研究課題/領域番号 |
21H04874
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分60:情報科学、情報工学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松井 茂之 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (80305854)
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研究分担者 |
山田 誠 沖縄科学技術大学院大学, 機械学習とデータ科学ユニット, 准教授 (00581323)
星野 崇宏 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (20390586)
三分一 史和 統計数理研究所, 学際統計数理研究系, 准教授 (30360647)
小森 理 成蹊大学, 理工学部, 准教授 (60586379)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
41,600千円 (直接経費: 32,000千円、間接経費: 9,600千円)
2024年度: 9,880千円 (直接経費: 7,600千円、間接経費: 2,280千円)
2023年度: 10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
2022年度: 10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
2021年度: 11,440千円 (直接経費: 8,800千円、間接経費: 2,640千円)
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キーワード | 個別化医療 / 因果推論 / 機械学習 / 選択的推論 / 統計科学 / 臨床研究 / 予測解析 / 小標本 |
研究開始時の研究の概要 |
個別化医療の臨床研究において診断法の開発と検証を同時に行う適応的アプローチに着目する。具体的には、臨床研究の小標本データを用いた機械学習による診断法開発、及び、探索的解析を踏まえた検証的解析としての統計的推測(選択的推論など)に関する方法・ツールを開発する。併せて、様々な疾患領域での事例研究を重点的に行うことで個別化医療開発の現場に役立つ方法論の構築を試みる。
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研究実績の概要 |
前年度に続き、個別化医療の開発における二つのケースを想定して研究を行った。 一つ目のケースは、診断法が所与の場合である。診断マーカーを用いて患者集団を選択した後の治療効果の条件付き推定では、データ駆動的な選択に関する「不確実性」を選択確率として導入した群逐次デザイン、適応的エンリッチメントデザインの定式化を行い、数値実験を実施した。前者についてはほぼ結果が出揃い、既存の方法と比較して概ね良好な性能を発揮することを示した(後者の実験は継続中)。 一方、二つ目のケースは、診断マーカーが定まっておらず、新規治療法に対して診断マーカー自体を探索的に開発し、患者サブ集団を選択した上で治療効果を検証するものである。前年度に続き、治療前の患者特性を用いた治療効果予測の特徴量の検出法について、非線形モデリング、分子データの統合解析、階層・潜在構造モデリング解析のアプローチについて検討した。特に、階層・潜在構造モデリング解析では、診断法を構成する特徴量自体のみならず、その背後にある既知の生物学的機能に対しても疾患・治療効果関連性の評価が可能な方法を開発した。 研究デザインの工夫による効率向上として、前年度に引き続き、クロスオーバー試験での治療効果予測法と患者サブ集団での治療効果の検定手順を開発し、数値実験と事例研究によってこれらの性能を評価した。併せて、薬剤の安全な用量探索を行う第一相試験において前年度に開発した能動的レベル集合推定法を多剤併用試験、さらには、有効性項目との同時評価(第I/II相試験等)に拡張し、既存の統計モデリング法との比較のための数値実験を開始した。 以上の方法論研究と平行して、各種がん、院内感染、救急医療などの領域における事例研究を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に設定した研究テーマの大半で一定以上の進捗が得られている。統計的方法の開発においては、論文化が可能と思われる成果が多く蓄積され、学会発表、論文化を順次行っている。一方、能動的レベル集合推定などの適応的実験計画の応用については、数値実験による有限標本(特に小標本)での性能評価の結果は概ね良好であったものの、数理的な理論保証があると更に強固な研究になることから来年度も検討を継続する。方法論の医学研究事例への適用についても、前年度に続き、多くのテーマが進行中であり、こちらについても進捗は順調と考えている。以上より、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに開発した統計・機械学習の方法についてはその論文化に向けて数値実験、実データへの適用等による性能評価を継続する。データ駆動的な選択イベントで条件付けた選択的推論については、パラメータ推定の一致性担保のために選択イベントの確率化を前年度に導入したが、汎用性・解釈性を備えた統一的な枠組みができあがっており、来年度も様々な適応的試験デザインを想定した性能評価を行う。診断マーカーが所与でないケースでは、治療効果予測に用いる特徴量の有効な検出法、治療効果予測システムの構築、さらに、予測システムによって同定された患者サブ集団での治療効果の検証のための選択的推論を引き続き検討する。一方、能動的レベル集合推定などの適応的実験計画の応用については、前年度に開発した方法の理論的保証を得るために数理面の検討を行う。 臨床研究事例への適用では、多くの事例に対して、適用可能性の見込み、臨床上の重要度等の観点から、優先順序を意識して取り組む予定である。
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