研究課題/領域番号 |
21H04855
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
|
研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
森本 泰夫 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (30258628)
|
研究分担者 |
東 秀憲 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (40294889)
和泉 弘人 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 准教授 (50289576)
河井 一明 産業医科大学, 名誉教授、学長等, 名誉教授 (60161262)
竹下 潤一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (60574390)
森山 章弘 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究員 (60810140)
櫻井 和朗 北九州市立大学, 環境技術研究所, 特別研究員 (70343431)
望月 慎一 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (10520702)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
41,730千円 (直接経費: 32,100千円、間接経費: 9,630千円)
2024年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
2023年度: 9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
2022年度: 10,530千円 (直接経費: 8,100千円、間接経費: 2,430千円)
2021年度: 11,700千円 (直接経費: 9,000千円、間接経費: 2,700千円)
|
キーワード | 有機化学物質 / スクリーニング / 架橋型アクリル酸系高分子化合物 / 肺障害 / ポリアクリル酸 / 架橋型ポリアクリル酸系高分子化合物 |
研究開始時の研究の概要 |
物理化学的特性の異なるポリアクリル酸系高分子化合物を製造し、動物ばく露モデルや培養細胞試験にて肺障害やその機序を検討する。少なくとも1物質以上のポリアクリル酸系高分子化合物を製造し、物理化学的特性の評価を行い、吸入可能なサイズに調整する。同物質をラットに気管内注入(2用量)し、3日から6ヶ月の観察期間をおき、肺を含めた病態の検証、併せて病態に関わる遺伝子などの解析も行う。また、肺の異物処理に関わる細胞株にポリアクリル酸系高分子化合物に加え、細胞傷害を検討する。
|
研究実績の概要 |
本試験において、物理化学的特性の異なるアクリル酸系高分子化合物を製造し、動物ばく露モデルや培養細胞にて肺障害やその機序を検討し、mRNA、エクソソーム内包情報伝達物質(microRNA)などの解析を介して肺障害に関与する責任遺伝子を見出すことを目的とする。そして、今回の試験で得られたデータと既知の化学物質の動物試験等からの知見やデータの再解析等を行い、機械学習などの手法を用いて肺傷害の各種病態の責任遺伝子等を同定し、総合的な病態・機序解析を行い、肺障害のスクリーニングシステムの開発をめざす。 今年度は、アクリル酸系高分子化合物の物理化学的特性による肺障害性の解明を目的に、昨年度に実施した架橋度の異なる4種類のポリアクリル酸(架橋度0 %、0.1 %、1%、5 %)、アクリル酸のカルボキシル基をエチレングリコールに置換し合成した高分子化合物1種を用いたラットに気管内注入試験後(3日、1週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月後)に得られたサンプルを解析している。現在、解析中であるが、架橋度が0%から0.1%に増えることで、肺線維化能が高まるが、0.1%以上となると、線維化能が低下することを見出している。また、カルボキシル基置換することで、肺炎症や肺傷害が軽減されることを観察している。また、今年度はポリアクリル酸とポリアクリル酸ナトリウムを気管内注入した肺胞洗浄液より細胞を分離し、シングルセル解析を実施した。 培養細胞を用いた解析から、ポリアクリル酸を貪食する遺伝子を同定した。この遺伝子をノックアウトしたマウスを現在作製中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物を使用した解析の進捗状況:昨年度から実施しているラットへの気管内注入試験後の解剖サンプルを解析し、架橋密度が高まることで、肺障害性が低下することを見出した。また、アクリル酸のカルボキシル基を置換することで、肺炎症・線維化が軽減することも観察しており、アクリル酸系高分子化合物の物理化学的特性と肺障害性の関係性を見出してきている。また、今年度新たに、ポリアクリル酸とポリアクリル酸ナトリウムを気管内注入したラットの気管支肺胞洗浄液中の細胞を用いてシングルセル解析を実施し、各細胞が発現している遺伝子プロファイルのデータを取得した。 昨年度に蛍光ポリマーを貪食する遺伝子をマイクロアレイの結果から3種類までに絞り込んだため、蛍光ポリマーを貪食しない細胞にこれらの遺伝子を個々に安定発現させた。その結果、1つの遺伝子を安定発現させた細胞が蛍光ポリマーを貪食することを確認した。これらの結果を根拠に、その遺伝子をノックアウトしたマウスを作製中である。
|
今後の研究の推進方策 |
動物を使用した解析の推進:来年度は、昨年度、今年度で得られた試料の解析を継続し、これまで得られた気管支肺胞洗浄液中のエクソソーム内包情報伝達物質(microRNA)の解析を進め肺障害に関与する遺伝子の検索を行うとともに、これまで得られたデータから総合的な病態・機序解析を行い、肺障害のスクリーニングシステムの開発をめざす。 ポリアクリル酸とポリアクリル酸ナトリウムを気管内注入したラットの気管支肺胞洗浄液中の細胞を用いたシングルセル解析の結果から、どのような細胞集団がポリアクリル酸の肺障害に関わっているか明らかにする。 ノックアウトマウスの作製に注力し、作製後はポリアクリル酸による肺障害との関連を明らかにする。また、マウスの肺胞洗浄液からマクロファージを分離し、不死化することを試みる。ポリアクリル酸がマウス由来マクロファージ(RAW264.7、MH-S)に高い細胞毒性を示すことから、不死化マウス肺胞マクロファージが利用できれば分子生物学的な解析を行い、肺障害の分子機序を明らかにすることを目指す。
|