研究課題/領域番号 |
21H04844
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
千葉 満 弘前大学, 保健学研究科, 准教授 (20583735)
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研究分担者 |
門前 暁 弘前大学, 保健学研究科, 准教授 (20514136)
松本 佳菜 弘前大学, 保健学研究科, 助手 (00995631)
米山 美穂子 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (50791696)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
34,190千円 (直接経費: 26,300千円、間接経費: 7,890千円)
2024年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2023年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2022年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
2021年度: 11,960千円 (直接経費: 9,200千円、間接経費: 2,760千円)
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キーワード | 放射線感受性 / ゲノム編集 / CRISPR/Cas9 / 放射線耐性 / 放射線抵抗性 / マイクロアレイ / HL60 / A549 / miRNA / ラジオロミクス解析 / ラジオロミクス / エクソソーム / バイスタンダー効果 / HL-60 / mRNA / 遺伝子発現 |
研究開始時の研究の概要 |
放射線の人体への影響には個体差があることが知られており,不慮の被ばく事故の際に個人がどの程度急性放射線障害や発がんのリスクにさらされるか判別することは容易ではない。我々は被ばくした際に血液中で増加するリボ核酸を世界に先駆けて発見し,その増加量は被ばく線量や臓器感受性に相関することを明らかにした。しかし放射線感受性に個体差が生じるメカニズムはそれだけで十分説明ができず,新たな放射線感受性関連因子を探索することが求められる。本研究により放射線感受性に個体差が生じるメカニズムが明らかになれば,不慮の被ばく事故での最適な治療アプローチの選択が可能になり,放射線を用いた個別化医療への応用にもつながる。
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研究実績の概要 |
2022年度は研究計画の通り、前年度樹立したヒト前骨髄球性白血病細胞株(HL60)の放射線耐性細胞株の遺伝子発現データの分析を実施した。得られた成果を以下に示す。 ①放射線耐性細胞株の樹立:放射線感受性の異なる培養細胞株を樹立するために、ヒト前骨髄球性白血病細胞株(HL60)に4 GyのX線(1.0 Gy/min, 150 kV, 20 mA, 0.5 mmアルミニウム+0.3 mm銅フィルター)を4週にわたり照射し、増殖してきた生存細胞を放射線耐性細胞株(Res-HL60)とした。対象として放射線照射せずに培養したHL60をWt-HL60とした。現在肺癌細胞株A549についても放射線耐性細胞株の樹立を行っている。 ②遺伝子発現解析(miRNA):Wt-HL60とRes-HL60においてどのような遺伝子発現変化が生じているか調べるために、まずmiRNAマイクロアレイ解析を行った。アレイ間の正規化やフィルタリング処理を様々な条件で検討し、スチューデントt検定とFold change解析を行った。分位数正規化と発現量フィルタリングをシグナル値50で処理したところ、発現上昇するmiRNAは5つ、発現低下するmiRNAは6つあった(p<0.05)。現在miRNA強制発現させるプラスミドを構築しており、同定されたmiRNAが放射線耐性へ影響を及ぼすか検討している。 ③遺伝子発現解析(mRNA):上記にあわせてmRNAマイクロアレイ解析も行っており、すでにデータを取得している。現在放射線耐性能獲得に関連する新規遺伝子候補の絞り込みを進めている。新規遺伝子の機能解析のために、生存アッセイ、DNA損傷解析、アポトーシス解析などを検討する。A549についても同様の遺伝子発現解析を実施していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
○放射線耐性細胞株の作製(達成度100%) HL60細胞に4 GyのX線(1.0 Gy/min)を4週にわたり照射し、放射線耐性細胞株(Res-HL60)を樹立できた。肺癌細胞株A549についても放射線耐性細胞株の樹立を目指す。 ○放射線耐性細胞株における遺伝子発現変化スクリーニング(達成度100%) Wt-HL-60とRes-HL-60においてどのような遺伝子発現変化が生じているかmRNAとmiRNAのマイクロアレイ解析を行い、放射線耐性能獲得に関連する新規遺伝子とmiRNAのスクリーニングを行った。またプロテオーム解析なども今後行い、それぞれのオミックスデータを統合して放射線感受性に最も影響のある分子の特定と機能解析を行っていく。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は2022年度の課題を引き続き遂行するとともに、以下の課題を検討する。 ①放射線耐性HL-60におけるプロテオーム解析と統合パスウェイ解析により、放射線感受性関連遺伝子候補を絞り込む。 ②放射線感受性の異なるマウスを用いて、様々な生体試料の遺伝子発現を調べて放射線感受性関連遺伝子候補を絞り込む。 ③放射線感受性関連遺伝子候補のノックアウト細胞株や過剰発現細胞株を樹立し、放射線感受性を調べる。 ④放射線高感受性細胞と耐性細胞株から分泌される細胞外小胞の分析を行う。
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