研究課題/領域番号 |
21H04804
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分50:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 公益財団法人微生物化学研究会 (2022-2023) 東京大学 (2021) |
研究代表者 |
畠山 昌則 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 部長 (40189551)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
42,120千円 (直接経費: 32,400千円、間接経費: 9,720千円)
2023年度: 13,130千円 (直接経費: 10,100千円、間接経費: 3,030千円)
2022年度: 13,130千円 (直接経費: 10,100千円、間接経費: 3,030千円)
2021年度: 15,860千円 (直接経費: 12,200千円、間接経費: 3,660千円)
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キーワード | 胃がん / ヘリコバクター・ピロリ / CagA / BRCAness / ピロリ菌CagA / PAR1ファミリーキナーゼ / ヘリコバクター・ピロリ菌 / ゲノム不安定性 / ピロリ菌 CagA / ゲノム変異シグネチャー |
研究開始時の研究の概要 |
胃がんは細菌が発がんの直接原因となることが証明された唯一のヒトがんであり、その発症には胃上皮細胞内に注入されたヘリコバクター・ピロリ菌がんタンパク質CagAによる宿主細胞内シグナルの撹乱が重要な役割を担う。さらに我々は最近、宿主細胞内に侵入したCagAが遺伝性乳がん/卵巣がん抑制遺伝子産物として知られるBRCA1の機能を間欠的に抑制しBRCAnessと呼ばれる特殊なゲノム不安定性を惹起することを見出した。そこで本研究では、CagAによるBRCAnessが引き起こす宿主遺伝子変異のレパートリー解明を通し、胃発がん過程をピロリ菌感染から発症までの時間軸に沿ったゲノム変異蓄積を通して明らかにする。
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研究実績の概要 |
昨年度の研究で、ピロリ菌CagAがBRCA1の核内移行を阻止することにより BRCAnessを介したゲノム不安定化が誘導されることを示した。ピロリ菌CagAによるゲノム不安定性とそれに伴う宿主遺伝子変異の過剰な蓄積がHit-and-Run型発がんの分子基盤となることが推察された。この結論は、理研ならびに愛知がんセンター研究所らのグループとの共同研究として行った日本人11,000人以上の胃がん患者群と44,000人以上の非がん対照群を用いた世界最大規模の症例対照研究において、BRCA1, BRCA2に代表される相同組換関連遺伝子の病的バリアント保持者にcagA陽性ピロリ菌感染が加わることで、胃がんの発症リスクが25倍にも増大することが明らかにされ、CagAによる BRCA経路の撹乱が胃がん発症に重大な役割を担うことが臨床疫学データから実証された。 BRCA1の細胞質から核内への移行には PAR1bにより Ser-616のリン酸化が必須となることを明らかにした。この過程において BRCA1の核内以降にはSer-616に加えて Thr-509のリン参加も要求されることを見出した。そこで、ヒトキナーゼに対するノックアウトベクターライブラリーを用い、 Thr-509リン酸化の責任キナーゼスクリーニングを行った。結果、2つの候補キナーゼが同定され、現在結果のバリデーションを進めている。最終的なキナーゼが同定された場合、このキナーゼの機能不全もまた BRCAnessを誘導することが推察され、実際のヒトがん発症におけるその役割が注目される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
世界的最大規模の日本人胃がん疫学調査の結果、ピロリ菌CagAによる BRCAness誘導を介したゲノム不安定性がHit-and-Run型発がんの分子基盤となることことが疫学的に実証された点はきわめて大きな成果と言える。本研究成果は The New England Journal of Medicineに発表され、論文掲載号において5ページに及ぶ詳細なEditorial記事(その内容の多くは我々のこれまでの研究成果の引用とその考察)が同時掲載されたことからも医学会全体におけるにおけるその学問的インパクトの大きさが読み取れる。加えて、PAR1bとともにBRCA1の機能制御に関わる第二のキナーゼの存在証明とその本態解明が順調に進んでいることも鑑み、計画は当初の予想以上に順調な進展を示していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
昨年に続いて、CagAによる BRCA1の不活化/BRCAnessがスキルス胃がんを含むびまん型胃がんを引き起こすHit-and-Run型の発がん機構解明を目指す。このために現在、胃上皮細胞において conditionalに BRCA1を破壊できるノックアウトマウスを作成中である。また、CagAによる長期にわたる間欠的BRCA1の不活化/BRCAnessが腸型胃がんを誘導するHit-and-Run型発がんの分子機構全容解明を目指す。並行して、PAR1bとともにBRCA1の機能制御(細胞質内局在制御)に関わる第二のBRCA1キナーゼを同定する。
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