研究課題/領域番号 |
21H04880
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
中区分60:情報科学、情報工学およびその関連分野
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研究機関 | 沖縄科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
根本 香絵 沖縄科学技術大学院大学, 量子情報科学・技術ユニット, 教授 (80370104)
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研究分担者 |
Munro William 沖縄科学技術大学院大学, 量子工学ユニット, 教授 (50599553)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
40,690千円 (直接経費: 31,300千円、間接経費: 9,390千円)
2024年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
2023年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
2022年度: 10,790千円 (直接経費: 8,300千円、間接経費: 2,490千円)
2021年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | 分散型量子コンピュータ / 量子コンピュータアーキテクチャ / フォールトトレラント量子コンピュータ / 量子ネットワーク / 量子誤り訂正 / 量子通信 / フォルトトーレラント量子コンピュータ |
研究開始時の研究の概要 |
ポストムーア時代を見据えて、新しい計算の可能性として注目される量子コンピューティングの性能を引き出す、分散性のある量子コンピュータアーキテクチャの開発を行う。従来の同期的および規則的配列をもつ量子コンピュータアーキテクチャから脱却し、現在の大規模量子コンピュータ開発に具体的な指針を与える分散性のある量子コンピュータアーキテクチャを開発する。具体的な量子コンピュータアーキテクチャの開発を通して、量子コンピュータにおける分散性、制御可能性、互換性とは何かを問うことで量子コンピュータの本質を理解することを目指す研究である。
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研究実績の概要 |
分散型の量子コンピュータアーキテクチャを念頭に、トポロジカル量子誤り訂正符号の性質について、表現方法について再考し、これまでの表現方法の拡張の可能性について検討した。また、ここで用いている回路表現では、アーキテクチャへのマップそのものは複雑なものにはならないことが予想された。ただし、量子回路の最適化そのものは計算量的に課題が残っており、アーキテクチャそのものに依存することではないが、アーキテクチャの上の技術層の発展についても注意しておく必要はある。 量子通信部分における量子誤り訂正とリソースの関係については、昨年度の成果をもとに拡張した解析を行ない、ハードウエアの特徴を量子誤り訂正符号の実装に活かすことによるリソース低減がどの程度可能であるのかについて、数値的な見積もりを得ることができた。さらに、この符号化の方法が量子計算の計算回路にも適応可能であることを確認した。また、量子通信部分については、連続量符号化についても考察し、離散値の場合と比較した。 カラー符号ではXとZの性質が異なるので、符号上の構造上の違いと実装系の特性との関係についての議論を行った。また、量子誤り訂正符号上での誤りに振る舞いの理解を深めた。量子誤り訂正符号の研究が急速に進んでいるが、比較的新しい符号がどの程度実装可能であるのかは、まだよくわかっておらず、その点も含めて、ハードウエアへの実装上の性質について議論を行った。もう一つの方向性として、小規模の量子コンピュータのあり方で新しい発展があり、小規模の量子コンピュータからネットワーク的に構成するネットワーク型の量子コンピュータに新しい可能性が考えられ、エッジ量子コンピューティングやフォグ量子コンピューティングへの新しいあり方を解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
量子コンピュータアーキテクチャや、その設計に必要となる量子誤り訂正符号など、量子コンピュータアーキテクチャに関わる分野が最近急速に発展しつつある。これら比較的新しい研究成果を考慮しつつ、分散型量子コンピュータアーキテクチャへ反映させていくために、当初の計画していなかった事項についても検討が望ましい場合が増えてきている。その中から、分散型の量子コンピュータを考える上で重要な要素を選択し、効率的に多角的な検討ができていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、前述した目的を達成するために、これまで得られた結果を基に、量子コンピュータアーキテクチャの基礎の確立を目指す。そのために、最近発展が著しい量子誤り符号について、最新の量子誤り訂正符号に関する成果を整理し、量子コンピュータアーキテクチャの観点からその利点と課題を明らかにする。また、その際量子誤り訂正符号の実装方法の違いに基づく数理的な性質についても考慮する。次に、量子誤り符号化された論理量子ビットの定義とその制御方法についても、最近の成果について調査し、整理する。その上で、これら量子誤り訂正符号の性質と、ハードウエア実装系の物理的性質との相性について議論し、多様な物理系の組み合わせも考慮して、実装可能な方法を検討する。 また、新しい量子誤り訂正符号の性質と、アイランドーインターコネクト型の量子コンピュータアーキテクチャへの応用はまだ検討されていないため、この検討に向けた準備を行う。新しい量子誤り訂正符号では、長距離なゲートを用いるものもあるため、これまでの表面符号の実装とは異なることが予想される。これらの性質とアイランドーインターコネクトの考え方がどの程度融合可能であるのかについて検討する。また、量子ネットワークについては、量子ネットワークの性質を本年度に引き続き調べる。 最新の研究成果についての整理と議論は、代表者と分担者が協力して行い、実装可能性や量子コンピュータアーキテクチャの考察は代表者が主導して行う。これらの数値的な評価、量子ネットワークについての評価は、分担者が主導して評価を行う。
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