研究課題/領域番号 |
21H04850
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 静岡社会健康医学大学院大学 |
研究代表者 |
田原 康玄 静岡社会健康医学大学院大学, 社会健康医学研究科, 教授 (00268749)
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研究分担者 |
宮地 良樹 静岡社会健康医学大学院大学, 社会健康医学研究科, 教授 (30127146)
松田 文彦 京都大学, 医学研究科, 教授 (50212220)
栗山 長門 静岡社会健康医学大学院大学, 社会健康医学研究科, 教授 (60405264)
中山 健夫 京都大学, 医学研究科, 教授 (70217933)
伊賀瀬 道也 愛媛大学, 医学系研究科, 寄附講座教授 (90314955)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,860千円 (直接経費: 32,200千円、間接経費: 9,660千円)
2024年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2023年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2022年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2021年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
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キーワード | フレイル / コホート研究 / 領域横断研究 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢者では、様々な医学・生理学的な機能・器質の変化や、その結果として生じる慢性疾患が共存する。高齢者特有の生物学的な衰えであるフレイルは、病的老化に先行して生じる症状・兆候であることから、フレイルとその背景にある潜在性疾患や生理機能の変化等との相互関係を解明することは、未病状態にあるハイリスク高齢者の抽出はもとより、高齢期における病態理解の深化、新しい病因パスウェイ解明の端緒となる。地域住民コホートの縦断・横断面の解析から、フレイルと潜在性疾患との相互連関を多角的に理解し、①フレイルの病態理解を深め、②フレイルの修正可能なリスク因子を見出すことで、③高齢者医療・保健の適正化に資する知見を得る。
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研究実績の概要 |
3つのコホートでフィールド調査を行い、臨床情報と生体試料を収集するとともに、それらを用いた関連解析から、多くの研究成果を発表した。 静岡コホート:伊豆半島南部の1市5町(下田市・東伊豆町・河津町・南伊豆町・松崎町・西伊豆町)と連携協定を締結し、コホートを実施する環境を整備した。次いで健診事業者(賀茂医師会・聖隷事業団)との連携体制も構築した上でフィールド調査を行い、1,273人分の臨床情報と生体試料を収集した。一部の集団において、健診データを国保データベースから抽出した。国保レセプトとの突合について調整を継続して進めている。 ながはまコホート:第3期5年目の調査を行い、計画通りの臨床情報と生体試料を収集した。住民基本台帳の情報を得て総死亡の追跡期間を2022年3月まで延長した。間もなく2023年3月まで延長できる見込みである。循環器疾患の発症登録(カルテ調査)は、2020年12月分までについて発症を確定した。追加1年分の調査を終えたので、専門家に判定を依頼する予定である。 抗加齢ドックコホート:当初の計画通り、人間ドック受診者を対象に臨床情報と生体試料の収集を進めた。令和4年度は、87名のデータを登録した(再受診者含む)。 これらのデータを用いた関連解析から、業績一覧に示す論文を発表した。一例を挙げると、残存歯数と歯周疾患が動脈硬化と関連すること、耐糖能異常と睡眠呼吸障害と関連すること、高齢者における骨格筋量の低下が総死亡のリスク因子となることなどを報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
運営面:それぞれのコホートで当初計画に従って調査を実施し、臨床情報と生体試料を収集した。新型コロナウィルス感染拡大の影響が懸念されたが、静岡コホート、ながはまコホートともに当初計画通りに調査を行うことができた(ながはまコホート:全27日、静岡コホート:全35日)。静岡コホートでは、令和5年度は袋井市に新しいフィールドを立ち上げて調査を行う予定であるが、そのための準備(自治体や健診業者との調整、日程や会場の確保等)も順調に行った。 研究面:ながはまコホートや抗加齢ドックコホートを中心に、多数の学会発表を行い、多くの原著論文を発表した。静岡コホートは昨年度にスタートしたばかりであるが、数件の学会発表を行い、原著論文も1報報告した(令和5年4月刊行予定)。静岡コホートと抗加齢ドックコホートのデータを合わせて報告するなど、複数のコホートを持つことによる相乗効果も生まれている。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者が主任研究者を務める3つの地域住民コホートを活用し、それぞれが備える特徴的な臨床情報を用いた要因解析とその相互検証から、研究目的の達成を目指す。 ■ 抗加齢ドックコホート:次年度も継続してデータを収集し、特にサルコペニアに焦点をあてて、CTなどの画像解析や潜在性動脈硬化疾患との関連を検討する。 ■ ながはまコホート:次年度は第3期最終年度の調査を行って生体試料・臨床情報を収集するとともに、人間ドックに匹敵する多様な臨床情報との関連解析から、フレイルやサルコペニアの病態解明を進める。 ■ 静岡コホート:次年度からは、袋井市でフィールド調査を実施する。フィールド調査は特定健診相乗型17日、独自型16日(計33日)を予定している。前者では特定健診に上乗せするスタイルで実施し、サルコペニアと骨密度の検査を行う。後者については、循環器疾患(動脈硬化度、家庭血圧等)、画像検査(頭部MRI、腹部CT等)、サルコペニア、認知機能など、研究目的の達成に必要な詳細な情報を生体試料を収集する。 各コホートの特徴を活かした横断・縦断解析から、1)修正可能なリスク因子の解明や鋭敏なリスクマーカーの同定によるフレイル予防 、2)診療科の枠を超えた領域横断研究によるフレイルと臓器障害や全身の様々な臨床的特徴との連関解明に基づくフレイル高齢者の潜在的な疾病リスクの可視化、3)フレイルな状態にある高齢者における確立されたリスク因子の意義理解、4)多剤併用や多重合併症など高齢者特有の医療 課題・臨床的特徴とフレイルの連関解明について明らかにすることで、研究目的の達成を目指す。
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