研究課題/領域番号 |
21H04862
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
木村 郁夫 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (80433689)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,730千円 (直接経費: 32,100千円、間接経費: 9,630千円)
2024年度: 10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
2023年度: 10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
2022年度: 10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
2021年度: 11,310千円 (直接経費: 8,700千円、間接経費: 2,610千円)
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キーワード | 短鎖脂肪酸 / GPCR / 脂肪酸受容体 / 腸内細菌 |
研究開始時の研究の概要 |
「食」由来の腸内細菌による代謝産物としての栄養を認識する短鎖脂肪酸受容体の研究において、次なる展開としての腸管を起点とし、神経系・免疫系をも包括したエネルギー代謝ネットワークの全容解明に着手する。それにより、プロ・プレバイオティクスや創薬応用をも視野に入れた全く新たな視点からの生活習慣病予防・治療の実現を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究課題においては、食・栄養シグナルとしての、短鎖脂肪酸受容体を介した代謝制御機構における包括的エネルギー代謝ネットワークの全容解明を目的とする。特に腸内環境により変化する短鎖脂肪酸や栄養成分が血中を介して、各組織に発現する短鎖脂肪酸受容体の機能を制御することにより、宿主のエネルギー代謝ネットワークにどのように貢献するかについての統合的理解を目指す。 当該年度においては、 ①無菌マウスの胎児期・哺乳期でのKOマウスにおける交感神経節でのRNAseqを行った結果、それぞれの時期で、通常環境飼育マウスとの比較の結果、無菌マウスにおける交感神経の発達に関連する遺伝子群の変動が確認された。これらの変化の一部はGPR41とOlfr78KOマウスの野生型マウスで見られた変化と相関性があり、これは、GPR41やOlfr78の機能が腸内細菌叢由来の短鎖脂肪酸に依存して哺乳期および乳児期に発揮されることを示唆する結果であった。 ②腸内細菌叢が関与する脂肪細胞ベージュ化、に関しては、GPR43floxマウスを用いて、UCP-1-CREマウスおよびadiponectin-CREマウスとの掛け合わせを行い、脂肪組織特異的GPR43欠損マウス作出の継続中である。 ③腸管ホルモン分泌過程における短鎖脂肪酸受容体の協奏メカニズム、に関しては、短鎖脂肪酸受容体GPR41GPR43DKOマウスより腸管オルガノイド作出を行った。 ④食品成分による短鎖脂肪酸受容体の新たな作用、に関しては、コーヒー由来ポリフェノールの1種であるフェルラ酸の腸内細菌代謝物がGPR41を介して、肝臓を起点に代謝機能改善効果を発揮することを明らかにし、論文として公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度において遺伝子欠損マウスを用いた生体機能解析が著しく進展し、実際に論文として纏め、既に公表に至っている。したがって、本研究課題は現状、順調にその研究計画を進行できていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
腸内細菌叢による神経支配とエネルギー代謝、に関しては、さらに交感神経節におけるシングルセル解析へ展開する。 腸内細菌叢が関与する脂肪細胞ベージュ化、に関しては、引き続き、脂肪組織特異的短鎖脂肪酸受容体欠損マウスの作出を進める。 腸管ホルモン分泌過程における短鎖脂肪酸受容体の協奏メカニズム、に関しては、作成が完了した短鎖脂肪酸受容体欠損腸管オルガノイドを用いて分子シグナルの検討を行う。 食品成分による短鎖脂肪酸受容体の新たな作用、に関しては、得られた知見をもとに、新たな食品成分とその代謝物に関して更なるスクリーニングを開始する。
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