom body meeting
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Online actions of dopamine neurons during olfactory navigation2021

    • 著者名/発表者名
      Hokto Kazama
    • 学会等名
      Neuroscience2021
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Computation and control of odor value by dopamine neurons2021

    • 著者名/発表者名
      Ayaka Kato, Hokto Kazama
    • 学会等名
      Cold Spring Harbor Laboratory Meeting on Neurobiology of Drosophila
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [学会発表] Encoding and control of odor value by Drosophila dopamine neurons2021

    • 著者名/発表者名
      Ayaka Kato, Hokto Kazama
    • 学会等名
      Society for Neuroscience
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [図書] カンデル神経科学 第二版2022

    • 著者名/発表者名
      宮下保司監修
    • 総ページ数
      1700
    • 出版者
      メディカル・サイエンス・インターナショナル
    • ISBN
      9784815730550
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

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公開日: 2021-04-28   更新日: 2025-04-17  

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