研究課題
基盤研究(A)
がん細胞は免疫細胞、血管内皮細胞、間質細胞などの細胞の機能を能動的に制御することで自らの生存に有利な環境を作り出す。このがん細胞の特性は治療抵抗性の大きな要因と考えられるが、未だその分子基盤は十分明らかでない。本研究課題では、がん細胞による免疫システム全体の制御機序をより深く理解することを試みる。本研究により、免疫制御によるがん細胞の生存と維持の分子機構の解明という学術的成果をもたらすと共に、全く新規のがんの治療法の開発に貢献することが期待される。
研究代表者は、これまでに細胞間シグナルCD47-SIRPα系が樹状細胞やマクロファージなどの自然免疫細胞の免疫応答の制御に関与することを示してきた。本研究では、がん微小環境においてがん細胞が如何に自然免疫細胞による免疫監視を回避し、自身の生存と維持を実現するのかにつき解析を行うとともに、自然免疫細胞の機能制御による新規がん治療法の確立を目指した。その結果、細胞間シグナルCD47-SIRPα系ならびにSIRPαのファミリー分子であるSIRPβを介した自然免疫細胞による新たながん細胞に対する免疫監視制御機構を見出した。さらに、抗SIRPα/β抗体が単独で抗腫瘍剤として利用できる可能性を示した。
本研究では、がん細胞に対する樹状細胞やマクロファージなどの自然免疫細胞による免疫監視の作用機構の解明に取り組み、がん細胞または獲得免疫細胞と自然免疫細胞間で形成される膜型分子を介した新規の免疫監視の作用機構の一端を明らかにすることができた。今後、さらなる研究を通じて、自然免疫細胞によるがん免疫監視機構の全容の理解とそれを利用した新規がん治療薬の開発につながることが期待できる。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 7件、 査読あり 11件、 オープンアクセス 10件) 学会発表 (37件) (うち国際学会 9件、 招待講演 5件) 備考 (1件)
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