研究課題/領域番号 |
21H04852
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
濱野 真二郎 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (70294915)
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研究分担者 |
チャデカ エヴァンス・アセナ 長崎大学, 熱帯医学研究所, 客員研究員 (10867542)
二見 恭子 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (30432983)
砂原 俊彦 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (50264156)
中村 梨沙 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (50645801)
河津 信一郎 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 教授 (60312295)
森保 妙子 長崎大学, グローバル連携機構, 助教 (80833186)
凪 幸世 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (90772971)
菊池 三穂子 長崎大学, 熱帯医学研究所, 講師 (40336186)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,340千円 (直接経費: 31,800千円、間接経費: 9,540千円)
2024年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
2023年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
2022年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
2021年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
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キーワード | 住血吸虫症 / 顧みられない熱帯病 / 血清疫学 / 環境モニタリング / 感染伝播ダイナミクス / リモートセンシング / モニタリング |
研究開始時の研究の概要 |
『住血吸虫症』は世界で2億5800万人が罹患する代表的な『顧みられない熱帯病』である。広大な流行地で疾病を制御するには、疾病伝播ダイナミクスを深く理解することが重要である。本研究では高感度・低侵襲モニタリング法を導入改良し、住民・動物などの終宿主(哺乳動物)および中間宿主(淡水産巻貝)とその感染率の時空間分布を解明する。また環境モニタリング法を改良する。「それらモニタリングデータから実際の感染伝播ダイナミクスを外挿できるか否か」、これが本研究の核心をなす学術的「問い」であり、また「目的」である。これら研究成果はグローバルな住血吸虫対策に寄与することが期待される。
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研究実績の概要 |
1) 住血吸虫由来リコンビナント抗原であるRP26やserpinに対するIgGの検出が、骨盤内静脈叢に寄生するビルハルツ住血吸虫の感染伝播モニタリングとしても高感度で有効に機能することを示した。 2) ケニア国・ヴィクトリア湖湖畔のンビタ県において、ビタポイント及びルシンガ島における中間宿主である淡水性巻貝の定点採集を終え、採取された貝のサイズを測定するとともに、LAMP-PCR法を用いたマンソン住血吸虫の検出を行った。 3) 協力企業が新規の核酸吸着原理を持つ独創的なDNA濃縮手法の開発に成功したことより、短期間で多くの野外水環境からの環境DNAの測定が可能となった。 4) 以前(2015年から2017年)採取した中間宿主貝の感染率をヴィクトリア湖湖畔の4地点で比較したところ季節変動が認められたため、貝の感染率に対する環境要因の影響を解析した。この地域では、季節変動を引き起こす環境要因として雨量変化や湖水位変化が予想された。そこで、採集時の雨量およびビクトリア湖水位、貝サイズデータを取得し、採集地点と共に説明変数とし、各個体の感染の有無を応答変数として二項分布の一般化線型モデルで解析した。その結果、降水量やビクトリア湖水位が増加すると感染確率が上がり、その影響が地点ごとに異なることが示された。また、2017年4月にビタ地域の陸橋が取り除かれ採集地点周辺の水流が大きく変わった後に、ルシンガ島側の貝の生息地の消失も観察された。これらのことから、水環境の変化が地域の貝の密度や感染率に大きな影響をもたらすことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1) 住血吸虫由来リコンビナント抗原であるRP26やserpinに対するIgGの検出が、マンソン住血吸虫に加えて、ビルハルツ住血吸虫の感染伝播モニタリングとしても高感度で有効に機能することが示されたため。 2) 水環境DNAの濃縮プロセスが改善し、検出感度が向上したため。 3) 水環境の変化が地域の貝の密度や感染率に大きな影響をもたらすことが示されたため。
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今後の研究の推進方策 |
1)住血吸虫由来リコンビナント抗原であるRP26やserpinに対するIgGの検出が、マンソン住血吸虫に加えて、ビルハルツ住血吸虫の感染伝播モニタリングとしても高感度で有効に機能することが示されたため、今後は時空間的な広がりの中での感染伝播モニタリングに機能するかどうかの検証に着手する。 2)令和4年度採集分まで、現時点で16,000個体以上の貝からDNAが抽出されており、7,100個体ほどは、LAMP-PCR法を用いたマンソン住血吸虫の検出に供された。その結果、感染率に季節変動が認められた。住血吸虫の検出は引き続き行い、住血吸虫の多型解析は、今後実施予定である。 3)環境DNAの解析に関して、協力企業が新規の核酸吸着原理を持つ独創的なDNA濃縮手法の開発に成功したことより、短期間で多くの野外水環境からの環境DNAの測定が可能となった。今後、現地の時空間的な広がりの中でのサンプリング、それに続く水環境DNAの濃縮・検出を実施し、住血吸虫症の感染伝播ダイナミクスへの応用可能性を模索する。 4)リモートセンシングを用いた地形と水位変動の関係、および、それらの感染率への影響を解析する。
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