研究課題/領域番号 |
21H04859
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
河本 浩明 筑波大学, システム情報系, 准教授 (00400713)
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研究分担者 |
戸田 英樹 富山大学, 学術研究部工学系, 准教授 (10520687)
羽田 康司 筑波大学, 医学医療系, 教授 (80317700)
久保田 茂希 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (90763798)
渡邉 大貴 アール医療専門職大学, リハビリテーション学部, 教授 (00779572)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,470千円 (直接経費: 31,900千円、間接経費: 9,570千円)
2024年度: 10,790千円 (直接経費: 8,300千円、間接経費: 2,490千円)
2023年度: 11,310千円 (直接経費: 8,700千円、間接経費: 2,610千円)
2022年度: 11,960千円 (直接経費: 9,200千円、間接経費: 2,760千円)
2021年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | リハビリテーション / 運動転送 / ロボット / 左右両側性協調運動 / 運動学習 / 両側性協調運動 |
研究開始時の研究の概要 |
脳卒中後の片麻痺のリハビリテーションでは,麻痺が残っても代償的に運動機能を使うようにしていくことが優先されている.脳神経系の可塑性や機能再構築の学術的知見が深まり,再生医療やサイボーグ技術が進む中,これらの技術を活用し,麻痺を残さずに発症前の身体に戻す運動機能回復法を創出することは学術研究として取り組むべき課題である. 本研究の目的は,手指,足首関節を対象に,ロボット技術を基に健常な非麻痺側運動パターンを麻痺側で再現する運動転送システムを構築し,本システムによる左右協調運動を通じて,非麻痺側の運動パターンを麻痺側が感覚情報として知覚しながら学習していく新しい運動機能回復法開発を目指していく.
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研究実績の概要 |
脳卒中後の片麻痺のリハビリテーションでは,麻痺が残っても代償的に運動機能を使うようにしていくことが優先されている.早期の自立生活のために重要視されるべきではあるが,脳神経系の可塑性や機能再構築に関する科学的知見が深まり,再生医療やサイボーグ技術が急速に進化していく中,これらの技術を活用し,発症前の身体に戻す運動機能回復法を創出することは学術研究として取り組むべき課題である. 本研究の目的は,手指,足首関節を対象に,ロボット技術を基に健常な非麻痺側運動パターンを麻痺側に移し再現する運動転送システムを構築し,本システムによる左右協調運動を通じて,非麻痺側の運動パターンを麻痺側が学習していく運動機能回復法を開発することである.非麻痺側の運動を麻痺側の感覚情報として利用するといった教師あり学習を基盤とする運動機能回復方法は,今後,片麻痺リハビリテーションにパラダイムシフトをもたらす可能性を有するものである. 本年度は,昨年度に引き続き,試作機として手指関節,及び足関節用の運動転送システムの研究開発を行い,健常者への試験を通じて,当該システムの実現可能性を明らかにした.装着型ハンド運動転送システムでは,健側の手指動作をカメラ画像から任意の姿勢から取得し,外骨格型ハンドへ転送し,指手の支援動作が実施可能であることを確認した.また,足関節運動転送システムでは,昨年度開発した足関節支援装置,及び足関節運動計測装置を改良し,加速度センサによって計測された足関節情報を足関節支援装置に転送し,健側の足関節情報に基づいて,同位相運動,逆位相運動(交互運動)が実施可能であることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,昨年度開発してきた試作機となる手指関節,及び足関節用の運動転送システムの開発をさらに進め,健常者を対象とした実証試験を実施する.各システムで試験-課題抽出-改良のサイクルを繰り返し,試作機の安全.性能評価を行った.
(1)装着型ハンド運動転送システム: 昨年度開発した健側の手指の屈曲-伸展動作をカメラ画像によって推定するセンシングシステムに対して,動作時の各手指の関節角度を安定に推定する手法を開発した.麻痺側の手指動作を支援する装着型ハンドでは,さらに,各手指に対して細かな動作姿勢をとることを可能にするための手指角度とモータ出力に対応する制御モデルを構築した. (2) 足首関節運動転送システム: 計測した非麻痺側足関節の屈曲-伸展動作に基づく支援装置関して,駆動に関する応答性能の調整機能を追加した.また,支援装置が足底にどのぐらいの作用を及ぼしているのかを把握するためのセンサを取り付け,システム使用時の足関節とロボットのインタラクションを計測することを可能にした. (3) 運動転送制御方法:昨年度に引き続き,開発計測した非麻痺側手指,及び足関節の運動情報から,装着ハンド,及び足関節支援装置が非麻痺側運動と同期して動作する制御系を改良した.さらに,装着型ハンド側の手指の動作角度を画像から機械学習を用いて推定する手法に取り組み,一差し指について支援動作の角度を推定することを可能にした. (4) 機能評価: 開発した手指,及び足関節運動転送システムに対して,健常者を対象とした試験を実施し,手指,及び足関節運動転送システムの機能,安全性,試験手順,試験環境の安全性を確認した.さらに,実際の対象者を想定した実証機の及び試験プロトコルの開発に向けた課題を抽出した.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は,昨年度開発してきた試作機をもとに,手指関節,及び足関節用の運動転送システムの実証機の開発を行う.健常者,もしくは障害を有する方を対象とした実証試験を実施し,実証機としての安全.性能評価を行う. (1)装着型ハンド運動転送システム: カメラ画像によって健側の手指の屈曲-伸展動作推定するセンシングシステムに対して,様々な手指姿勢で各手指の関節動作角度を推定する手法を開発する. (2) 足首関節運動転送システム: 計測した非麻痺側足関節の屈曲-伸展動作に基づく支援装置では,昨年度の試作機をもとに,実証機として応答性能,追従性能を向上させる機能を開発する. (3) 運動転送制御方法: 昨年度に引き続き,計測した非麻痺側手指,及び足関節の運動パターンから,装着ハンド,及び足関節支援装置が非麻痺側運動と同期して同方向に動く同相動作,及び,逆方向へ動く交互動作に関する制御系を開発,改良する. (4) 機能評価: 開発した手指,及び足関節運動転送システムの機能を評価するために,これまで,検討してきた健常者,もしくは障害を有する方を対象とした試験プロトコルを確定し,倫理審査からの承認を得る.承認後,本試験プロトコルを基に実証試験を実施する.実証試験の結果から,実証機,および試験方法の安全性を評価するとともに,試験プロトコルの改良を行う.
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