研究課題/領域番号 |
21H04825
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分53:器官システム内科学およびその関連分野
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
尾池 雄一 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (90312321)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
42,250千円 (直接経費: 32,500千円、間接経費: 9,750千円)
2023年度: 13,000千円 (直接経費: 10,000千円、間接経費: 3,000千円)
2022年度: 13,000千円 (直接経費: 10,000千円、間接経費: 3,000千円)
2021年度: 16,250千円 (直接経費: 12,500千円、間接経費: 3,750千円)
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キーワード | ミトコンドリア / 心組織恒常性 |
研究開始時の研究の概要 |
ミトコンドリア機能は、ストレスに対して数・質・形態を適切に変化させるミトコンドリア恒常性(マイトスタシス)機構により制御されている。本研究では、心筋細胞のマイトスタシス制御に関わる遺伝子の遺伝子改変マウスを用いた各心病態モデル解析、オミックス解析、ミトコンドリア機能解析、およびエネルギー代謝解析から、十分に解明されていない心臓組織の応答・修復機構とその変容(病態発症)とマイトスタシス制御との連関および分子基盤を解明し、その制御戦略創出による応用開発を目指す。
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研究実績の概要 |
我々は、本研究の準備研究の成果として、心臓に豊富に発現する新規lncRNA Carenの発現量が、心不全発症につながる加齢や高血圧などの圧負荷によるストレスによって減少することを明らかにした。さらに、Carenが心保護作用を有し、心機能恒常性維持に重要な役割を果たしていることを明らかにした。Carenによる心保護作用メカニズムとして、ミトコンドリア生合成を促進するTFAMの発現を増加させることでミトコンドリア生合成を促進し、活性酸素種の産生を増やすことなく心筋細胞におけるエネルギー産生を増強させること、心不全の発症・進展に寄与するDNA損傷応答経路活性化の鍵となるATMの活性化を促進するHint1の翻訳を阻害することで、心筋細胞におけるDNA損傷応答活性化を抑制することを解明した。以上より、加齢や圧負荷ストレスによって心筋細胞におけるCarenの発現量が低下することで、Carenによる心保護作用が減弱し、心筋細胞におけるミトコンドリアエネルギー代謝機能低下やDNA損傷応答活性化が促進され、心不全の発症・進展につながることが明らかとなった。また、マウスにおいて、大動脈縮窄(TAC)による圧負荷や運動負荷を与えた場合、いずれの場合も心筋細胞は肥大化するが、圧負荷による心筋細胞肥大は心線維化を伴い心機能低下(心不全)に繋がるのに対し、運動負荷による心筋細胞肥大では心線維化は認めず心機能低下には至らないことを確認した。また、運動負荷肥大心筋細胞では、ミトコンドリアの形態に影響は認められなかったが、圧負荷肥大心筋細胞では、クリステ構造の異常が認められることを見出した。さらに、運動負荷肥大心筋細胞では、ミトコンドリア生合成や呼吸機能の亢進を認めるが、逆に圧負荷肥大心筋細胞では低下することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の準備研究において得られていた心臓組織にけるCarenの生理的機能解明研究成果を論文発表するとともに、心筋細胞のミトコンドリアの量・質の変容が心臓組織内の細胞間相互作用、心線維化を規定しており、圧負荷ストレスによる心不全発症に繋がることを明らかにしており、本研究は順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、新規lncRNA Carenの心筋特異的遺伝子改変マウスやTFAMの心筋特異的遺伝子改変マウスを用い、生理的ストレス及び病態での心臓組織の応答・修復に及ぼす影響を検討し、心臓組織の応答・修復とその変容におけるCarenやTFAMを介したマイトスタシス制御の意義を解明する。また、ANGPTL2シグナルによるミトコンドリア代謝制御機構についても引き続き検討する。Caren分子ネットワークによるマイトスタシス制御機構の解明に向け、Carenを高発現した培養細胞や心臓組織を用いてCarenと相互作用するRNAやタンパク質を網羅的に探索する。まずはCarenを高発現した培養細胞を用いてCarenと相互作用する分子の探索を開始する予定である。さらに、心保護的作用を有するマイトスタシス制御関連分子の発現をモニタリングするレポーター細胞を用い、低分子化合物、天然物抽出液、海洋微生物抽出液ライブラリーなどのスクリーニングを開始する。
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